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【説】デザインは意思決定できる状態をつくる【棚卸し】

はじめまして、サービスデザイナーをしております。
ひるかんです。

夏ですね!
てか、暑すぎます。家から出られません。

なので最近はもう家から出ずにずっとポケモンチャンピオンズをしております。
ポケモンは好きだったのですが対戦は今作が初めてで、何もかもわからないところからChatGPT先生を相棒にランクマッチに潜って勉強しています。

最後変なパーティで終わってた…

いやーすごいです。
パーティ編成、相手の戦術予想、負けた理由の振り返りをChatGPTと相談しながらやっていたら、初心者からちゃんとマスターランクには行ける程度になりました。

AI、凄まじいですね。
ずっとやってきた人たちに殴り込みができるようになるんですから。

この感じ、最近デザインでも起きているように私は思うのです

もうデザインはデザイナーのものではなくなってきた

最近、「デザイン」っぽいことをする別職種の人、増えてきましたよね。

エンジニアがUI/UXを考える、コンサルが施策立案ついでにデザインを作る、PdMがプロトタイプを作ってテストする、営業が顧客体験から提案する、事業担当者がユーザーインタビューをする…。

AIを使えば、資料、画面、コピー、コードのたたき台も作れます。
最近弊社でもシステム開発の営業がプロトタイプをAIで作ってUI/UXや機能概要のすり合わせをして案件を勝ち取る、みたいなこともザラになってきてます。

つまり、デザインの「考え方」も「作るアウトプット」も、どちらもデザイナーだけのものではなくなりつつあります

では、デザインがデザイナーだけのものではなくなったとき、デザイナーは何をする人になればいいのでしょうか?

「デザイナーのデザイン活動」の中心原理は何か?

AI時代のデザイナーに求められるスキルはコレだ!っていうけども

AIで画面UIや資料を作れるようになってきて、デザイナーの役割についていろいろなことが言われるようになりました。

  • 問いを立てろ!問題設定側に回るべきだ!

  • AIをディレクションし、AIの案を採用する判断役になれ!

  • 何を出力させるかを考える力が重要だ!

  • プロンプトを書く力が重要だ!

  • 何を出力させるかを考える力をつけて「そもそも何を作るべきかを決める力」を磨け!

そりゃそう、そりゃそうなんですけど、
別にそれAI時代じゃなくてもそうじゃないですか?

もともとデザインの中心にあったスキルや姿勢が、AIによって見えやすくなっただけなのではないか、と思います。

  • 誰の問題なのかを考える。

  • 何が分かれば前に進めるのかを考える。

  • 複数の選択肢を作る。

  • 見える形にして比較できるようにする。

  • 試して、反応を見て、修正する。

  • 関係者が同じものを見て話せる状態を作る。

これらは、AIが出てくる前からデザインの中にあった行為です。

「デザイナーの」デザイン活動は「その先にいる人のため」

では「デザイナーのする」デザイン活動の中心原理は何か?

もともと、デザイン制作活動といわれて思い浮かべるような「UIを作る」も「資料を作る」も「プロトタイプを作る」も、それ自体が目的ではありません。

それらすべてのデザイン制作活動は「その先にいる人(ユーザーや読者)が、理解し、判断し、行動できるようにするため」の活動です。そして、その目的こそが、その人をデザイナーたらしめているのではないか。
というのが、今の持論です。

PMもコンサルもエンジニアも同じようにものづくりや課題解決をしていますが、そのものづくりに対する目的や姿勢がデザイナーと違い、その人をその職種たらしめています。

  • マーケ担当が「売上を上げるために」機能の提案をする

  • コンサルが「利益を上げるために」戦略を考える

  • エンジニアが「コストと処理最適化のために」設計を考える

  • 事業側が「投資判断のために」資料を作る

同じアウトプットをしていても、それぞれ「何のためにそれをやっているか」が違う、というイメージです。

ヒップホップもロックもジャンルじゃないそれは魂の名前だ
ギターが一本マイクが一本俺等は俺等の道を行くだけ

MOROHA - 革命

デザイナーもPMもエンジニアも職種ではなく魂の名前なので、ギターとかマイクとか、アウトプットの型で定義できるものではないと思っています。

デザイナーを離れてみて、デザインの価値が分かった

ここまで力説するのにも、ワケがあり、
実は私はWebデザイナーとしてこの会社に入社してから5回くらい職種が変わっています。

Webデザイナー、制作ディレクション、PM、デザイン営業、Webコンサルタント、SI営業を経験し、現在はサービスデザインや要求整理のような仕事をしています。

デザイナーの近くの職種をうろうろしてきたワケなのですが、いつもデザインの力が私を助けてくれました

例えばPMをしている時、クライアントの考えとデザイナーの考えとエンジニアの考えが食い違うことがままあります。

デザイナーの皆さんも「最高のUIを考えてエンジニアに依頼したら苦い顔をされる」「クライアントの修正指示が曖昧で工数だけ使ってフィックスできない」みたいな経験あるのではないでしょうか

ここでPMとして「クライアントとデザイナーとエンジニアの考えの違いを構造的に分解して落としどころを見つける」をするわけなのですが、
これって「ステークホルダーの多いコーポレートサイトを作る時の情報整理とバランス感覚」と同じことじゃん、と気づきました。

実はやっていることの構造は似ている…説

長くなるので他の記事で改めて書きますが、営業やコンサルをしていた時も似たようにデザインの力で難局を乗り越えてきました。

「何かの問題があるところにデザインあり」って感じですね。いや〜潰しの効くいいスキルだ。

職種が変わる=デザイン対象が変わる

PM、コンサル、営業を経験して分かったのは、職種が変わると「デザインする対象が変わるだけでデザイン活動はし続けている」ということです

Webデザイナーのときは、画面や情報構造をデザイン。
PMでは、プロジェクトを前に進める論点をデザイン。
コンサルでは、問題と打ち手のつながりをデザイン。
営業では、顧客が判断できる提案の形をデザイン。

なんか「何でもデザインって言いすぎじゃない?」という声も聞こえてきますが、

全部デザインです!
というより、
どの職種でもデザインの力が効く場面があった、という感覚です。

観察・整理・設計・ビジュアル化、そして相手が意思決定できる状態を作る。

この力があったから、未経験に近い職種でも何とか仕事に入っていけたのだと思います。

全ての人間はデザイナーであるからデザイナーは全てに成れる

オーストリアのデザイナー、ヴィクター・パパネックの名著『生きのびるためのデザイン』で

"All men are designers."(全ての人間はデザイナーである)

Victor J. Papanek, Design for the Real World, 3

という言葉があります。

この本でパパネックは「望ましい理想の状態」に向けて行動を計画し、整えることがデザインの本質であり、それはアップルパイを焼くこと、子どもを教育すること、机の引き出しを整理することもデザインである、と主張しています。

こう聞くと、デザインがいろいろな職種に広がっていくのは、かなり自然なことなのかもしれません。
デザインの考え方を取り入れると「望ましい理想の状態」に近づけるわけですからね。

そんな潮流の中、逆にデザイナーはその力を意識的に鍛えてきた職種です。
実はいろんな職種にチャレンジしやすい能力を持っているのがデザイナー、
ポケモンでいうイーブイみたいな職種なのかもしれません

デザインを深めるもよし・チャレンジするもよし

他職種いっちょ噛みのススメ

じゃあどうやっていろんな職種にチャレンジするのよ?という話ですが、私は「いっちょ噛み」しました。

いっちょ噛みとは

一丁噛み。何にでも口をはさむ人、何にでも首を突っ込んでくる人、またその行為。

Weblio辞書

おせっかい・迷惑といったネガティブな印象がある言葉ですが、
ここでいういっちょ噛みとはPMの代わりにマネジメントをする、エンジニアの開発に文句をつける、という意味でなく、
「その職種や個人の持つこだわり・大事にしていること・目的=価値を理解して、その職種の人が仕事をしやすい状態をつくる」ようなイメージです。

例えば…

  • PMが次に決めるべきことをデザインチームから提案してみる

  • 営業の提案の精度を上げるために軽く認知的ウォークスルーを提出してみる

  • 開発が実装方針を考えやすいように、体験や要件を具体化する

みたいなイメージです。
(いっちょ噛みより良い言い回しは募集中です。)

求められる越境人材

似た概念に「越境人材」があります。

これは主体的にセクション・所属・職種の垣根を越えて経験や学びを得て、新しい価値の創造という形でセクションに還元できる人材のことを指しますが、
VUCAの時代ではこういった人材が重宝されると言われています。

越境

この越境人材になっていくための第一歩「まずは他職種に興味を持って垣根を越える」、そんな活動がいっちょ噛みなんじゃないかと思っています。

自分の職種の成果だけを見ていると、隣の工程で何が起きるかが見えなくなることがあります。
開発が苦しむUIを作ってスケジュールが遅れた。
きれいで使いやすいデザインでも事業成果に繋がらない。
良さそうな施策だけど、人手も予算も足りずに実行できない。

そういう分断を少しでも減らすために全体を考え、柔軟に職種の垣根を超えられる人の方がなんとなく市場価値が高そうなことは想像に難くないと思います。

どうやっていっちょ噛みしよう?

実際どうやって他職種にいっちょ噛みするか?という話は正直会社やチームの文化や本人のスキルによって変わり、パターンも十人十社で合計百色くらいありそうだと思っています。

AIの力でデザインの考え方やアウトプットが他職種に広まったように、逆にデザイナーも、他職種の考え方やアウトプットを使えるようになっていけると思っています。

まずは一番近くにいる非デザイナーに興味持って、何をしているか知りに行く、AIを使って理解を深めるからやってみるのもいいかも知れません。

他にも誰かがいっちょ噛みした事例を知ったり、他職種のセミナーに参加したりするのが良いかなと思います。
このnoteではそんないっちょ噛みした私の実践録を書いていったり、いろんな勉強会/LTに登壇したりしていきたいので、ぜひ追いかけていただければと思います。

まとめ

デザインはデザイナーだけのものではなくなってきた。
デザインの考え方だけでなく、アウトプットもAIによって広がっている。

しかしデザイナーは価値を失わない。デザイナーは意思決定できる状態をつくることができる。

この力はデザイナー以外の職種でも重宝するのでまずはいっちょ噛みするところから始めてみてはどうか?
一番近くの非デザイナーが、何に困り、何を持って判断し、何にこだわりを持っているのかに興味を持ってみよう。

という話でございました。
皆さんもぜひいっちょ噛みしてみてはいかがでしょうか!

【追記】デザインは意思決定できる状態をつくるだけか?

今回の内容、デザインは「意思決定ができるようにする仕事以外何もない」みたいなことを言いたいわけではないのはご承知おきいただきたいです!

「ユーザーが思った通りの行動ができるようにする」をビジネス寄りな「意思決定」という言葉で表現しました。

デザイン自体は意思決定だけではなく、「ユーザーが思いもよらない意味や感情を作る」「ユーザーの意思が介在しない行動変容=習慣を作る」みたいな側面もあります。

例えば、ブランドデザインで「この会社は信頼できそう」「古そう」「このプロダクトは自分向けっぽい」みたいな印象を作る仕事はユーザーの明確な意思決定は介在していないと思います。

だからデザイナーの奥義の一つに「意思決定できる状態をつくる」がある、みたいな解釈がいいのかも。

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