【香水レビュー】Neroli Outrenoir / GUERLAIN(ネロリ ウートルノワ / ゲラン)|香水研究ノート「香水解剖書」
1.【香水プロフィール】
発売日: 2016年
調香師: Delphine Jelk, Thierry Wasser
香りの構成:
トップノート: プチグラン、ベルガモット、タンジェリン、レモン、グレープフルーツ
ミドルノート: ティー(スモークティー)、ネロリ、オレンジフラワー
ラストノート: バニラ、ミルラ、アンブレット、ベンゾイン、オークモス
2.【解剖書】

3.【パーソナリティ】
この香りだけの印象を捉えると、ナチュラルタイプの方におすすめです。 ネロリやオレンジフラワーの瑞々しく爽やかな導きが、穏やかかつ心地よく、纏う人をありのままの自然体へと導いてくれます。 一方で、その奥に潜むミステリアスな深みは、単なる「清潔感」では終わらせない、知的な哲学を持つ大人のための余裕を感じさせます。そのテーマ性で言えば、アーティストタイプの心を動かすかも。
4.【香水レビュー】
絵画の「黒を超えた黒)」からインスパイアされた作品は、ネロリという素材の既成概念を覆す、極めて哲学的な作品です。
タンジェリンやレモン、ベルガモットが弾けるトップから、摘みたてのフレッシュなネロリが広がります。その瑞々しさは高級ホテルのアメニティのような気品を湛え、一見すると親しみやすいの香りに感じられます。
しかし、なぜこの漆黒のアートから「ネロリ」が選ばれたのか。その問いに対する答えは、スーラージュの絵画と対峙した時に見えてきます。スーラージュが黒い絵具を幾重にも重ね、その凹凸やテクスチャーによって光を反射させたように、ゲランもまた、ネロリ調のオレンジフラワーやシトラスを緻密に重ねることで、香りの「面」を作り出しているのです。
ここで描かれるネロリは、眩しすぎる太陽の光ではなく、深い闇(スモークティー)の中でほのかに、かつ鋭く反射する「静かな灯火」のよう。影があるからこそ、重なり合ったシトラスの層から放たれる輝きが強調されます。
その魅力に気づいた時、アンブレットやバニラの微かな余韻が、あなたをミステリアスな深淵へと導きます。伝統的な素材を使いながら、漆黒の中に見出された自然で穏やかな輝き。黒を重ねることで光を導き出すという、芸術的で哲学的なアプローチによってネロリを主役に仕立てたゲランの技量には、驚きと感動をした作品です。
これほどまでに哲学的な問いで香水に向き合ったことは初めてに近いです!
なぜ黒なのにネロリ?黒だったらレザーとかインセンスとかではないのか。でもレザー調の香りを重ねたからって美しい「光=輝き」が仕上がるというわけではないのです。そう思うとシトラスを重ねることで生まれた輝きというのはとてもしっくりくるのです!
