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任天堂はHAL研流のIP展開を世界へ?——ニンテンドースターズの狙いを読む

任天堂が今年の4月に子会社したワープスター。

元々はカービィの版権管理が業務でしたが、そこからグッズの監修・許諾をなども行なっていたと見られます。

そんなワープスターがニンテンドースターズへと社名変更しました。

ワープスターという一つの星から、ニンテンドースターズ。星が複数になったのでその野心は社名からでも容易に想像できます!

巷では「カービィの映画化か?」という反応もございますが、これはそういう話ではないと思います。

現状、私の予想としては「任天堂の新規開拓に重要な商品である映画公開後、グッズやイベントの展開においてカービィシリーズが10年かけて展開してきたノウハウを用いて効果をさらに上げたい」というのがポイントだと考えております。


映画で"任天堂"を知る層に

リリースの文面はこうですね。独断で強調しております。

 任天堂株式会社(本社:京都市南区、代表取締役社長:古川 俊太郎、以下「任天堂」)は、2025年4月1日より連結子会社となった株式会社ワープスターの商号を「ニンテンドースターズ株式会社」に変更し、任天堂IPを用いた映画における二次利用事業※を担う子会社として事業再編を行いました。

映画における「二次利用事業」とは、企画開発やライセンスなどを通じて、映画のキャラクターや世界をライブイベントや商品などの多様な形で応用展開することを指します。

 任天堂は、2026年4月3日に「スーパーマリオ」の新たなアニメ映画の劇場公開を予定しており、2027年5月7日には「ゼルダの伝説」の実写映画の劇場公開を予定しております。

 ニンテンドースターズ株式会社は、こうした映画における様々な二次利用の実施と許諾を通じて、世界中のみなさまに任天堂IPに親しんでいただき、任天堂IPの新たな楽しみ方をご提案していきます。

 また、ニンテンドースターズ株式会社は、これまで株式会社ワープスターが手がけてきた「星のカービィ」シリーズの二次利用事業を継続するとともに、そこで培ったノウハウを活かし、世界中のパートナーとの協力を通じて任天堂IPに触れる人口をグローバルに拡大し、任天堂とお客様との関係を強化することを目指します。

https://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2025/250827.html

はい、ニンテンドースターズの業務の一つが「映画における二次利用」なのですが、まずこの時点で不思議な話です。映画だけ?何故?となりますがここで任天堂における映画の立ち位置を考えなければなりません。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、任天堂が掲げる「任天堂IPに触れる人口の拡大」という基本戦略において、任天堂が初めて制作に直接関わった映画として、非常に大きな成果を上げるに至ったという評価がされております。

そして『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はNintendo Switchの展開地域以外でも公開されておりました。

2023年11月8日の第2四半期決算説明会 プレゼンテーション資料より
2023年11月8日の第2四半期決算説明会 プレゼンテーション資料より

プレゼンテーション資料からも分かりますように、任天堂IPを世界規模で拡大させる上で、映画が大事な商品となっていることが分かります。

また、質疑応答でもメキシコでマリオの映画が人気だったことをQ&A2で宮本茂氏が挙げており、その波及効果は任天堂がよく認識しております。もっと言えば、映画で初めて任天堂IPを触れるということを想定しているのでしょう。

任天堂のIP展開の課題

ではそんな中、今の任天堂の映画以外の展開を見ますと、USJは思い浮かびやすいです。これはカービィカフェやプププトレインなどと比べると巨大ですが、結局は箱物なので「任天堂IPに触れる人口の拡大」という戦略ではUSJ以外も必要になってきます。
これはUSJが不要という話ではなく、「もう一押し」が必要ということです。

レゴマリオもございますが、それが任天堂の弱い地域の拡販につながったという話はIR資料では出てないです。中長期の接点と物販売上にはつながっていると思いますため決して不要ではないと思いますが、「もう一押し」が必要です。そもそもレゴでマリオが大人気!という程でもないですし。

Popular themsにマリオはないです。

一押しが必要…ということで出てきたのが国内のカービィの展開なのでは?と見てます。

250名弱の企業によるカービィの展開網

星のカービィシリーズは10年程前からグッズやイベントの展開を急速に発展させてきており、代表的なものと言えばカービィカフェですが、それに限らずコラボなどを毎年精力的に行っております。

(もう9年前になりますがこんな記事も作ってました。)

また、2024年の代表的なコラボや展開でもこれだけ出てきます。

  • 4月:「星のカービィ まんまる焼き」がファミリーマート限定で発売

  • 8月:カービィと吉野家まんぷく大作戦

  • 8月:京王百貨店新宿店で「KIRBY COLORFUL STORE」開催

  • 9月:星のカービィ×GU

  • 9月:サニーデイキャンペーン

  • 11月:カービィのまんまる手づくり最中 リニューアル

  • 11月:カービィカフェOSAKAオープン

  • 11月:ハインツ日本とカービィがコラボしたトマトケチャップが数量限定で発売

大事なことは、社員数242名(2024年7月1日時点)の企業、しかも本来はゲーム開発を主軸に行っている企業でここまでの展開を行えるということです。

あと、地味な点ですが毎月グッズ情報を更新しているのも大きいですね。

流石に全てではないでしょうが、これはハル研究所(ワープスター)が出しているグッズを把握しているという証拠になります。この少数でありながらもカービィを各地に展開できるという強みは、任天堂には輝いて見えたのではないでしょうか?

任天堂の本気度

これから任天堂が展開をしたい地域、例えば東南アジア、中南米、インド、中東、アフリカを考えましょう。

これらの地域は、当然知名度も地盤も弱い中展開をする訳ですが、そこで資金力に頼るだけでなく、その地域に寄り添った、ハル研がやってきた考えを持ち込みながらグッズやイベント展開をしたいのでは…と見てます。

とはいえ他の取締役も見ていかなければその本気度は分かりません。

ニンテンドースターズの代表者

まず、代表取締役の黒木信登氏はハル研究所の取締役にも就任しております。黒木氏は

  • 『みんなの常識力テレビ』で問題作成・管理

  • 『タッチ!カービィ スーパーレインボー』でゲームデザイン

を担当されました。スペシャルサンクスでは『ポケモンレンジャー』『はたらくUFO』が出てきます。他にもハル研究所のホームページ改修のインタビューにも登場しております。

ただ記載からも分かりますように近年のカービィ作品のスタッフクレジットには出てきておりませんでした。

川瀬氏もハル研究所の代表取締役社長なためここでは割愛します。

任天堂の取締役を見ていきますが、1人目の武井俊達氏はLinekdinの公開プロフィール(自己申告)を確認しますとグローバル規模でIPライセンスおよびブランド戦略を主導した経験をお持ちの方であると分かります。

武井氏の職歴

最近のSenior Manager, Head of IP Strategy Groupにおける内容を訳しますと

  • 京都本社から日米欧のグローバルライセンシングチームを共同リード

  • 戦略的IP拡大プロジェクトのための部門横断的チームを率いる。

  • 主要キャラクターIPフランチャイズにおける長期IP戦略の構築

だそうです。うーん、すごいですね…。

2人目の武久豊氏は武井氏と比べるともしかしたら覚えがある方がいらっしゃるかも知れません。Moby Gamesにもページがありますし、2016年時点では「ビジネス開発本部 ビジネス開発室 事業開発・渉外グループ グループマネージャー」だったことも判明しております。

https://www.mobygames.com/person/260855/yutaka-takehisa/

3人目の牧内寛成氏は情報がほぼありませんが、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のNintendo Teamにおります。

「HIRONARI MAKIUCHI」が恐らく該当。

このように任天堂においてIP展開や宣伝、広報に動いている人材がニンテンドースターズの取締役におりますため、本気で世界規模に展開しようとしているのが分かります。

カービィにも得がある

ここまで話してきたのは、任天堂がカービィの展開を取り入れて、映画での二次利用を推進し世界規模でのIP展開をさらにこなす…という任天堂側の思惑でしたが、これはハル研究所側にもメリットがあると思います。

任天堂が欧米で展開してきた部分はカービィにもこれまで通り発揮されますし、そもそも今後の開拓でもカービィが任天堂のIPの1つとして動くということですから、現状、星のカービィシリーズの展開が利益の源泉であるハル研究所にとってもさらなる利益拡大に繋がります

そもそも、任天堂がハル研究所のこれまでの動きを特段評価していないならば別にワープスターはそのままに、任天堂が新しく会社を作り、代表取締役を任天堂側から出せばいいだけです。

しかしながら、プレスリリースからも分かりますように代表取締役はハル研究所側から出ております。それはハル研究所のこれまでの動きを評価しているからではないでしょうか

「カービィの映画化」ではないが、非常に大きな動き

以上、ニンテンドースターズにおける現状の所感です。
正直まとまりきっていない部分もございますし、数時間で急いで情報を集めて書きましたのでだいぶ酷いものですが、もう少し情報が集まったらまた書きたいと思います。

これは「カービィの映画化」のような話ではないと思いますが、今後の世界展開を本気で考えるならば大きな一歩と考えております。

(それはそれとしてカービィも映画になるなら嬉しいですけどね!)

まぁハル研流のやり方を参考に世界各地で…と言っても相応のリスクが待ち構えておりますし(パっと考えても法務、治安、パートナーの製造の品質、デモ・ストライキなどは出てきますが…それぞれの文化圏のタブーも考慮が必要ですね)、決して簡単ではないと思いますが。

とりあえず、今のところは2026年4月公開予定の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』新作、2027年5月公開予定の実写映画版『ゼルダの伝説』に向けて二次利用を前回の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』以上に盛り上げることがニンテンドースターズの目下のタスクでしょう。


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