生活リズムを守るよりも大切なことに気づいた夜
娘が生後4か月に入り、睡眠退行らしきものが始まった。
睡眠退行とは、それまでよく寝ていた赤ちゃんが、急に夜中に何度も起きたり、昼寝が短くなったり、寝つきが悪くなったりする時期のことらしい。
決して後戻りではなく、五感が鋭くなったり運動機能が発達することによる成長の過程なんだそう。
とはいえ、赤ちゃんが眠らなくなることは、親にとっては悩みのタネ。
そんな睡眠退行と向き合う今、思い出すと少しだけ心が軽くなる夜がある。
ある日突然、寝るのが下手に…
生後2〜3か月ごろは生活リズムが整い、19時ごろの授乳中にウトウトし始めては、ベッドに運ぶとそのまますやすや寝てくれる日々が続いていた。
ところが、生後4か月を迎えて数日後、ある日を境に19時の寝かしつけに苦戦し始めた。
いつものようにベッドに寝かせても、すぐに泣いて起きてしまう。
そこから優しく声をかけるも落ち着かず、
トントン、抱っこ、授乳。
あらゆる手を尽くして、2時間後にようやく寝てくれる、という日も出てきた。

これまでの私は、娘の生活リズムを結構気にしていた。
何時に起きて、何時に授乳して、何時にお昼寝するか。
毎日きっちりその通りにいくわけではないけれど、「できるだけ同じリズムで過ごしたい」という気持ちがあった。
だから少し前の私だったら、19時になっても寝ない娘を前に、
「早く寝かせなきゃ」
「せっかく整ってきた生活リズムが崩れちゃう」
と、もっと必死になっていたかもしれない。
でも最近は少しだけ、
まあ、時間にとらわれすぎなくてもいいのかな。
と思えるようになった。
そう思えるようになったのは、睡眠退行が始まる少し前に、生活リズムが崩れたからこそ味わえた幸せがあったからだと思う。
リズムが崩れた夜に感じた幸せ
夫のお盆休みに、家族3人で都内のホテルに泊まった。
遠くへ出かけたわけではないけれど、娘にとってはいつもと違う場所。
その日も夜7時、いつも通り寝かしつけのルーティンをしてベッドに寝かせた。
でも、やっぱり知らない場所だからなのかベッドに置かれた瞬間に泣く。
いろいろ工夫してみたけれど、どうにも寝てくれない。
「まあ、旅行だしいいんじゃない」
という夫の一言で、いったん大人のベッドに寝かせて添い寝してみることにした。
夫と私の間に、娘をころん。
すると、さっきまで泣いていた娘が、今まで見たことがないくらいの満面の笑みを見せたのだ。
パパとママの顔を交互に見ながらニコニコしてたくさんおしゃべりしている。
その姿が、本当に本当に可愛くて。

夫と私がいて、その真ん中で娘が笑っている。
その光景を見ていたら、
「私たち、3人家族になったんだな」とふと思った。
娘が生まれて4か月。
毎日一緒にいるし、そんなことはとっくに分かっているはずなのに。
家族が増えたことを改めて実感して、たまらなく嬉しくなった。
娘の笑顔を見ながら、私は泣いていた。

生活リズムを整えることも、もちろん大切。
でも、もしあの日も「19時に寝かせなきゃ」と必死になっていたら、この笑顔を見ることはなかったかもしれない。
いつも通りにいかなかったからこそ、出会える幸せもあるんだなと思った。
あの夜を思い出しながら
そんな経験をしたあとに始まった、ここ数日の睡眠退行。
今までより頻繁に起きたり、19時になってもなかなか寝てくれなかったり。
もちろん「なんで寝ないの〜」と思う日もあるけれど、旅行前の私よりは少しだけ、おおらかな気持ちで向き合えている気がする。
就寝時刻をきっちり守ることよりも、目の前の娘の笑顔を大切にしたいと思うようになった。
19時に寝なかったからといって、今まで整えてきたものが全部なくなるわけじゃない。
今日うまくいかなかったら、また明日。
それくらいでいいのかもしれない。
睡眠退行も、ずっと続くわけじゃない。
「成長の証」と聞くと、それならこれも嬉しいことなのかもしれない、とも思える。
ちゃんと寝かせることも、生活リズムを整えることも大切だけれど、そればかりに一生懸命になって、今ここにある幸せを見落としたくはない。
この子が私たちのところに来てくれたこと。
3人で家族になれたこと。
その喜びを、ちゃんと噛みしめながら子育てしていきたい。
授乳を終えて寝落ちした娘を抱っこしながら、この記事を書いている。
私がぶつぶつ喋りながら文章を考えていたせいで、どうやら少し起きてしまったらしい。
腕の中から、薄目を開けて私のことを見ている。

起こしてごめんね。
スマホを置いて、しばらくこの顔を眺めようと思う。
