のと・かが百物語(35)ジューンブライド特集!蛙女房とご当地異類婚の世界(後編)~食人妖怪型~/峰守ひろかず
6月です。ジューンブライドの季節です(二回目)。
というわけで今回も前回に引き続き石川に伝わるご当地異類婚姻譚の話をしますが、今回は前回と違い、旦那を物理的に食おうとする危険な異類女房、特に「食わず女房」系を取り上げてみます。
「食わず女房」というのは、「飯を食わないでよく働く美人が嫁いでこねえかなあ」と都合のいい(よすぎる)ことを思っていた男のところに望み通りの女性が嫁いでくるが、その正体は……というパターンの話でして、いきなりオチを言ってしまうと、旦那が奥さんの正体を確かめたところ、その正体はだいたい大食いで人喰いの化け物で、旦那はこの奥さんに食われそうになります。

この話もまたバリエーションが多く、たとえば加賀市(旧江沼郡東谷口村)ではこんな話が採録されています。
欲深い男が何も食べないという女を捜して女房にすると、女房は何日たっても何も食べない。ある日、畑へ行ったふりをしてつし(中二階)に隠れていると、女房が一斗鍋に飯を焚き、髪をほどいて頭の口に入れてまた髪を結う。夜になり、男が女房に暇を出すと、女房は桶に男を入れて、山奥へ担いでいく。男は木の枝につかまって逃げだし、豆を煮ている家に助けを求め、桶の下に隠してもらう。女房は男を捜しにくるが、あたりを嗅いでもわからず立ち去った。
これ、だいぶオーソドックスなパターンですね。ここでの女房の正体は頭のてっぺんに口がある化け物であり、それ以上の正体は言及されませんが、このタイプの話の中には、「その正体は実は〇〇で」のように、本性が動物とされる話も多くあります。
たとえば石川郡(旧能美郡)尾口村東二口で採録されたこちらの話。
貧乏な男が「女房はもらいたいが、食わさないといけないので結婚しない」と言うと、泊めてもらった男がものを食わない女房を世話する。十日たっても女房が食わないので、男が市へ行くふりをして様子をうかがうと、女房はおはぎをいっぱい頭に放りこむ。暇を出された女房は一番大きい桶をもらい、男を入れて奥山へ帰る。男は女房が休んだ間に木の枝につかまって出ると、女房は「荷が軽くなった」と言って山のすみかに帰り、男が逃げたのに気づいて、「今夜行って取りもどす」と言う。男は村の若者に相談して隠れ、若者たちがいろりに炭を焚いていると、大鉤を伝って大ぐもが下がってきたので、割り木で火壺に叩き落とし焼き殺した。
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