京都へ来てよかった、ではなく|鈍考・喫茶芳へ来られてよかった
京都の鈍考・喫茶芳は、建築家堀部安嗣さんが設計した、本とコーヒー、そして静かな時間を味わえる場所です。
「京都 建築」や「京都 ブックカフェ」を探している方にも、一度訪れてほしいと思っています。
第2部


90分は思っていたより短くなかった
本が好きな私にとって、この場所はとても心地よい空間でした。
壁一面に並ぶ本を眺めながら歩くだけでも楽しくて、気になる一冊を手に取り、少し読んでは棚へ戻す。その繰り返しです。
建築の本も多く、「次はこの本を読んでみたい」と思う出会いがいくつもありました。
図書館とも、本屋とも少し違う。
長い時間をかけて集めてきた本棚を、そっと見せてもらっているような感覚
利用時間は90分。
予約する前は、「あっという間かな」と思っていました。
でも、その考えはすぐになくなります。
本を眺めたり、窓の外を流れる景色を見たり。
急ぐ理由が何もない時間は、思っていた以上に贅沢でした。
ファンさんが淹れてくれた一杯のコーヒー
訪れた日は少し肌寒い日でした。
席に着いてしばらくすると、ファンさんが丁寧に淹れてくださったコーヒーが味わえます。
その一杯が、本当においしくて。
温かかったのはコーヒーだけではありません。
張りつめていた気持ちまで、ゆっくりほどけていくようでした。
木の香り。
静かな空気。
窓の外から聞こえる川のせせらぎ。
そして、本のページをめくる音。
特別な演出があるわけではありません。
でも、その静けさが、この場所にはよく似合っていました。
気付けば呼吸まで深くなっていて、「最近こんなにゆっくり座っていただろうか」と考えていました。
建築は、見るものだけではない
建築巡りが好きで、これまでいろいろな場所を訪れてきました。
写真を撮り、空間を歩き、光や素材を感じる。
それも建築の楽しみ方です。
でも、この日は少し違いました。
建築を「見る」のではなく、その建築の中で時間を過ごすことが目的だったからです。
90分という限られた時間。
それでも帰る頃には、不思議なくらい満たされていました。
京都へ来てよかった。
そうではなく、
「ここへ来られてよかった。」
その一言が、この日の気持ちを一番よく表している気がします。
まとめ
忙しい毎日を過ごしていると、「ゆっくりする時間を作ろう」と思っていても、つい後回しになってしまいます。
だからこそ、この日の90分は私にとって特別。
観光名所を何か所も巡ったわけでもありません。
予定を詰め込んだ旅でもありません。
本を読み、コーヒーを飲み、静かな空間で過ごしただけ。
それなのに、帰り道には心が少し軽くなっていました。
建築には、その場所でしか味わえない時間があります。
鈍考・喫茶芳は、そのことを改めて教えてくれた場所でした。
※この記事は休業前に訪れた際の記録です。
営業状況や予約方法は変更される場合がありますので、訪問前には公式サイトで最新情報をご確認ください。
関連記事
建築好きなら直島は2泊3日がおすすめな理由
豊島美術館で、何もしない時間を過ごしてみた
秋野不矩美術館で知った「裸足で味わう建築」
ぎふメディアコスモスは、何度でも通いたくなる図書館
人生で衝撃を受けた建築5選

