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Opethのミカエル・オーカーフェルトが語る:家族、サントラ制作、そして音楽を巡る❝新しい技術❞(Part 2)

※2025/12/30 追記:本記事のインタビュー動画をYouTubeにて公開しました!


先日公開したミカエルのインタビュー(Part 1)は、予想以上に多くの反響をいただきました。
ミカエルの創作観や ❝プログレッシヴ❞ という概念に対する率直な言葉が、多くの方の印象に残ったのかなと思います。

先日放送された bayfm『POWER ROCK TODAY』でも、伊藤政則さんがミカエルに「彼にとっての成功」や「最近のバンドについて思うこと」などを質問されており、内容が私たちのインタビューともリンクしていて驚きました。改めて、ミカエル・オーカーフェルトというアーティストの「今」が浮き彫りになったように感じます。

また、これまでミカエルがインタビューで言及してきたアーティスト、カバーした曲などをもとに「オマージュ」としてプレイリストを作成したところ、こちらも多くの方に聴いていただけて、思わぬ広がりを感じています。
(我々の Spotifyでは、保存件数が過去最高値となりました。)

そんな熱が冷めないうちに、今回は Part 2 をお届けします。

娘さんのお話、テクノロジーやAIへの率直な考え、来日中のレコード店巡り、そしてサウンドトラック制作への興味など、Part 1とは異なる角度からミカエルを掘り下げていきます。

では、インタビューの続きをどうぞ。


※企画・インタビュー・編集:Tate
※撮影:Izumi

娘さんと音楽について

Tate:あなたの娘さんたちも成長されましたよね。最新アルバムにミリアム(ミカエルの次女)が参加したのは興味深いと感じました。

ミカエル:そうなんだよ。

Tate:最近のインタビューでは、あなたのレコード・コレクションを誰に譲るか考え始めたとも、おっしゃっていましたね。娘さんたちは、あなたの音楽に興味を示しているのですか?

ミカエル:(笑)ああ、まあ音楽は好きだよ。ただ、俺が聴いているようなものを聴くわけじゃないけどね。長女のメリンダは、今、80年代のメタルにハマってるんだ。

Tate:そうなんですか?!

ミカエル:うん、Skid Rowが大好きで、"18 And Life" がお気に入りの曲だよ。Europe"Carrie" も好きなんだよね。バラードが好きなんだと思うよ。でも、他のジャンルも聴いてるし、二人ともずっと音楽好きだった。

ミリアムはあまりロックは聴かないけど、スウェーデンのバンドとか、ジャスティン・ビーバーみたいなのが好きだと思う。

(ここで隣の部屋から音楽が聞こえてきて)お、シャーデーの曲が聞こえるな、クールだ。

そうそう、ミリアムはアルバムに参加してくれた。ちょっとしたスポークンワード(詩の朗読)をやってもらったんだ。本人はそんなに乗り気じゃなかったんだけど、無理やりスタジオに連れて行って、やらせたんだよ。

※筆者注:おそらく、"§1"の4:13~4:26前後に入る声がミリアムではないかと思われる。

Tate:最近、Ihsahnのお子さんたち や、(Opethのベーシスト、マーティン・)メンデスの息子さんもデビューされましたし、もしかして娘さんたちも、バンド活動に興味があったりするんでしょうか?

ミカエル:いや、ないね。メリンダもミリアムも、小さい頃は楽器を持ってたんだよ。もちろんギターを渡してみたりしたけど、そんなに弾かなかったな。
メリンダは、もっと早く始めなかったことを少し後悔しているみたいで、「もう遅いかも」って言うから、「遅すぎることなんてないよ」って俺は言っているんだけどね。
まあ、でも楽器は弾かないよ。二人とも基本的には音楽を聴くファンって感じだな。

※筆者注:メンデスの息子さん、ノアク君の新バンド、EOSの音源も貼っておきます。

音楽における新しい技術について

Tate:(自分が着てきたTシャツを指さしながら)今日はロンドンで上映中の「ABBA Voyageで買ったTシャツを着てきました。あなたもご覧になりましたか?

※筆者注:1970年代のメンバーの姿を再現したデジタルアバターが、生バンドと共にABBAの名曲を演奏するライブイベント。2022年から既に3年以上に渡りロングランとなっている。

ミカエル:いや、でも1月に行く予定だよ。

Tate:そういった、音楽における新しいテクノロジーについては、どうお考えですか?

ミカエル:わからないな。まだ観ていないし。ロニー・ジェイムス・ディオのホログラムは、写真を見たけど、あまり良さそうには見えなかった。

ABBA Voyage」は、俺のガールフレンドと娘たちと一緒に観に行くんだ。まだ評判を聞いただけなんだけどね。
スティーヴン・ウィルソンは、観に行く前、「たぶんクソだろう」って言っていたんだよ。でも実際に行って、俺にメールしてきたんだ、「OK、観てきたけど、涙が出そうになった。すごく素晴らしかった」って。だから俺もすごく楽しみにしている。

※筆者注:ミカエルとSWは、共にABBAの大ファンとして知られている。

ミカエル:KISSの方は、どう思っていいかわからないけど、もし俺が担当者だったら、ABBAみたいに特定の年代に焦点を当てるな。1976年か77年当時のKISSのアバターショーを作る。まあ、俺が決めることじゃないけどね。

※筆者注:KISSも、ABBA同様、デジタルアバターによるライブイベントが計画中とされている。

Tate:AI技術に触発されたり、使ってみたりすることはありますか?

ミカエル:いや。ChatGPTに何か聞いてみたこともない。今はGoogleで検索すると、上の方にAIの回答が出てくるだろ?あれ、すごく鬱陶しい。押し付けられてる感じがする。

俺はAIにはまったく興味がないよ。怠け者をダメにする「悪魔の遊び道具」だと思っている。AIの助けなんて無しに、自分で学んで、知識を見つけようとすべきだと思う。
とは言え、おそらく素晴らしいクオリティを出してくれたりするんだろうね。でも俺は興味ないんだ。

ファンからの質問とオーストラリアの感想

Tate:これはファンからの質問です。
「アルバムごとにユニークなリズムアレンジの曲がありますが(最新作の "§6" 、過去作だと "The Lines In My Hand” や ”Deliverance" のアウトロなど)、これらのアイディアはミカエルによるものなのでしょうか?」

ミカエル:俺はドラムのパートも含め、すべての楽器のパートを書いているよ。だから大抵は俺のアイディアだ。ヴァルッテリ(・ヴァユリュネン)だったり、以前バンドにいたアックス(マーティン・アクセンロット)だったり、(マーティン・)ロペスにしても、彼ら(歴代ドラマー)は俺のアイディアを演奏して、それを少しいじって自分のアイディアにしていく。でも、ドラムの元ネタはいつも俺が作ったものだ。

Tate:なるほど。もう1つ、ファンからの質問です。昨日、レコード・ショッピングに行かれたんですよね?

ミカエル:うん。

Tate:お気に入りの店などは見つかりましたか?

ミカエル:友達のマサルに案内してもらって、昨日はディスクユニオンとHMVに行ったんだけど、素晴らしかった!ディスクユニオンは素晴らしいね。買いたいものがすごくたくさんあったけど、既に持っているものも多かった。
今日はレコファンとタワーレコードに行ったけど、信じられないぐらい良かったね。気に入ったよ。すごく高いけど、とても良かった。たくさん良いものを見つけたよ。正直、何を買ったか覚えていないくらいだ。

Tate:あなたはポピュラーなものより、マニアックなレコードを探しているんですよね?

ミカエル:ああ。でも日本では、どの店にもプログレッシヴ・ロックのコーナーがあるだろ?中古レコードのコーナー。どの店にもあって、すごくマニアックな音楽が見つかったよ。だから俺がお金をたくさん使うのは難しくなかった。貧乏になるのはすごく簡単だった。

Tate:(来日直前に訪れた)オーストラリアはどうでしたか?Metallicaのライブに行かれた写真も見ましたよ。

ミカエル:ああ、ラーズ(・ウルリッヒ)に会ったよ!あれは素晴らしかった。
でも、すごく疲れてたんだよね。今でも信じられないくらい時差ボケしている。なぜかわからないけど。
みんな、すごく疲れてたんだけど、(Opethの)ライブは素晴らしかった。
レコード・ショッピングは、まあまあかな。あまり買わなかった。疲れすぎていたよ。

Tate:Metallica から、何かインスピレーションを受けましたか?

ミカエル:ああ、もちろん。彼らは大きな存在だった。

Tate:(過去形ということは、)今回は、そうでもなかったですか?(笑)

ミカエル:そんなことないよ!(笑)彼らを観るのはインスピレーションになるよ。すごく楽しかった。素晴らしいバンドだよ。俺は Metallica が大好きだ。若い頃ほど、彼らの音楽を聴かなくなったけど、ライブで観るのは、古い友達に会いに行くようなものだ。

サウンドトラックの仕事と今後

Tate:以前のインタビューで『CLARK』のサウンドトラック制作がとても楽しい経験だったとおっしゃっていましたね。今後、もっとサントラを手がけたいと思われますか?

※筆者注:ミカエルは Netflixで配信されている『CLARK(邦題:クラーク・オロフソン)』というドラマ(監督は、映画『ロード・オブ・カオス』などで知られる、元・Bathoryのドラマーで映像作家でもある、ヨナス・オーカールンド)のサウンドトラックを手掛けた。

ミカエル:ああ、思うよ。実はいくつかオファーも来ているんだ。

Tate:そうなんですね!

ミカエル:ああ。でも、そういうのは、しばらく時間がかかるんだよ。契約書にサインして、初めて確定するから。今はまだ構想段階って感じだね。でも、やりたいと思っている。

Tate:特に興味があるジャンルはありますか?

ミカエル:まあ、ホラーとか、ゴシックっぽいものの方が俺にとっては簡単かもしれない。

Tate:Goblinみたいな。

ミカエル:まさに。でも、何でも良いよ。誰か他の人のプロジェクトのために音楽を書くのは大きな挑戦だし。特定のシーンに合わせなきゃいけないから、Opethのために書くのとはまったく違う。でも、すごく楽しい

ときどき真顔でジョークを言うミカエル、本気なのか冗談なのか、よくわからない(笑)

日本公演の形式について

Tate:時間がなくなってきたので、最後の質問です。今回の来日公演は、同じ会場で2日間、座席あり、オープニングアクトなしですが、もしかして他の国とは違うセットリストになったりしないですか?

ミカエル:正直に言うと、椅子ありにしたのは間違いだったと思っている。

Tate:そうなんですか?!

ミカエル:ああ。椅子ありのライブのときは、セットリストがもうちょっと「洗練された」感じなら良いんだけど、今回のセットリストは、すごくヘヴィだからね。観客が座っていると、まるで陪審員の前にいるような感じになってしまうんだ。

Tate:きっと皆、立ち上がると思いますよ。

ミカエル:まあ、様子を見るよ。以前、観客に立ち上がってもらおうとしたら、誰かが言ったんだ、「それはやめた方がいい、前方の席には、たくさんお金を払った人たちがいるから」って。席によって値段が違うんだよね。でも、まあ、俺たちがやった座席制のライブは、いつも最後にはみんな立ち上がるんだ。

Tate:(椅子ありにしたのは、)てっきり、あなたの選択かと思っていました。

ミカエル:そうだったんだけど、後悔している。俺は立っている観客からエネルギーをもらう方が好きなんだ。ちょっとワイルドな感じのね。

Tate:シドニーは、オペラハウスでプレイされたんですよね?

ミカエル:うん。でも、あそこは座席が固定されているからね。今日の会場は椅子を並べているだろ?座席が固定されていて、取り外せないなら仕方ないけど。まあ、俺は断然スタンディングでやる方が好きなんだ。

Tate:できれば、今日と明日で少しセットリストが変わることを期待しています。

ミカエル:どうかな。様子を見るよ。

Tate:わかりました。最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?

ミカエル:もちろん。録画されてる?


というわけで、あっという間の約25分間でした!

長く特定のバンドを追いかけていると、ライブに対する心の動き方はいつも同じではなく、心が激しく動く日もあれば、静かに受け止める日もあります。

ここ10年ほど、実は筆者(Tate)は、Opethのライブを落ち着いて観る時期に入っていました。「絶頂期の火花のような熱」を感じた若い頃とは、受け取る温度が少し変わってきたというか。

そんな自分でも、今回の来日公演では、かなり心が揺れました。ヴァルッテリという若いメンバーを迎えた影響なのか、ステージの空気に新しい風が流れ込んでいるような感覚もあり、久しぶりに以前のような、胸の奥が熱くなる瞬間がたびたびありました。

ライブの前にミカエルにインタビューしたから、というのも大きく影響しているとは思います。
もう何十回も彼らのライブを観てきたからこそ、今回は、長い時間の積み重ねの中で、ふと訪れた「再接続」のような、感慨深い夜でした。

このインタビューは、動画でも視聴可能です。ぜひ、ミカエルの表情と共に、動画もお楽しみいただければと思います。

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