最近、気づいた──平日のジムが“おもしろくない”理由
平日昼間のジムは「おもしろくない」
僕は、あるときから筋トレに目覚め、定期的にゴールドジムに通っている。 会社員時代は平日に時間が取れず、土日のどちらかに行くのが習慣だった。
休日のジムはいつも混んでいた。 使いたい器具が空いていないことも多く、地味にストレスになる。だからこそ、ずっと思っていた。
「平日昼間に行けたら最高なのに」
FIRE生活になり、その願いはあっさり叶った。平日14時、フリーエリアでバーベルを持ち上げる。周囲10メートル、誰もいない。器具は使い放題。 時間が止まったような静けさ。理想そのものだと思った。
ところが、そんな生活を半年ほど続けるうちにふと気づいた。
「あれ、なんかおもしろくない」
🧠 ジムが“おもしろくない”理由
平日昼間は、空いていること自体はメリットだ。しかし、完全に無人の空間でトレーニングしていると、ある感覚が薄れていく。
それは 他人の存在が生む“刺激” だ。
人が近くにいれば、自然と観察する。
・ あの人、スクワットで膝が出てるな
・ 足のトレーニング、もっとやったほうがいいのでは
・ 負荷、軽すぎない?
他人のフォームや負荷を見て、自分のトレーニングの参考にできる。
つまり、僕は無意識に 他人の存在を通して自分を調整し、活性化していた。それがなくなると、空間はただ静かで、手応えがない。
その結果として「おもしろくない」と感じてしまう。
さらに、静かな環境が続くと、刺激を求める気持ちが出てくる。平日昼間のジムは快適だけれど、あまりにも静かすぎて、「僕、一人で何やってるんだろ?」というような感覚にもなる。
休日のジムには、人の動きや器具の音があって、それがちょうどいい刺激になっている。
🧠 父の行動にもあった“同じ感覚”
この感覚は、実家の父の行動にもあった。
僕の実家は地方都市で、普段は人が少ない。しかし、ゴールデンウィークなどの連休になると、帰省や観光客で人が増える。
父は、なぜか 人が増えたタイミングでホームセンターへ行きたがる。
僕はいつも言っていた。
「わざわざ混んでるときに行かなくてもいいよ」「車も多いし危ない」「平日の空いてるときに行けばいいのに」
父は何も答えなかった。 ただ、その時は、連休の“ワサワサ感”に心が踊って、行きたくなっているのだろうと思っていた。
そして最近、僕は気づいた。
あれは、僕が“人のいないジムはおもしろくない”と感じたのと同じ感覚だったのではないかと。
🧠 ジムとホームセンターに共通する心理
ここからは、あくまで僕が調べたり感じたりした範囲の話だ。専門家ではないので断言はできないが、どうやらこの4つの心理が関係しているようだ。
● 社会的比較(Social Comparison)
人は他人の行動を見て、自分の行動を評価し、調整することがある。
・ ジムでは他人のフォームなどを見ることで、自分のやりかたを見直す
・ ホームセンターでは他人の買い物などを見ることで、自分の刺激になる
● 社会的促進(Social Facilitation)
人は「他人がいる環境」のほうが、行動意欲が上がりやすい。
・ ジムでは他人がいるだけで集中しやすくなる
・ ホームセンターでは人の流れがあるだけで気分が上がる
● 環境刺激の欲求(Sensation Seeking)
静かな環境が続くと、人は刺激を求めることがある。
・ ジムが静かすぎると物足りなく感じる
・ 静かな日常が続くと、“人の流れがある場所”に行きたくなる
● 行動が活性化しやすい傾向(Environmental Enrichment)
人は“人の流れがある場所”に行くと気分が上がりやすい。
・ 静かなジムより、少し人がいるジムのほうがやる気が出る
・ 連休のホームセンターに行くと気分が上がる
つまり、 ジムもホームセンターも、他人や環境の刺激があれば空間に活気が生まれ、その活気が行動を後押しをする。
🧠 ジムの通い方が変わった理由
筋肥大の理想は「3日に1回」。つまり、筋トレ → 2日休む → 筋トレ、というリズムだ。僕は、体調や生活の流れから 4日に1回のペースでジムに通うことにしていた。 月曜に行けば、火水木が休息日になり、次は金曜。ただし、“人のいないジムはおもしろくない”と感じてからは、できるだけ 土曜日に行くように変えている。(日曜日は土曜日よりさらに混むから避けているが。)
土曜日に行くようになって気づいたことがある。平日に見かける、無職(だと思われる)の高齢者が、土曜日にも来ている。
以前の僕なら、「平日来れるなら、わざわざ混む土曜日に来る必要ないのに」と冷めてみていた。
今は、「彼らも“人のいるジム”に来たいのだろうな」と思うようになった。
🔍 結論:人は「静けさ」より「少しの他人」を求めている
FIRE生活で平日昼間にジムへ行けるようになった。 これは確かに理想だ。 しかし、常に平日に行くと、人がいないので刺激が少なく、案外おもしろくない。
人がいると、他人との比較や行動意欲の向上など、ちょうどいい刺激が生まれる。
FIRE民の最大の敵は、孤独だ。
社会的孤立は、脳科学的に見れば「海馬の萎縮」を招く猛毒だ。
さらに、判断や計画を司る「前頭前野(ぜんとうぜんや)」への刺激がほぼゼロになり、人間としてのキレは急速に衰えていく。知性は、運用し続けなければ維持できない資産なのだ。
そう考えると、土曜日にジムへ行くことは、筋トレにちょうどいい刺激が生まれるとともに、社会的孤立を防ぎ、脳への刺激を与えていくFIRE民の生存戦略でもあるのだ。

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