陰謀論に嵌る専門家と『大衆の反逆』

100年近く前にオルテガが『大衆の反逆』で指摘していた「近代の野蛮人」そのもの。

事実、これこそが専門家の態度である。政治、芸術、社会慣習、そして自分の専門以外の学問において、彼は原始人のような完全に無知な態度をとるだろう。その際にも、他の専門家たちを認めずに――ここが逆説的なのだが――力強く自信たっぷりの態度なのだ。彼を専門家にするに当たって、文明は彼を自ら閉じこもり、自分の限界内で満足する人間に作り上げてしまった。しかしまさにその自律と自信の内的感覚そのものが、彼を自分の専門領域の外でも支配的位置に立ちたいという願望をもたらすのだ。結果として、彼は有資格の人間の最高点である専門性をもつ者として、つまり大衆化した人間の正反対を代表しながら、生活のほとんどあらゆる局面で無資格の大衆として振る舞うことになるだろう。
以上の指摘は机上の空論ではない。誰でもその気になれば、今日の政治、芸術、宗教、生や世界に関わる全般的な問題において、「科学者」を筆頭に医者、技術者、財界人、教授などがいかに愚かな考えを持ち、判断し、行動しているかをつぶさに観察することができよう。これまで私が大衆の特徴として繰り返し紹介してきたこと、すなわち上位の要請に対して「聞く耳を持たない」、従わないという条件は、まさにこうした中途半端に資格を持っている人間たちにおいて頂点に達している。彼らは現今の大衆の支配を象徴しており、かなりの部分で実際にもそれを構成しているのだ。そして、彼らの野蛮性はヨーロッパの退廃の最も直接の原因である。

大衆の反逆』p.204-205
強調は引用者

個人的経験から言うと、リフレ政策などmonetary economic絡みではIT系にこのような人が多かった印象がある。

『大衆の反逆』はネット時代、SNS時代の現代を論じたような内容なのが凄い。

余談だが、オルテガは西ヨーロッパ(主にイギリス、フランス)には個人主義が根付いているので赤化されないと論じていたが、これはエマニュエル・トッドの分析と同じ。

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