嘘─自分を許すために─
誰かを守るための嘘。
場を丸くするための嘘。
自分を安全な位置に置くための嘘。
自分を傷付けないための、嘘。
昔は、それも生きる知恵だと思ってた。
でも今は、
その「必要だった嘘」が
いつの間にか
自分の輪郭を削る道具になっていたことに、
ちゃんと気づいてしまった。
たとえば、借金のこと。
あれは事実だけど、
誰にも語らずにいた部分。
恥ずかしかったし、
重たい話を背負わせたくなかったし、
何より
「ちゃんとしてない自分」を
見せるのが怖かった。
それから、
セックスレス解消の記事。
あの記事には、
嘘とまでは言わないけれど、
整えすぎた表現が含まれていた。
本当は、
あんなに一直線に解決したわけじゃない。
揺れて、迷って、泣いて、怒って、
行ったり来たりして、
ときには
「解消したことにしたほうが楽」
と思った瞬間もあった。
私はあのとき、
前に進んでいる自分を
少しだけ演じていた。
悪意はなかった。
騙すつもりもなかった。
ただ、
立ち止まっている自分を
そのまま出す勇気が、
足りなかっただけ。
正直でいると、
面倒な人に見えるかもしれない。
ややこしい、
重たい、
近づきにくい。
めんどくさい。
そう思われるかもしれない。
それでも。
嘘を重ねて
無難で無害な
「大丈夫な人」でいるより、
不完全なまま揺れているほうが、
まだ呼吸ができる。
何より、わたしはそんなわたしが好き。
今、好きな人もそう。
好きなものは、好き。
それは仕方ない。もう変えられない。
しんどいものは、しんどい。
苦しいのも仕方ない。現実を変えられない。
まだ途中なものは、途中。
自分なりに進むしかない。頑張るしかない。
それだけのことなのに、
いつの間にか私は
「言わない練習」ばかり
上手くなっていた。
もう、それをやめたの。
誰かを試したくない。
操りたくない。
安心させるために
自分を削りたくない。
だから、今のわたしは素のわたし。
これは強さの話じゃない。
たぶん、回復の話。
一度、深く沈んだ人は、
「ここを越えたら戻れない」って感覚を、
身体で知っている。
だから私は、
嘘をもうやめることを
選び直したんだ。
不格好でも、
途中でも、
揺れていても、
泣いていても。
もう嘘をつきたくない。
それだけなんだ。
これがわたしが
わたしをもう一度生き直すために
選び直した道。
