働いている高齢者の介護保険料、2027年度から上がる? まだ決まっていないこと

初稿は2026年9月16日時点。9月19日に9月18日の審議会資料を追記しました。検討中の案を、決まった保険料として扱わないための整理です。

「65歳以上で所得が高い人の介護保険料を、2027年度から引き上げる方向」。共同通信の報道を見て、働いている高齢者やその家族は、仕事を続けると負担はいくら増えるのかと気になったかもしれません。

まだ金額は分かりません。報道に出てくる「年間所得720万円以上」は案の一つで、対象となる所得区分も増額幅も、これから議論する段階です。対象は所得で考える案であり、「働いている人だけ」とは決まっていません。厚生労働省の介護保険部会の日程には、9月18日の議題として65歳以上の保険料の在り方が載っています。
【9月19日追記】9月18日の第136回介護保険部会で、厚労省は高所得者の標準乗率の見直しと、住民税非課税から課税に移る際の保険料上昇を和らげる案を検討論点に挙げました。新しい所得区分・倍率・個人の保険料を決めた資料ではありません。資料1(4ページ):https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001750951.pdf

そもそも、介護保険料はどう決まる?

65歳以上の介護保険料は、住む市区町村がまず「基準額」を決め、本人・世帯の住民税の状態や本人の所得に応じた段階で金額を決めます。国は標準的な段階と倍率を示しますが、請求される金額は全国一律ではありません。

現行の2024~26年度には、国の標準段階はすでに13段階です。厚労省の説明によると、前の9段階から細かくし、高所得層の倍率を上げ、低所得層の倍率を下げました。たとえばむつ市の保険料表では、本人の合計所得金額が720万円以上の区分が、現行の最高段階に当たります。今回の話は、何もないところに初めて720万円という線を引く話ではありません。

「所得」は、給与の額面年収や受け取った年金の総額と同じではありません。また、自治体が国の標準より細かい段階を設けている場合もあります。「自分は年収が720万円だから、来年からいくら増える」という計算は、今はできません。

なぜ引き上げを考えているの?

報道によれば、介護にかかる費用が今後も膨らむ見通しのなかで、支払い能力のある人の負担を増やし、制度を維持する狙いです。すでに2024~26年度の保険料の基準額は全国加重平均で月6,225円です。ただし、この数字は全員が払う額でも、2027年度の予想額でもありません。住む場所と所得段階によって金額は変わります。

もう一つ、今回の報道には見落としたくない点があります。年金額が上がるなどして、住民税非課税世帯から外れた人の介護保険料が急に増える場合、負担を和らげる案も検討されるということです。少し収入が増えただけで保険料が大きく動くなら、生活の実感と制度上の「負担能力」がずれます。高所得者にもっと負担を求めることと、その境目にいる人をどう守るかは、一緒に考えるべき問題です。

今、確認すべきこと

現時点では、誰が対象になり、月額や年額でいくら変わるかは決まっていません。今回の話は、介護サービスを利用したときの1割・2割・3割の自己負担を、そのまま変更するという報道でもありません。公表された9月18日の資料と今後の審議で所得区分・負担の考え方を確認し、制度が決まったら住む市区町村の保険料表を見る。この順番なら、見出しだけで自分の負担を決めつけずに済みます。私が特に見たいのは、高所得者の引き上げ幅だけでなく、非課税から課税に移る人の負担をどの程度、どの期間和らげるかです。そこで制度の公平さが具体的に見えてきます。

現行制度と地域差を詳しく確認したい方は、ブログ版の記事もご覧ください。

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