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寄り添う力…恋のあとに残ったやさしさ ──SerenoBLOOMエッセイシリーズ─

わたしは「紙」が大好きだ。

和紙、折り紙、画用紙、トレーシングペーパー、コピー用紙……

ずっと触っていたくなる。


少し湿気を含むと、しっとりして。

くしゃくしゃに丸めると、もう二度と元には戻らない。

でも、そのやわらかくなった質感が、なんだか人の心みたいで好きなのだ。


折り目がつくたび、紙は少しずつやさしくなる。

角が取れて、包みこむようになる。

きっと、人も同じなんだと思う。


彼にも、それを感じる。

傷を抱えながらも、誰かを想い、静かに歩くその背中。

壊れることを恐れながらも、誰かの痛みに寄り添おうとするその姿。

見ているだけで、胸の奥がじんわりと熱くなる。


気づいたら、恋をしていた。

何度も「これは違う」と言い聞かせたのに、

彼の声を聞くだけで、心がふっとほぐれてしまう。

彼の沈黙さえ、やさしい音に聞こえる。


触れたい。抱きしめたい。

でもそれ以上に、彼を守りたい。

わたしの手で、彼の疲れた心を包んであげたい。


あの人が笑ってくれたら、それでいい。

けれど、もしその笑顔の理由が、わたしだったら──

きっと、もうそれ以上の幸せはない。


寄り添う力って、そういうものかもしれない。

やさしさは、痛みを知った人にしか育たない。

まっすぐな強さではなく、

折れてもなお、誰かを包もうとする、

しわだらけの勇気のかたち。


だから、ぐしゃぐしゃになった紙が、わたしは好き。

その中に、生きた証と、愛の温度が宿っているから。


彼のやさしさに触れるたび、

わたしの心は、恋に還る。


そしてまた、愛を信じてしまうんだ。



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