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【偏差値40台からの中学受験】第1章 点数がまた下がった

「また点数が下がった……。」
仕事を終えて家に帰ると、いつもと空気が違いました。
静かでした。
ゲーム好きな息子の声も聞こえません。
「ただいま。」
返事もありません。
リビングへ入ると、妻が泣いていました。
息子も泣いていました。
テーブルの上には、塾のテストが一枚。
点数は覚えていません。
でも、「また下がった」ということだけは、今でも忘れられません。
妻がぽつりと言いました。
「この子、勉強に向いてないのかもしれない……。」
その言葉を聞いても、私は何も返せませんでした。

その頃、勉強を見ていたのは妻でした。
毎日宿題をやり、塾へ送り出し、家でも一緒に勉強する。
それでも思うように成績は伸びませんでした。
妻は、どう教えたら伝わるのか分からず、毎日のように悩んでいました。
息子も頑張っていました。
だからこそ、二人とも泣いていたんだと思います。

私は、中学受験のことなんてほとんど分かっていませんでした。
仕事から帰って話を聞くくらい。
今思えば、妻に任せきりだったんだと思います。
でも、その日だけは違いました。
泣いている妻。
泣いている息子。
その姿を見て、
「このままじゃダメだ。」
そう思いました。

夫婦で話し合いました。
「俺も勉強を見るよ。」
そう言ったものの、自信なんてありません。
高校受験の頃の私は、塾へ行っても勉強せず、漫画を読んだりゲームばかりしていました。
勉強が得意だったわけでもありません。
だから、
「教えてやる。」
なんて気持ちはまったくありませんでした。

まずは理科と社会を担当することにしました。
理由は、本当に単純です。
「暗記なら簡単じゃね?」
それくらいの軽い気持ちでした。
でも、やってみると全然違いました。
昨日覚えたことを、今日は忘れている。
「なんで覚えられないんだろう。」
最初はそう思っていました。
でも、一緒に勉強する時間が増えるにつれて、考えることが変わっていきました。
「どうしたら、この子は覚えられるんだろう。」
「もっと効率よく覚えられる方法はないかな。」
夫婦で毎日のように話し合いました。
試して、
失敗して、
また試す。
その繰り返しでした。

今振り返ると、
あの日リビングで泣いていた二人を見ていなかったら、
私はここまで中学受験に向き合っていなかったと思います。
あの日は、息子だけではありません。
父親だった私も、
少しずつ変わり始めた日でした。

妻より

あの頃の私は、本当に余裕がありませんでした。
毎日息子と向き合っていたのに、思うように成績は伸びません。
「なんでできないの?」
そう思ってしまう日もありました。
もちろん、そのたびに、
「そんなこと思っちゃダメだ。」
と自分を責めていました。
主人が「俺も勉強を見る」と言ったときは、正直、複雑でした。
助かる。
その気持ちはありました。
でも同時に、
「今さら介入してくるなよ。」
そんな気持ちもありました。
私は毎日、この子と向き合ってきた。
苦しいところを見てきた。
だから、そんなふうに思ってしまったのかもしれません。
でも、一緒にやるようになってからは違いました。
一人で抱え込まなくていい。
その安心感は、私にとって本当に大きなものでした。

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