【板前コラム】「繰り返しこそ力なり」基本を磨き続ける理由
はじめに|技術は一朝一夕で身につかない
「この仕事、向いてないのかもしれない……。」
包丁を握りながら、そんなことを考えたことはありませんか?
おいらも、小僧の頃は何度も思ったものです。
魚をさばいても、下手だし遅い。
卵焼きを焼いても、均一にならない。
何度やっても、先輩のようにはできない。
でも、今ならわかります。
技術が身につかないのは、才能がないからじゃない。
ただ「繰り返し」が足りないだけ。
一流の板前になるには、毎日同じことを、同じように、何千回、何万回と繰り返すしかないのです。
「基本を極めろ」——繰り返しの大切さ
料理の世界は「積み重ね」
料理の世界には近道がない。
どれだけ優れたレシピを知っていても、手が追いつかなければ意味がない。
知識だけでは、美味しい料理は作れないんです。
だから、おいらは新人にこう伝えます。
「繰り返せ、そうすれば必ず上手くなる」
例えば、包丁の使い方ひとつとってもそう。
最初はぎこちなくても、何百回、何千回と使い続ければ、いつの間にか体が覚えているものです。
繰り返すことで、技術は「知識」から「感覚」へと変わっていく。
これが、料理人として成長するために最も大事なことなのです。
繰り返しが生む「無駄のない動き」
熟練の板前の仕事を見ていると、無駄な動きが一切ないことに気づくはず。
魚をおろす、盛り付ける、皿を並べる——どれも迷いがない。
これは、何度も何度も同じ動きを繰り返してきたからこそできること。
「考えずに体が動く」レベルにまで落とし込むには、毎日の積み重ねが必要なんです。
おいらの店では、焼き場の担当になるために、何百回と魚を焼く練習をします。
最初は火加減が難しく、焦がしたり、生焼けになったりする。
でも、同じ動作を繰り返すことで、「これくらいの火加減なら、このくらいの時間」と、体が覚える。
「感覚でできるようになるまで繰り返す」——これが一流への道です。
料理は「飽きるくらい」がちょうどいい
目を閉じてもできるか?
繰り返しの練習は、正直、つまらないこともある。
毎日同じ作業をしていると、「もうできるからいいじゃないか」と思うこともある。
でも、そんなときこそ自分に問うてみる。
「目を閉じてやっても、同じようにできるか?」
もしできないなら、それはまだ自分のものになっていない証拠。
真の技術は、考えなくても手が動くレベルになって初めて「自分のもの」になるんです。
一流は「飽きるほど基本を繰り返す」
おいらが見てきた一流の料理人たちは、例外なく基本を大切にしていました。
たとえば、ある有名な寿司職人は、握りの動作を毎日何百回と繰り返すそうです。
すでに十分上手いのに、まだやるのか?と思うほど。
でも、それこそが一流の証。
「当たり前のことを、当たり前にできる」レベルを超え、「無意識でも最高の仕事ができる」レベルまで突き詰める。
本当に上手くなるには、「飽きるほど繰り返す」ことが必要なんです。
「ただ繰り返すだけ」では成長しない
昨日より早く、昨日よりうまく
同じことを繰り返しているのに、なぜか上達しない——
それは、「考えずに繰り返しているだけ」だからかもしれません。
本当に成長するためには、毎回「昨日より早く」「昨日よりうまく」を意識することが大切です。
✔ どこで手が止まったか?
✔ どの工程がスムーズにいかなかったか?
✔ もっと効率的にできる方法はないか?
こうしたことを一つひとつ考えながら繰り返すことで、技術は飛躍的に向上します。
うまくいかない部分こそ、成長のチャンス
「何度やっても上手くできない」——そんなときは、ただ回数をこなすだけではなく、やり方を見直すことが大切です。
✔ 先輩にアドバイスをもらう
✔ できる人の動きを観察する
✔ 自分なりに試行錯誤してみる
同じ動作を繰り返す中で、少しずつ改善を重ねる。
その積み重ねが「無駄のない動き」につながり、結果として技術の精度が上がるのです。
繰り返すこと自体が目的ではなく、「どう繰り返すか」が大事——これを忘れずにいたいですね。
まとめ|繰り返すことで手に入るもの
「同じことの繰り返し」——これは単なる作業ではありません。
料理の世界で生きるなら、「繰り返しこそ力」と心得るべきです。
✔ 技術は繰り返すことで初めて身につく
✔ 無駄のない動きは、反復練習の先にある
✔ 目を閉じてもできるレベルまで極めることが、一流への道
だからこそ、今日も包丁を握る。
昨日と同じように、今日も同じ動作を繰り返す。
その積み重ねが、未来の自分を作ると信じて——。
