タレントマネジメントシステムを作ろう! (1)優秀人財の見つけ方
本日は以下の内容でお送りします!
1) 「タレントマネジメント」とは?
2) 一般社員のタレントマネジメント
3) 管理職のタレントマネジメント
4) こんなタレントマネジメントシステムを作りたい。
って、思って書き始めたんですが、このテーマ、書きたいことがいっぱいありすぎてぜんぜん終わらない!
なので、いったん、書けたところまでであげちゃうことにしました。中途半端でスミマセン。
と、いうことで、今回は『タレント…埋もれた優秀人財の見つけ方』です!
そもそも、何でタレントマネジメントについて書こうと思ったか?っていうところから始めたいと思います。
この数年の間に、お客さまの人事制度構築をお手伝いしていると必ず直面するのが、お客さまが使用しているシステムの制約です。
〇〇ナビとかあしたの〇〇とか。スマート〇〇とかタレント〇〇とか。
そういう人事系Saasを導入していない企業さんにほとんど出会わなくなりました。(もちろん自社開発しているお客さまにも、たまにですが出会います。)
だけど、こうした人事系システム、どうも実務的な利便性よりも「制約」と感じてしまうことが多いんです。
たとえば。。。
評価シートのレイアウトが、評価者の入力手順や思考プロセスに沿ったデザインにできない
評価や報酬のデータ分析ができない(過去5年の推移とか、課ごと、部ごとの一覧化とか)
もちろん、そもそもシステム化した目的が労務管理、給与計算、年末調整や社会保険などの人件費や福利厚生に関わる公的手続きを省力化する、ということであれば、そもそも人財マネジメントまわりの機能に多くを求めるのは筋違いでしょう。
ですが、「タレントマネジメントシステム」を名乗りながら、評価・報酬データの分析ができなかったり、さらにはそこから異動・配置、登用・任用、育成・訓練の計画立案ができないのは「ちょっとどうなのよ」と、思ったりするわけです。
結局、システムからCSVに落として、それをエクセルに変換して分析作業を進めます。その時にも、CSVデータが列・行で整理されてないので、果てしないコピー&ペースト反復作業をして、ようやく分析に使用できるデータベースになることが多いという・・・コパイロットのおかげでだいぶ楽になったとはいえ、わざわざシステム化した意味があまり見当たりません。
そんなモヤモヤを抱えている日々の中で、ある日突然、私の保有株式のいくつかの銘柄が大暴落しました。いわゆるSaas銘柄です。アンスロピック・ショックっていうやつです。
曰く、「Claude Codeの出現によって、あらゆるシステムを内製化できるようになるであろう。ならば、画一的なフォーマットを顧客に強要するクラウドベースのSaasビジネスはこれから不要となり、衰退していく可能性が高い」という予測のもと、あらゆるSaas事業者の企業価値評価が大幅に低下した、と。
自分の資産が目減りしたのはちょっとショックではあったのですが、「そうなの?そんなに簡単に自社システムを作れるようになるの?」という希望が芽生えてしまいました。
ならば、人事コンサルタントのアウトプットも、全部システム化できるんじゃない?と。いや、そうしないと淘汰されていくんじゃない?と。
じゃあ、まずは人事コンサル的に実現したいタレントマネジメントシステムの仕様や要件をまとめてみよう!と、いうのがこのテーマの発端です。
そもそも「タレントマネジメント」とは?
実はこのテーマに限らず、人事の世界って完全に市民権を得ている言葉でも、意外とその定義って確定していないんです。この「タレントマネジメント」なんて、まさにその代表。人によってその捉える範囲や対象、活動イメージが全然違う。
まあ、そういう意味では「タレントマネジメントシステム」と名乗る昨今の人事Saasを「おかしい」と批判する私の方が理不尽なわけです。その企業にとっては「人事データをシステム検索しやすくする=タレントマネジメント」っていう定義でこの言葉を運用しているわけですから。それを批判する権利やロジックは、誰にもない。
なので、まずは私は私なりに、私が実現したい「タレントマネジメント」を定義しないといけません。
私がタレントマネジメントといったとき、そのタレントの定義は「人」です。タレントという言葉は本来は「才能、能力」という意味合いです。ですが、人事の話をしていますので、ここでは「タレント(才能・能力)を持った人」という意味合いで捉えます。
で、そのタレントを「マネジメント」していこうというわけですが、このタレントマネジメントを具体的に定義すると、以下の三つを連動させること、と認識しています。
発見(発掘)・・・タレント(優秀人財)を見つける。
配置(育成)・・・タレントに業務を与え、成果創出を促す。
評価(検証)・・・タレントの評価をする➔発見(発掘)に戻る。
タレントマネジメントをシステム化するためには、まずこの一つ一つを具体的な作業(プロンプト)レベルに落とし込まなければいけません。
で、まずはタレント(優秀人財)の発見(発掘)なんですが・・・評価(検証)のところの、「発見(発掘)に戻る」っていうのも含めて、ここがいちばん大事なところなのに、いちばんモヤモヤしてわかりにくい。
今回はそこを説明していこうと思います!
タレントの発見(発掘)をどうやる?
才能の発見・発掘といったときに、「埋もれた優秀な人を見つける」というイメージが一般的なわけですが、これが実は、タレントマネジメントの実現を邪魔する最大の原因になっています。
なぜなら「優秀な人」が「埋もれている」って、イメージ的にはあり得ても、現実的にはあり得ないんです。
だって、優秀な人には高い評価がつくはずで、埋もれないでしょ?
埋もれているとしたら、その程度の微妙な差しかつかない程度の「ふつうの人」なんじゃないの?と。
もしあり得るとしたら、その上司が不正(優秀なのに意図的に評価を低くしているとか)しているか上司として不適格(正しい評価を判定できない)かのどちらかのケースだけで、いずれにしてもシステムや人事制度の話じゃない。
でも多くの企業も人事コンサルもこの「埋もれた優秀な人」を諦めきれない。なぜなら、ここを諦めた瞬間に「タレントマネジメント」の魅力が半減するからです。
魅力的ですよね。今は開花していないだけで潜在的に優秀な人が我が社に埋もれている。それを見つけ出し、開花させると我が社を飛躍的に成長させる原動力になってくれる。タレントマネジメントにはそんな期待がある。
だから「埋もれた優秀な人の発見(発掘)」を諦めきれません。
だけど難しい。その「潜在化」した人をどうやって見つけるんだよ、と。ここで議論が前に進まなくなる。タレントマネジメントはその第一歩で頓挫している。これが、多くの企業におけるタレントマネジメントの現状です。
そこで、私はこの「埋もれた優秀な人」を、企業の「機会損失」という着眼点から発見・発掘するというアプローチが、タレントマネジメントを実務に落とし込む上で有用ではないかと考えています。
このタレントマネジメントにおける機会損失という概念をご理解いただくためには、まずコンピテンシー理論における「場面特異性」という言葉を共有する必要があります。
場面特異性とは、保有するコンピテンシー(能力=才能)や性格、動機づけの傾向などを含めて、人が持つ「特性」は直面した場面によって発揮されたり発揮されなかったりするし、発揮のされ方も異なる、という概念です。
たとえば「高い”リーダーシップ”という能力を保有する人」と評価された人がいたとします。
場面特異性とは、その人が「どんな場面でも常時そのリーダーシップを発揮するとは限らない」ということであり、どちらかと言えば「むしろどんな場面でも常時そのリーダーシップを発揮する人の方が少ない」ということでもあります。
新卒の採用面接をイメージしてみましょう。
「大学のサークル活動で3年生の時にリーダーシップを発揮した」という実績を面接で確認できたとします。じゃあその人を採用したら、どこに配属しても職場でそのリーダーシップが発揮されるのか?っていう話です。
そんなわけはありませんよね? 学生のサークル活動と企業におけるビジネスではリードすべき相手の属性も異なりますし、リードすべきテーマが違う。リードに必要な能力も異なります。つまり、「場面の特性」が全く違う。
または、同じ新卒がらみでこんな話もあります。
新入社員研修の担当者の方の、よくある「愚痴」。
「インターンや採用の際のグループワークでは、みんなすごいリーダーシップを発揮していたのに、新入社員研修ではほとんど質問もしないし、グループワークでもぜんぜん率先して発言しない」と。
つまり、採用面接の時はキラキラしたとても優秀な人に見えたのに、入社してしまうとふつう以下の人に見える、と。
当たり前ですよね。インターンや採用面接の時は「採用されたい!」という強い動機づけがあり、「リーダーシップや積極性が見られているに違いない!」という予測があり、だからこそ「積極的に発言しなきゃ!」ということで、それらしき行動が発揮されているわけです。
決して採用の仕方が悪いと言っているわけではありません。そもそもそういう能力を持ってないと発揮することはできませんから。
きちんとそういうリーダーシップや積極性といった能力を持った人を採用できているでしょう。
だけど、持っているということとそれを発揮するということは別問題。
持ってはいるけど、新入社員研修の時には「リーダーシップや積極性が見られている」とはまったく思っていないから、発揮しない。それだけのことです。
たぶん、「新入社員研修中の発言や振る舞いは全て記録されていて、その内容によって配属を決定します」とか言われたら、面接やインターンの時と同じようにリーダーシップや積極性を発揮する人が増えるのではないでしょうか。
だけどそれでも、「入社すること」がゴールになっていて配属はどこでもいいや、って思っている人はその力を発揮しないでしょう。
つまり、この場面特異性という言葉が示すのは、あらゆる場面で「優秀な人」はいないということです。
言い換えれば、私たちが「優秀な人」を探すときには「こういう仕事(場面)において」という言葉とセットで探さないといけないということです。
「”この仕事で”優秀な人」、どこかにいないかな?
さて、この場面特異性という概念を踏まえて、企業におけるタレントマネジメント上の機会損失とは何か?を説明していきましょう。
この機会損失を現象面に置き換えてひとことで言うと「同一職場における評価の停滞」だと考えています。「ずっと同じ仕事をさせていて、ずっと同じ評価を与え続けている」という状態。
評価の高さには関係がありません。「同じ仕事で同じ評価」が続いているということ自体が、企業としては機会損失だと考えるべきなのです。
なぜか? 一つずつ考えてみましょう。
まず、同じ仕事をしていて、ずっと高い評価を得ている人がいたとしたら?
その人に「もう一つ上の仕事」や「より大きな仕事」を与えることで、会社により多くの果実をもたらしてくれるかもしれません。これが利益を得る(可能性がある)機会です。
ですが、その「機会(期待利益)」よりも目の前の「安心」を優先して同じ仕事を与え続けると、この「得られたかもしれない果実」は絶対に得られない。これが「機会損失」です。
もちろん、現場の上司としては、同じ仕事をさせているのが「安心」なのはわかります。その人に新しい仕事をさせて、同じように高い成果を上げてくれるとは限りませんし、その人を今の仕事から外した後、その仕事を別の人(高い評価でない人)にやらせるのも不安でしょう。
でも、「会社」の視点で見れば、せっかくの「高い評価の人財」を「上司の安心」のために消費されている。
会社としてはその人をキャリアアップさせて、より高い成果を生み出すように生かしてほしい。その機会を「安心」と引き換えに奪っている。だから、機会損失なのです。
この機会損失は「高い評価を得ている人」だとイメージしやすいのですが、実は、「普通の評価の人」や「低い評価の人」に関わる機会損失を理解することのほうが、タレントマネジメントにおける「発見・発掘」をシステム化するうえではとても重要だと思っています。
なぜなら、この「普通の評価の人」や「低い評価の人」に関わる機会損失こそが今日のテーマのターゲットである「埋もれた優秀な人」なので。
タレントマネジメントとは基本的に「人財(の能力・才能)」と「業務」とのマッチングのありかたです。場面特異性というのも、この「能力・才能」と「場面(業務)」とのマッチングを指しているわけです。
たとえば「ずっと米国に住んでいて、高い英語力と米国のビジネススタンダードを身に着けた人だけど、人間関係を重視する日本的な組織になじめない人」がいたとします。
この人が日本企業で極めて日本的な仕事のしかたを求められ、国内企業のみを相手にしている部署に配属されているとしましょう。
そして、上司や同僚から「あの人は、実務能力はあるんだけど、チームワークや連携ができないので同僚や関係者からの評判が悪い」ということで、普通以下の評価が続いている。
このような例をあげれば、普通以下の評価の人に関わる「機会損失」が、まさに「埋もれた優秀な人」であるというイメージが伝わるのではないでしょうか。
ちょっと極端な例をあげましたが、同じ職場において普通の評価や低い評価で、同じ評価が続いているということは「そこで同じ仕事をさせていても、能力と業務のマッチングが最適ではない」ということであり、「今後飛躍的に成果をあげられるようになる可能性は低い」という予測につながります。
ところがふつうは「場面特異性」という概念は知られていないので、ある職場で評価が低い人は「どこにやっても大した成果は出さないだろう」と、普遍化してとらえてしまいます。
だけど、場面特異性という概念に基づけば、その人は「その仕事では優秀でないだけ」という解釈をしなければいけないんです。
その人をほかの職場、ほかの業務に持っていくと「その仕事では優秀な人」に化ける可能性が高いんです。だって、同じ会社に勤めているということは、採用段階でスクリーニングがかけられているので、保有能力レベルでものすごく差がついているわけがないはずですから。
場面特異性という概念を知らないと、採用段階でわからなかった「潜在力の差」で差がついているかのように見えるのですが、同じ会社の中で優秀な人とそうじゃない人の差は、実は個人の能力差よりも、仕事の与え方の差なんです。
もちろん、「どんなことをやらせても優秀な人」の存在を否定するわけではありませんから、「どんなことをやらせても無能な人」の存在も否定できません。
しかし、少なくともいままで私が見てきた限りで言えば、そういう「どんなことをやらせても優秀(または無能)な人」のほうがレアです。ふつうは、「この仕事では優秀(無能)な人」という限定条件付きの人のほうが圧倒的に多い。
なので、普通以下の評価が固定化して続いているのであれば、「他の業務や職場に異動したら、飛躍的な成果をあげる優秀な人になるかもしれない」という期待を持つべきなのです。それが、私のタレントマネジメントにおける「優秀なのに埋もれた人」の定義と言えます。
この場面特異性と機会損失というキーワードがあるので、私が構想するタレントマネジメントシステムでは、「長期にわたって同じ仕事についていながら、同じ評価で固定してしまっている人」を自動抽出する機能が不可欠です。この人たちがタレントマネジメントの次のプロセスである「配置(育成)」において「異動対象者」としてピックアップされるイメージです。
こんなふうに、まずはタレントマネジメントの第一歩である「埋もれた優秀な人財」の定義と発見・発掘のアプローチをクリアすると、じゃあ、次はその人たちを含めた全社の配置・育成の仕組みを整えていかないといけません。
配置(異動)と育成。まさにタレント”マネジメント”のど真ん中ですね。
こんな調子でいつまで経っても投稿できないので、一旦ここまでで投稿しちゃいます。
続きはまた次回ということで。
ご参考になれば幸いです!
