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手に取って読みたい、ユニークな展覧会図録。

良い展覧会に出会ったら、ミュージアムショップでまずチェックしてしまう図録。

 先日、連載させていただいているwebメディア「ナンスカ」でサントリー美術館で開催中の「リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏」展について書かせていただきました。

■日本古美術の「裏」の楽しみ方を知る/リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏(サントリー美術館)

記事の中でも書いたのですが、こちらの展覧会の図録(「ハンドブック」という名称になっていました)がとてもユニーク。

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ミニチュアを実物大の道具と同じサイズに撮影して見せたり、専門違いの学芸員さんからの「わからない」についての解説があったり。

同じ作品を扱ったサントリー美術館の過去のコレクション展の図録と比較して読んでみたのですが、文章の書き方や写真の載せ方も全然違って、初心者向けに”楽しみかた”を優しい言葉で解説してくれていて、展覧会で楽しんだ後にも別の楽しみ方ができる感じで良いなぁと思いました。(読み物的にも面白いです。)

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そういえば、最近見た中でもユニークな図録があったなぁと思い、まとめてみました。

① 図録の実態はこっち(物理)じゃない。 / 「エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク インターネットアートへの再接続」展(東京都写真美術館) 図録

正直言うと、郵送でこの図録が届いた瞬間はちょっと「がっかり」だったんです。展覧会を観たときにはまだ図録ができておらず、ミュージアムショップで予約したのですが…

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「図録」って、分厚くて重いのが定番なのにこちらは週刊誌よりも薄くて。しかも、内容は、展覧会と並行して開催されていたweb会場と同じじゃないか…と。(そして、送料が900円… )

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でも、図録のなかにあるQRコードから見ると、web上で作品や動画、オーディオコメンタリーにたどり着けると言うもの。(ちなみに、図録買わなくても内容はweb会場でまだみられます。)

つまり図録の本体はwebの中。じゃぁ、ここにある物理的な「図録」って一体なんなのだろう…?カタログ?図録本体への入り口?

インターネットが一般に普及し始めた1990年代から、いち早くインターネットそのものを素材としてきたエキソニモ。よく考えてみたら、その「図録(作品集)」が紙で展開されるのははちぐはぐで、一番魅力が伝わるのは確かにwebの中のハズ…

一瞬がっかりしてしまったけど、「図録」というものの既成概念を壊すようで、考えているうちに面白くなってきて、あぁ、やっぱり買ってよかったと思う図録でした。

■オンラインで感じる新しい「リアル」 / 「エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク インターネットアートへの再接続」 (東京都写真美術館)

② 会場の空気感まで伝える図録 / 「久門 剛史 − らせんの練習」展(豊田市美術館)図録

外観はしっかりした製本で、いかにも「美術展の図録」という感じの図録。

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ページをめくると、まずは展覧会の会場の展示風景の写真が並びますが、「紙」に刷られたイメージの上に「プラスチックフィルム」に刷られたイメージが重なって作品の動きを表しているようなページがあったり、作品のイメージとあった紙の種類やエンボス加工が施されて図録1ページが作品そのもののように楽しめたり

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特に面白いなと思ったのが、この、白いページが何ページも続く箇所

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この先に掲載されている作品は、美術館では真っ白く広い部屋の片隅に、下手をすれば見落としてしまいそうにひっそりと置かれていたんです。なんだか、「写真」ではなく「図録」そのものから、展覧会の作品ひとつひとつの空気を感じられるようです。

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日常の中の「何気ないけれど 美しい瞬間」を切り取って精製したようなインスタレーション作品を手がける久門 剛史さん。インスタレーション作品の中にある「気配」は写真だけからは伝わりきらないけれど、それが図録の構成で感じられるようになっていたのが素敵な図録です。

■ 日常の中の 美しさ と はかなさ ー久門 剛史 − らせんの練習 @豊田市美術館

③ 思考の地層? / 「目 非常にはっきりとわからない」展 (千葉市美術館)図録

昨年見た中でもかなり混乱した展覧会「目 非常にはっきりとわからない」展。こちらも、展覧会を見に行った際にはまだ図録ができていなくて。(そういえば、②の久門さんの図録も予約して郵送受け取りでした。)

届いた図録を見て、まずは「なんだこれは?!」状態でした。

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サイズの異なる冊子の集合体のようなつくり。それぞれのページの塊ごとに紙も違うし、ページをめくるのも、まるで背表紙を剥がした側からめくるような感触。

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1つの冊子のような塊ごとに、テーマが分かれているようにも見えるけど、同じ塊の中に違う展覧会の作品も並ぶし、論説もちょっとずつ分かれていたり。なんだかこちらも、非常にはっきりとわからない。

展覧会自体が、チバニアンに着想を得たということもあり、なんだか、その思考が地層のように堆積していった状態にも見える図録です。

■ いくつもの相反することが両立していた展覧会 - 「目 非常にはっきりとわからない」展 @千葉市美術館- を わからないなりに振り返る。


ちなみに我が家で一番分厚い展覧会図録は、「村上隆のスーパーフラット・コレクション」展(横浜美術館)の図録。測ってみたら厚さ5cm。正統派で内容もずっしり… こちらも"手にとって読みたい"図録です。

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webで様々な作品を見たり知識を得られるようになっても、手元で楽しめる図録はやはり楽しいですね。


今回挙げた図録、最初のサントリー美術館のもの以外は、すべて発行前に、内容も分からず、展示だけ見て予約発注したものだと気付きました。企画自体が面白い展覧会だと、やっぱり何を考えたのか知りたくて図録を買ってしまうし、そのなかでも凝った図録は第二の展覧会場のように楽しめますね。

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