映画感想文『サブスタンス』
マーガレット・クアリーは最高で最強だ!

(日本公開2025年5月16日)
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ネタバレを含む可能性のある、くだらない感想文です。
どちらかと言えば、この映画を観た人向け。ご了承ください。
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ムーアがクアリー(爆)
ホラーって、あまり観ないジャンルなんです。
血しぶきが上がるのは好きですし、映画はR指定がついてなんぼだと思ってるんですけどね。
肉体的に痛いのが好きじゃない(精神的に痛いのは大好物ですが)。
ホラーって、見せなくてもいい痛いものを執拗に見せるじゃないですか。
皮膚を縫ったりとかさ。
でも今回は、「デミ・ムーアが若返ったらマーガレット・クアリーなんだってよ!ウヒャヒャヒャ!」と夫婦で爆笑し、喜んで映画館に足を運びました。うちの夫婦は、マーガレット・クアリー好きなんですよ。
『美女と野獣』(2014年)でも「レア・セドゥとヴァンサン・カッセルだってよ!ウヒャヒャヒャ!」って書きましたけど、人に伝わらない面白さなんだろうな。
『マイアミ・バイス』(06年)の「コリン・ファレルとコン・リーのラブシーン!ウヒャヒャヒャ!」とかね。
もっとも、デミ・ムーアは『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)しか観ていません。
ヒャー!35年前!あの映画、無駄に流行りましたよね?(<無駄にって)
お前が踊ってる相手は、本当はウーピー・ゴールドバーグだからな!
溢れ出る監督のホラー愛(個人の感想です)
本作は本来、コラリー・ファルジャというフランス人女性監督が経験してきたであろうルッキズムやフェミニズム、あるいは支配的な(白人)男性社会を論点として語るべきなのでしょう。
または、デミ・ムーアの怪演についてね。

ですが、少し違うことを書きます。
この監督、本当はホラーをやりたかったんじゃないかな?
ネタバレになるのでどこがどうとは詳しく書きませんが、
リドリー・スコット『エイリアン』(79年)であり、
カーペンター『遊星からの物体X』(82年)であり、
デ・パルマ『キャリー』(76年)であり、
長い廊下はキューブリック『シャイニング』(80年)だと思うんですよ。
錚々たる監督・作品名を挙げてホラー面を取り上げましたが、SF設定もよく出来ている。非常に論理的に構築されていて、破綻の理由も論理的。
このSF設定、言い換えれば「ゲームのルール」ですが、そのルール説明も非常に上手い。
普通なら「独り言」で説明したくなるところを、一切やらない。
番号が付いた点滴袋や注射器の容器、カードやナンバー、企業ロゴ(企業なのか?)、皮膚に残った痣といった「小道具」で視覚的に説明する。
こんなに小道具の使い方が上手い作品も久しぶりに観た気がします。
あと、7日間っていうのも、なるほどキリスト教圏だなと。
一週間が7日間の根拠は旧約聖書「創世記」ですからね。

欲望との付き合い方の物語
ムーアとクアリー。この二人の対立は自己の分離です。
他者からの承認欲求が過剰すぎて、それを満たせない自分自身を嫌悪した結果なのでしょう。特に老いた姿は執拗に嫌悪しますし。
そう考えると、「欲」の物語なんですよね。
彼女の「承認欲求」は、他者(特に男)の「欲望」の対象として自身を晒すことで満たされる。
一方、自分の存在価値を見失った側は「食欲」を捌け口にする。破綻の最初は「性欲」でしたしね。
人間に内在する「欲」とうまくバランスを保てなかった者がモンスターとなる、という話なんだな。よくできた話だ。

母体と分身、本来は二人で一人。
デミ・ムーア『ゴースト』も、元カレと霊媒師、二人で一人だったから、同じようなもんですね(<そうか?)
そういう括りで、この映画と『ゴースト』の2本立てやってくれないかな?
早稲田松竹あたりで。
(2025.05.25 吉祥寺オデヲンにて鑑賞 ★★★★☆)

