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【満月通信】星に願いを〜京都でみつけた星の信仰のかけらたち

夏はスチームサウナのように暑く、冬は刺すような寒さの盆地気候もなんのその、世界中から人が押し寄せる。日本らしい記号が溢れすぎて、日本人ですら異国のように感じる、ねじれ現象を起こしているワンダーランド。

今回は展示のための京都滞在でしたが、滞在中に大好きな「星」にまつわるリサーチをしよう!と、心を決めていました。偶然出会ったもの、探して訪ねたもの、ご紹介します。


出会ってしまった、可憐な鷺舞(さぎまい)

7月16日、展示の初日がちょうど宵山(祭りの山場)でした。無事に展示が始まった安堵感とともにギャラリーからふらり出ると、浴衣姿の人々の群れ、どこまでも続くお祭りの熱気。

そういえば人混みを敬遠して、長いことお祭りらしいお祭りを見物していなかったことに気づきました。最後にみたのは、真鶴の貴船祭りだったような...10年以上前のおぼろげな記憶です。

あてもなく祇園祭の雰囲気を楽しみながら歩いていると、広い道路の真ん中に竹が4本すっと立てられ、しめ縄によって結界が張られました。

さっきまで歩いていたアスファルトが、神聖な舞台へと早変わり。いったい何が起きるのだろうと、見守ることしばし。

あらゆる芸事は神様への奉納だと思い出させてくれる光景でした。

私はそこで、はじめて目撃した鷺舞(さぎまい)の奉納にすっかり魅了されてしまいました。

いつの時代から、この衣装があるんだろう?と思わずにいられない。頭の上にスーッと伸びたサギを模した鳥の頭。さらに頭上にちょこんと乗っている小さな傘と、傘についたヒラヒラする飾り。

そしてダイナミックで機能的な大きな羽。夜だったので、大きく開く白い羽が際立っていました。鳥らしさが表れる、足首の動きが印象的。そして、生のお囃子と唄が身体に響きます。

舞う様子に夢中になっていると、じわじわと繰り返し歌われている言葉が耳に入ってきました。

「橋」「サギ」「鳥」

調べてみると、これは七夕伝説に由来する唄でした。

七夕の夜、天の川で隔てられた織姫(こと座の一等星:ベガ)と彦星(わし座の一等星:アルタイル)のために、カササギという鳥が翼を連ねて「橋」を渡すという伝承です。

カササギという鳥は日本に居ないため、サギに見立てて踊られるようになったとのこと。

まさかとは思いましたが、
頭上の「傘」+「サギ」=「鵲(かささぎ)」...!!

軽快です、洒落が効きすぎてます。

素敵な奉納舞に出会えただけでも嬉しいのに、古い星の伝説にもつながっている、と興奮がとまらず。もっと目に焼き付けたいと、後日、八坂神社の奉納舞台へ。

子どもたちの「小鷺(こさぎ)舞」も観ることができました。可憐なコサギたちの舞が、シンプルな動きと迫力のある衣装で、浮世を忘れさせてくれる美しさでした。

驚きに満ちた出会いに感謝!

小鷺舞の動画もご覧ください(私のInstagramがひらきます)

八坂神社 コサギたちの可憐で優雅な舞の奉納

平安時代のスター・空海の東寺へ

いま学んでいる「Jyotish(ジョーティシュ)」というインド由来の古くからある占星術とのつながりを求めて。滞在先の東九条からほど近い、真言宗の東寺へ。

見上げるほど大きく荘厳な仏像たちは、国宝や重要文化財ばかりで、写真はNGどころか、スケッチもダメだったり、記録をとることが難しかったです。現金をもちあわせておらず、お寺の売店(京都は現金オンリーが多かった)で本を買うことすら叶わず...

じっくり自分の目でみて、感じて、堪能してきました。

平安時代のスーパースター、弘法大師こと空海がキュレーションした立体曼荼羅の仏像群を舐めるように観て、お堂の大空間で、当時は最先端であっただろう密教のクールさに想いを馳せてみました。

巨大な薬師如来像と、その両側に立つ太陽(日光菩薩)と月(月光菩薩)も圧巻でした。

「なぜ東寺が星と関係あるの?」と思われるかもしれません。

空海が古代インドから中国を経て持ち込んだ「密教」のなかには、天体や星を読む高度な技術も含まれていたのです。東寺に所蔵されている火羅図(平安時代)という星曼荼羅には、12星座が描かれています。そうです、現代の雑誌の後ろに載ってるものと同じです。

そして占星術の鍵となる、9つの惑星・天体(九曜・ナヴァグラハ)が擬人化されて描かれています。(火羅図はこの夏、東京国立博物館の空海展【前期】で実物が展示されていました。)

僧侶に受け継がれた秘儀の占星術と、大衆が楽しむ占星術では、その様相はずいぶんと違いますが、星の動きをみて時勢を読んだり、運命に一喜一憂する、そういう面では、人はあまり変わらないのかもしれません。

仏像の数々は、英語解説にサンスクリット名が記されているため、古代のルーツとのつながりを確認できて、さらに深堀りできるところが嬉しいような怖いような(無限の沼の予感)。星の影響を含め、抽象的な世界観を曼荼羅や仏像というビジュアル言語で表現する密教、さらにはそのルーツにやっぱり惹かれてしまうのです。

訪れたのは、太陽がギラギラと照りつける暑い日で、お堂の一歩外に出ると、天体の影響は、容赦なく肌にもジリジリと入ってくるのでした。

東寺の南大門と五重塔(新幹線の南の窓から見えるランドマーク)

北極星を祀る寺・青蓮院へ

そして、東寺の真言宗とは別のもうひとつの密教、天台宗の青蓮院門跡も、平安時代の星宿信仰の痕跡を残す貴重な場です。

青不動で知られる青蓮院ですが、ここには「熾盛光如来曼荼羅」(しじょうこうにょらいまんだら)という貴重な星曼荼羅が受け継がれています。

「熾盛光如来」は、すべての星々を統べる不変の軸「北極星」の化身と言われています。古いインドの天文学と日本での祈りが統合された星曼荼羅の世界観が表されています。

一度は拝んでみたいものですが、この星曼荼羅、平安時代から秘仏として守られ、公開されたのは一回のみ。

平安時代から今までで1回のみです!

残念ながら、青蓮院を訪れても実際にこの貴重な星曼荼羅を拝むことは出来ないのです。2005年に三ヶ月間だけ、天台宗1200年記念にご開帳されたというのを知り、いったい次はいつなんだろうと気が遠くなります。

私にいつか、この秘宝にお目にかかるチャンスが巡ってくるかどうかわかりませんが、曼荼羅に描かれた星はいつでも夜空を見上げれば見ることが出来るので、まあいっか、という気もしています。

東寺と青蓮院、この2つのお寺で、平安時代の星宿信仰の痕跡を感じ、時空を超えた旅気分を味わうことができました。

タロットカードに描かれる星たち

密教には、上に紹介した星曼荼羅とは別の系譜で、北極星(または北斗七星)を神格化した「妙見菩薩」を中心に、北斗七星を配する「北斗曼荼羅」という星曼荼羅もあるそうです。

「中心の星と、それを巡る星々を周囲に配置する」というこの構図は、私が制作したタロットの「THE STAR(星)」のカードにも重なります。

私は、ウェイト・スミス版のタロットカードの図案をベースに描きましたが、天体にまつわる表現は文化を超えて通じるものがあるように思います。

タロットカードに描かれている星は、中央の大きな星が北極星で、周囲の星が占星術の鍵となる7つの惑星(七曜)とする説があります。

「七曜」と聞いて、ピンと来ますか?

7つの惑星たちは、私たちが日常的に使っている曜日にもなっています。

月、火星、水星、木星、金星、土星、太陽(日)

知っても知らずとも、日々の生活で惑星の名を呼んでいると思うと、ちょっと星が身近に感じられるのではないでしょうか。

「THE STAR(星)」のカードがリーディングで出てくると、私は大きく2つの方向性で読みます。

・もうじき願いが叶う・才能が開花する
・過去のわだかまりを水に流す。

幸も不幸も、天体の動きが時を知らせ、勢いをつけてくれているように感じます。

ピメリコのオリジナルタロットカード「星」の絵柄
CURIOUS EYES in Tipee TAROT 17. The Star

身近なところで星への祈りを発見

日本における星宿信仰を調べるキーワードは「九曜」。

九曜は、上記の七曜(太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星)にラーフ・ケートゥ(西洋ではドラゴンヘッド・テイル)を足したものを表します。

調べてみると、身近な伊豆山神社の神紋がまさに「九曜紋」であることを知りました。

九曜紋、かっこいい、痺れる!
パッと見お花のようにも見えますが、9つの天体を表しています

なんと、灯台もと暗し!

社紋の詳しい謂れはわかりませんが、星の信仰は身近なところにもあるという喜びと、星への祈りは日本中、世界中に散らばっているのだろうという果てしなさも覚えます。

星宿信仰のかけら探しは、これからもまだまだ続きそうです。

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