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映画感想文『万事快調 オール・グリーンズ』 太陽を盗んだJK

監督:児山隆/2026年 日(2026年1月16日公開)

ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(南沙良)。
陸上部のエースで社交的スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(出口夏希)。
未来が見えない町で暮らすどん詰まりの日々の中、朴秀美が地元のラッパー佐藤(金子大地)の家で〇〇〇〇を手に入れる。その出来事をきっかけに、同級生で漫画に詳しい毒舌キャラ岩隈真子(吉田美月喜)、岩隈の後輩で漫画オタクの藤木漢(羽村仁成)らを仲間に引き入れ、同好会「オール・グリーンズ」を結成、〇〇〇〇の栽培に乗り出す。
人生を諦めるのはまだ早い!自分たちの夢をかなえるために、この町を出ていくには、一攫千金を狙うしかない!
そして、学校の屋上で、禁断の課外活動がはじまる

公式サイトから

※ごく個人的な感想です。ネタバレあったらごめんなさい。


SFヲタJKと映画ヲタJKの小ネタ

ゴダールの『万事快調』(1972年)ではありません。
ま、観てないんですけどね。どうせ「あー、長かった」って映画なんでしょ?
一方、この『万事快調 オール・グリーンズ』は面白かったぁ。

あ、ただの『万事快調』繋がりで言ってると思いました?
いやいや、この作品、映画ネタとSFネタが多いんです。
次の特集上映はカサヴェテスだってよ。
SFもね、「ああ、その文庫本持ってるぜ」と何度もニヤニヤさせられました。
そして、長谷川和彦『太陽を盗んだ男』(1979年)とか持ち出してくるんだぜ。
そうなんですよ、この作品、社会に反抗するという意味では、女子高生版『太陽を盗んだ男』=「太陽を盗んだJK」 なのです。

(余談ですが、本作を観た翌日に「ゴジ」こと長谷川和彦の訃報が飛び込んできました。山中貞雄の現存フィルムより作品数が少ないとかネタにしててごめんなさい。ご冥福をお祈りします)

信頼できる脚本

この児山隆という監督、「お初にお目にかかります」だったので、その才覚なのか原作が良いのか分かりませんが、いやぁ、良かったんです。

この作品で最初に発せられる言葉は
「私は自分の席に座っていない」(だったかな?正確ではない)。

実際、主人公は休み時間に教室の席を一軍女子に奪われ、自分は床に座ってSF小説を読んでいるんです。
でも、これはダブルミーニングなんですよね。
「私には居場所がない」という。

この最初のセリフ(ナレーション)で、この脚本は信用できると確信しました。児山隆監督が脚本も書いているんですよね。

あと、罪悪感の感じさせ方が自然だったんです。

あまり書くとネタバレになるので控えますが、南沙良演じる主人公は悪事の自覚がないんですね。実際「悪くねーし」って言いますしね。
ところが、自分の行為が友人の事故に繋がったことを知ってしまう。
罪悪感の芽生えを、きちんとエピソードとして見せている。

同様に、「この街、クソがぁ!」もエピソードとして見せる。
あの十字路での目撃とかね。

この街、クソ!映画の系譜

余談ですが、「この街、クソ!」映画ってあると思うんです。
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(2019年)とか、
『そうして私たちはプールに金魚を、』(2016年)とか。

田舎町の呪縛から逃れたい若者映画とでも言うんですかね。
古くは『祭りの準備』(1975年)とか。
野村芳太郎『事件』(1978年)なんかもそうかもしれません。松坂慶子と大竹しのぶ姉妹が永島敏行を奪い合うんだぜ!(古い話してるな)

半世紀経た近年は、女子が主人公の場合が多い気がします。
そして、パワフルです。
貧乏くさい湿っぽい話ではなく、故郷の良さもちょっと理解しつつ、若さとパワーで前に突き進んでいく。

ニューロマンサー

本当に、いろいろ良い映画で、監督もお初なら、女優陣もお初にお目にかかりますでしたが、南沙良も出口夏希もすごく良かったです。
正直に言うと、出口夏希を見たくて行ったんですけどね。

最近お気に入り。俺のニューロマンサー

あと、夜の村に浮かび上がる原発施設を鳥瞰すると、サイバーパンク都市みたいに見えるのね。
まさに、ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』

(2026.02.01 渋谷シネクイントにて鑑賞 ★★★★☆)

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