きゅうり寿司と魔法の空間
かつて、あるところに一人の「正しさの鎧」を着た女性がいました。
彼女が山から街へと降りてくると、そこには不思議な役割分担の世界が広がっていました。
1. 現代版・桃太郎の風景
その家では、おじいさんは本当に山へ芝刈り(遊び)に出かけ、おばあさんは川の代わりに全自動洗濯機で洗濯をしています。
「お義母さん、これ、大量の洗濯物です!」
「はいはい、任せておいて」
料理があまり得意ではないお義母さんと、家事の重荷を半分こ。得意な方が得意なことをする。それは、甘えではなく「調和」という名の心地よいシステムでした。
2. 「混ぜるだけ」の事件
夕飯の支度の時間。台所に立った彼女が手にしたのは、地元の道の駅で買った「混ぜ寿司の素」と、地元のお酢。そして、ひいじいちゃんの畑で採れた、ツヤツヤのきゅうり。
以前の彼女なら、心の中の鬼がこう叫んだことでしょう。
「混ぜるだけなんて、料理じゃない!愛情が足りないわ!」
自分が頑張らなければ、自分が完璧でなければ、この家族は回らない。そう信じて、一人で勝手に責任を背負い、一人で勝手に疲れていたあの日々。でも、今の彼女は違います。
トントン、とリズム良くきゅうりを刻み、温かいご飯に混ぜる。
「できた!きゅうり寿司!」
3. 五合のご飯が消える魔法
食卓に並んだのは、キラキラと緑が光るシンプルなちらし寿司。
一口食べると、きゅうりの瑞々しさと、懐かしいお酢の香りが口いっぱいに広がります。
「美味しいねぇ」
「これ、さっぱりしてて最高だよ」
誰が何時間かけて作ったかなんて、誰も気にしていません。五合あったはずのご飯は、笑い声と一緒にあっという間に消えていきました。
4. 「おふくろの味」の正体
彼女は気づきました。
おふくろの味とは、手間暇かけた隠し味のことではなく、「あの時、みんなで笑って食べた」という記憶の味なのだと。
たとえそれがカップラーメンだったとしても、お母さんの隣ですするスープの温かさがあれば、それは立派な「おふくろの味」になる。
「私が作らなきゃ」という執着を捨てたとき、そこには「みんなで味わう空間」という一番のご馳走が残りました。
エピローグ
明日からまた、心理カウンセラーとしての日常が始まります。
大量の洗濯物の山を眺めながら、彼女はふっと微笑みます。
「さて、明日からボチボチいきますか」
山から持ち帰ったのは、お土産だけではありません。
「適当でいい、それが最高」という、心に効く魔法のスパイスだったのでした。
一般社団法人パラダイス・バードのカウンセラー紹介
TEAMS PARABA | paradisebird
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