【NHKトリセツショー】 嗅ぐだけで健康革命!? 「鼻」の力を守る全力対策を徹底解説!
※この記事にはAmazonアフィリエイトリンクが含まれています。
2025年9月11日にNHKで放送された「あしたが変わるトリセツショー」は、「嗅ぐだけで健康革命!?「鼻」の力を守る全力対策」と題し、見過ごされがちな嗅覚の重要性と、その力を守るための具体的な方法を大特集しました。
多くの人が「鼻は健康」と思っていても、実は知らぬ間に嗅覚が衰えている可能性があります。60代以上の方を対象とした調査では、自分の嗅覚を「正常」と認識していた人が91.5%だったのに対し、実際に検査すると67.4%の人に嗅覚の異常が見られたという衝撃的な結果も報告されています。
嗅覚はただ匂いが分かるだけの機能ではなく、私たちの命と健康に深く関わる「命綱」なのです。
1 驚異の嗅覚パワー!健康と寿命を守る「鼻」の力
◆ 命と健康への影響
嗅覚が失われると、単に食事の楽しみ(風味)がなくなるだけでなく、体に大きなダメージを与えることが最新の研究で明らかになっています。
1 死亡リスクとの関連: あるアメリカの研究では、最初の時点で嗅覚を失っていた人は、嗅覚が正常だった人と比べて、死亡との関連性の強さを表す数値が3倍以上も高かったと報告されています。
2 連鎖する健康被害: 嗅覚の低下は食欲の低下を招き、栄養状態の悪化につながります。その結果、筋力の低下や歩行能力の低下、さらには引きこもりや社会的孤立、抑鬱症状や軽度認知障害といった認知機能への影響が及び、最終的に寝たきりや肺炎、そして死亡リスクの増加につながるというリスクの連鎖が指摘されています。
3 認知症などとの関連: 嗅覚障害は、認知症、肺炎、筋肉が衰えるサルコペニア、そして抑鬱症状とも強い関連があることが多くの論文で報告されています。
◆ 匂いを嗅ぐだけで身体能力が向上!?
匂いは運動能力や代謝にも不思議なパワーを発揮します。
• 姿勢の安定と運動機能の向上: リハビリテーションの専門家である矢野さんの研究では、醤油の匂いを嗅ぐことで運動のパフォーマンスが向上することが発見されました。体に麻痺のある患者さんが醤油ベースのソースの香りを嗅いだ途端、後ろに傾いていた姿勢がまっすぐになり、支えなしで立てる時間が2倍以上長くなった例が確認されています。健康な人での実験でも、醤油の匂いを嗅いだ後、バランス能力を測るテストで腕を伸ばした距離が平均3.5cm伸びるという結果が出ています。これは、美味しそうな匂いを嗅ぐことが、姿勢を安定させる腰の筋肉と腕を伸ばす脇の下の筋肉の粘度を良くした可能性があると考えられています。
• 体脂肪の燃焼: 富山大学の研究では、匂いを嗅ぐことによって体脂肪が燃える効果が発見されました。食べ物の匂いを嗅ぐと、血液中のIDA(脂肪から放出されたエネルギー源)が増加します。これは、体が「これから食べるものにたどり着く」ための準備として、脂肪を動員してエネルギーに変える進化をしたのではないかと考えられています。
2 嗅覚を奪う二大要因とその対策
嗅覚障害の主な原因は、鼻たけ(鼻茸)を伴う慢性副鼻腔炎と、感冒後嗅覚障害です。
◆ 敵その1:嗅覚最大の敵「鼻たけ」(慢性副鼻腔炎)
嗅覚障害の原因の中で最も多いのが副鼻腔炎(蓄膿症)です。
• 原因: 副鼻腔炎によって鼻の中にキノコのような塊、すなわち「鼻たけ(ポリープ)」ができてしまいます。これは、細菌やウイルスと戦う免疫細胞が過剰に反応し、強い炎症が起きた結果、血管から出たタンパク質や免疫細胞の死骸などが塊になったものです。
• 影響: 鼻たけが匂いを感じる嗅神経細胞が分布する鼻の天井付近を塞いでしまうため、匂いの分子が届かなくなり嗅覚が奪われます。
• 注意すべき疾患: 慢性副鼻腔炎の中でも「好酸球性副鼻腔炎」は特に重症になりやすく、鼻たけができやすい病気であり、患者の半数以上が喘息を合併していることが多いです。
• 治療法: 最初は薬で治療しますが、難しい場合は手術が行われます。再発しやすい場合は、近年は生物学的製剤という非常に効果のある薬での治療も選択肢となっています。
◆ 敵その2:嗅覚が突然消える「感冒後嗅覚障害」
感冒後嗅覚障害は、嗅覚障害のおよそ26%を占めています。
• 原因: いわゆる風邪や新型コロナウイルス感染症など、ウイルス感染の後に嗅覚が失われることです。
• 愛しい細胞の自己犠牲: ウイルスは鼻の粘膜に侵入し、嗅細胞が感染するリスクが高まります。嗅細胞は脳に近く、脳と直接繋がっているため、ウイルス感染が脳に広がるのを防ぐため、感染した嗅細胞は自らの命を絶つ「計画的細胞死」を起こします。
• 早めの対処が重要: 嗅細胞には再生能力がありますが、炎症が長引くと再生に時間がかかります。嗅覚組織がダメージを受けた状態が長く続くと、その場所が比較的丈夫な喉などの呼吸に関わる組織に置き換わってしまうことがあります。一度他の細胞に置き換わってしまうと嗅覚は戻らなくなるため、早めに対処することが大切です。
• 治療: 神経賦活薬(神経を活発にする薬)やビタミン剤、漢方薬などが処方されることがあります。
3 嗅覚は鍛えられる!1日2分の鼻ケア術
加齢によっても嗅覚は衰えていく傾向にあります(20代をピークに低下)。この衰えを防ぎ、失われた嗅覚を回復させるための秘策が「嗅覚刺激療法」です。
• 嗅覚刺激療法(2分トレーニング): これは最新の診療ガイドラインでも強く推奨されている方法です。
• 目的: 匂いを嗅ぐことで、鼻の中の匂いを感じる細胞を刺激し、活性化させて回復を促します。
• 方法: 様々な香りの入った瓶を用意し、1つの香りにつき15秒間、何の匂いか意識しながら嗅ぎます。これを1日に2セット行います(合計約2分)。
• 香り: 2009年にドイツで考案された方法は、レモン、ユーカリ、クローブ、バラの4つの香りを使います。日本人に適した香りの研究も進められています。
• 日常での実践: 自宅で行う場合は、食事やお茶の際などに、納豆や醤油、コーヒーなど、どんな匂いかを分かった上で嗅ぐことが大切です。
ただし、鼻たけを伴う場合は刺激療法が難しい可能性があるため、まずは嗅覚障害の原因を特定するための受診が重要です。
4 自分の嗅覚をチェック!
嗅覚の衰えは非常に気づきにくいものです。
◆自宅でできるセルフチェック
兵庫医科大学の鈴木教授らは、日本人の生活に即した匂いの項目を用いた「日常のにおいアンケート」を診察でも用いています。
NHKの番組ホームページでもダウンロードできる「受診お助けシート」には、炊いたご飯、味噌、醤油、のり、パン、カレー、インスタントコーヒー、牛乳、チキンソテー、サラダ油、緑茶、石鹸、タバコの煙、家庭菜園の土、花、ガス、汗、便などの項目が挙げられています。
この中の項目で「分からないにおい」が1つでもあった場合、早めに耳鼻咽喉科を受診することが勧められています。
まとめ
嗅覚は、私たちが危機を察知し(ガス漏れなど)、生活の彩り(食事の風味、季節の香り)を保つための、まさに「命を守る感覚」です。匂いが分からなくなったと感じたら、それは単なる不便ではなく、健康や命に関わるサインかもしれません。
もし少しでも嗅覚の低下に気づいたら、また、日頃から鼻の健康に自信がない方も、専門家のアドバイスに従い、早期に耳鼻咽喉科を受診し、今日から1日2分の「鼻ケア術」を取り入れてみましょう。
