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Devin Townsendがシンフォニー作品を初披露したスペシャル・ライヴ in オランダ!遠征レポート by Izumi

*Live Photos by Jakob Herrmann

カナダが誇る鬼才、Devin Townsendが「シンフォニー作品を制作する」と公言してから、約10年。ようやく完成し「The Moth」と名付けられた作品は、事前にティザーの形でも全く音像が公開されることなく、2025年3月27日と28日の2日間、スペシャル・ライヴという形で初披露されました。

デヴィン・タウンゼンド同好会」を主宰し、Devin Townsendの活動を長年追ってきた私 Izumiも、この10年間、待ちに待ったシンフォニー作品をこの目で確かめるべく、オランダまで遠征してきました。
私は3月28日、つまり2日目のライヴに行くことができたので、その模様をレポートします。

ライヴ会場と、共演したオーケストラについて

ライヴ会場があるフローニンゲンはオランダの北部に位置し、(オランダでは有名な)フローニンゲン大学もあり、学生が多く住む、活気ある街。中世から残る古い建物と街中に流れる運河が、とても美しい街並みを作り出していました。

今回Devinと共演した Noord Nederland Orkest は、この街を拠点に活動するオーケストラです。数年前にDevinがオランダのアムステルダムでライヴを行った際、オケの代表の方も訪れ、自らシンフォニー作品の演奏をしたいと申し出たということのようです。

会場のDe Oosterpoortは前方がスタンディング・エリアで、後方が階段状の椅子席になっており、キャパは2,000〜2,500人程度。チケットはあっという間に完売!2日間限りのスペシャル公演ともなれば、世界中からDevinファンが集まるわけで、即完も納得の会場規模でした。
(共演したNoord Nederlands Orkestがこの会場をメインに活動しているので、他の会場でのオーケストラ公演は難しかったのかもしれません。)

Devin自身が「The Moth」を説明後、オープニング・アクトとして演奏

開場から約1時間後、ステージにパジャマっぽいラフな格好をしたDevin Townsendが登場!
「The Moth」の説明と、サンクス・リストを読み上げていました。

Devinによると、シンフォニー作品を作りたいと思ったものの、今まで完全に感性と独学で音楽を作ってきたので、オーケストラ向けの楽曲をどのように作るのか全く解っていなかったとのこと。
そこで(かつてのバンド仲間の)Steve Vaiを呼び、作曲法を基礎から学ぶところから始まったそう。それは予想以上に困難を極め、一度は制作を諦めかけたことも。何年もかけて、ほぼ自力で出来るようになり、2-3年前から「The Moth」が形になり始め、作曲・レコーディング作業に取りかかれたようです。

ちなみに「The Moth」は、日本語で「蛾」。蛾が成長と共に形が変化するように、「変化」をテーマにした作品です。
(当初はペニスとヴァギナをテーマにしたかったそうですが、あまりにも題材がストレート過ぎると、周囲に止められた模様。)
ダンテの「神曲」からも大いにインスピレーションを得ているそうで、詳細はMetal Injectionによるこちら(↓)のインタビューでも触れられています。

Devinによる前説の後、これまたDevin自身がオープニング・アクトとしてアコースティック・ギターを手に数曲演奏。この日のセットリストは以下の通り。

  1. Let It Roll

  2. Funeral

  3. Hyperdrive

  4. Life

いつものことながら、軽妙なトークでファンを沸かせつつ、素晴らしい歌声を聴かせてくれました。途中で歌詞を忘れたフリをして観客に歌詞を叫ばせるなど、小技を効かせるのも忘れていません。
ちなみに前日(3月27日)のセットリストは以下の通り。

  1. Let It Roll

  2. Ih-Ah!

  3. Bring Him Home(ミュージカル『レ・ミゼラブル』の挿入歌)

いよいよ「The Moth」本編

スペシャル・ライヴのメンバーについて

数分の入れ替えの後、いよいよ本編「The Moth」の演奏がオーケストラの弦楽器・コーラス隊とDevinの静かな歌声と共に始まりました。演奏するのはコーラス隊を従えたNoord Nederlands Orkestと、Devinが集めたメンバーです。Devin側のメンバーは以下の通り。

  •  Devin Townsend(Vo)

  •  Mike Keneally(Guitar, Piano)

  •  Pete Rinaldi(Guitar)

  •  Darby Todd(Drums)

  •  James Leach(Bass)

  •  Lynn Wu(Vo)

Devinはギターを持たずヴォーカルに専念、女性ヴォーカルに 中国のプログ・メタルバンドOULynn Wu を招聘。
今回のスペシャル・ライヴのポスターなどに記載されていた Joseph Stevenson(Stephensonと記載されているが恐らく間違い)は「The Moth」のオーケストラ用のアレンジを行った人物で、普段は映画やドラマのサントラ制作を主な仕事としており、最近では Dream Theaterとも仕事をしています
またポスターに記載はないものの、もう1人ギターを弾くPete Rinaldi(で間違いないと思います)がいました。

圧巻の楽曲と演奏!

事前に音源を全く公開せず、ライヴで初お披露目となったので、曲名や曲の構成などは全くわからないまま。
最初は実に典型的とも言えるオーケストレーションされた厳かな楽曲から始まったので、「Devinもついにロック魂を忘れた真面目くんになってしまったのか?」と心配しましたが…全くの杞憂でした!
ファニーなワルツのような踊りを交えた楽しげなメロディーが飛び出したり、そうかと思うとドラムの激しいビートと怒りを全面に出すようなDevinのヴォーカルが炸裂したり、まるで一つの物語を見ているかのように実にバラエティに富んだ楽曲が飽きることなく展開されていきました。生真面目に小ぢんまりとまとまることなく、こちらの想像を遥かに超えるスケールで曲が展開していきます。

事前に「シンフォニー作品」とだけ告知されていましたが、これは紛れもなく「ロック・オペラ」なのだと気づかされます。ステージ後方に映し出される映像も楽曲とリンクして物語をうまく演出していました。

そう、Devinはロック・オペラの名作Jesus Christ Superstarにずっと憧れ、こんな作品を作りたいと夢見ていたのですよね。Devinも物語の主人公を演じるかのように喜怒哀楽を全面に出し表情豊かに歌い上げていきます。

今回ライヴに招聘されたLynn Wuは白塗りの顔に、額から顎にかけてラインを入れたメイクで独特の澄んだ声も相まって、シャーマンのような雰囲気が出ていました。女性ヴォーカルを取り入れるのが好きなDevinですが、今まで作品に参加していた Anneke Van GiersbergenChé Aimee Doval とも違う魅力がありました。

最近Devinと数作に渡って制作を共にしている Mike Keneally は、ギターにピアノに大活躍。
ドラムの Darby Todd は、パワフルかつテクニカルなプレイを惜しみなく披露していました。2人とも、ここ最近ではDevinの作品制作に欠かせないキーマンになっています。

ライヴはインターミッションを挟んだ2部構成で30〜40分に分けて演奏されました。

驚いたのは、約5分のインターミッションの間もDevinとオーケストラはステージに残り、DevinのKieselのギターとオーケストラでインターミッション用のアンビエントな曲を演奏していたこと。

前説からオープニングの演奏、そして本編とインターミッションに至る約2時間、完全にDevin Townsendオン・ステージ。これまでの彼の音楽キャリア(メタル、プログ、アンビエント、ポップ…)を全て詰め込んだ素晴らしいライヴでした。

スペシャル・ライヴは期間限定でオンデマンド視聴が可能!

このライヴの模様はライヴ・ストリーミングで中継されており、5月28日まで、以下のリンクより、オンデマンドで視聴できます!
何と、公開期間が1ヶ月伸びて、6月28日までオンデマンド視聴できるようになりました!
配信チケットも当初より安くなり€14.99で視聴できます。

素晴らしい内容ですので、以下のリンクよりぜひチェックしてみてください!

「The Moth」の今後のリリース予定など

「The Moth」は、今年中にスタジオ録音された音源がリリース予定となっており、そのときに正式な曲名などが公開されると思いますが、関係者と思われる方が Setlist.fm に曲名を書き込んで公開していました。参考までに↓に貼っておきます。
Steve Vaiともコラボしたそうなので、どのような形でクレジットされているのか、スタジオ音源のリリースも大変楽しみです!

The Moth, Act 1
1. Semi-Prologue
2. War Beyond Worlds
3. Ode to My Eye
4. Covered By Causes
5. Lexin
6. The Queen's Interlude
7. Red Triangle Queen
8. Yellow Circle Queen
9. Orion
10. Stay There
11. Home at Night

Intermission

The Moth, Act 2
1. Lexin Variation
2. Sadism
3. Gollums
4. Airship
5. Finale, Pt. 1: Princess
6. Finale, Pt. 2: Metamorphosis
7. Finale, Pt. 3: Stained Hearts


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