VOLAの記念すべき初来日公演をバンドマン&フォトグラファー視点で検証 ― VOLA’s First Japan Show Reviewed by Musicians with Live Photos
2026年2月、遂に初来日を果たしたデンマークのプログメタル・バンド VOLA。今回、我々 Prog Project は、開演前に楽屋でメンバー全員にインタビューすることができただけでなく、初めてフォトピットでのライヴ写真撮影も行うことができました。
終演後には(以前、Pain of Salvation 来日時もインタビュアーを務めていただいた)ドラマーの 内田 伸吾 氏、そしてギタリストの ニケ 氏とライヴの感想を語り合う機会があり、お二人のバンドマンならではの視点が大変興味深かったため、改めてクロスレビューをお願いしました。
同じライヴでも、立場が変われば見える景色は変わってきます。本記事では、ギタリスト/ドラマー/フォトグラファーという三者の視点から、VOLAの記念すべき初来日公演を立体的に検証します。
2月7日(土)に渋谷 GARRET udagawa にて行われた初来日公演を目撃された方も、惜しくも参加できなかった方も、当日の写真・動画と共にお楽しみください!
In February 2026, Danish progressive metal band VOLA finally performed in Japan for the first time.
Prog Project had the opportunity to interview all members backstage before the show and photograph the performance from the photo pit.
This article presents a cross-review of the show from three perspectives: guitarist, drummer, and photographer.
※企画・構成・編集・動画撮影:Tate
※写真撮影:Izumi
Guitarist Perspective Review
― ギタリスト視点レビュー(ニケ)
ニケ:
ギターインスト・プロジェクト「G5 Project」の一人。動画サイトでの投稿を中心に活動し、現在はDream Theaterのカバー・バンドでギターを弾いている。
本ライヴで使用されたギターは、Asger Mygind がエンドースしている Balaguer Guitars の7弦モデル。同ブランドの “Gaia” をベースにしたオリジナル仕様だ。
ネックスケールは27インチのバリトンスケールで、最低音はLow F#までドロップ(チューニングはF#-B-E-A-D-F#-B)。ブリッジにはEvertuneを搭載し、徹底したピッチとイントネーションの安定性を確保している。8弦ギターに匹敵するダウンチューニングでありながら、アンサンブルとハーモニーを重視するVOLAの楽曲において、そのセッティングはきわめて理にかなった選択と言えるだろう。

ちなみに、Asgerの体格があまりに大きいため、ぱっと見では通常の6弦ギターを弾いているように見えたのはここだけの話だ。
当日はアンプ類を確認できなかったものの、普段の機材構成から推測すると、おそらくLine 6 Helixを使用していたと思われる。
VOLAはプログレッシヴ・メタルとして紹介されることが多いが、ドラムを除けば過度にテクニカルなプレイに傾倒することはなく、ギター・ソロもほとんど登場しない。サウンドはヘヴィかつモダンなプログレッシヴ・メタルそのものだが、同郷デンマークのバンド MEWからの影響を感じさせるポップセンスが随所に息づいている。
メロディアスで浮遊感を湛えた北欧らしい空気感と、4ピース編成とは思えない重低音のソリッドなリフ。その鮮やかなコントラストが、ライヴならではの強烈な高揚感を生み出していた。競合のひしめくプログレッシヴ・メタル界においても、唯一無二の存在と評して差し支えないだろう。
初来日の会場となった GARRET udagawa は、キャパシティ約300人のコンパクトなライヴハウス。しかし、バンドから放たれるアンサンブルは、その空間を二回りも三回りも大きく感じさせるほどのビッグなサウンドで、強烈なインパクトを残した。その中でもPAの音作りが印象的で、まるで野外フェスでの鳴り方を意図的に再現しているかのようなスケール感を感じられた。きっと当日その場にいた観客の多くが「音量の大きさ」に驚かされたことだろう。だがそれ以上に特筆すべきは、音の隙間を嫌味なく、心地よく、そして壮大に響かせていた点だ。バンドの持つポテンシャルを最大限に引き出したPAの手腕には、ただただ圧倒されるばかりであった。
この独特の空気感を体感できたことは、非常に価値のある時間だった。本来であれば、実際に大きな会場でそのスケール感あふれるサウンドを味わってみたかったという思いも残る。だからこそ、次回の来日公演への期待は高まるばかりだ。
個人的なハイライトは、アンコールで披露された "Straight Lines" でのキーボード・ソロ。本公演で唯一「ソロらしいソロ」といえる場面で、それまで裏方に徹していたキーボードが前面に躍り出た瞬間、一気に心を掴まれた。(ギターじゃないんかい、と自分でツッコミつつ)


Drummer Perspective Review
― ドラマー視点レビュー(内田 伸吾)
内田 伸吾:
六合(りくごう)、BELLFASTのドラマー。Limelightドラムスクール 代表。
YouTube や Instagram 等でドラムに関する動画を日々発信している。
遂に実現したVOLAの初来日。待ち望んでいた時間が長かった分、期待値も高かったのだが、果たして、これまでの人生で観た中でもトップ5に入るほど素晴らしいライヴだった。
メンバーのパフォーマンスはもちろんのこと、おそらく帯同してきたであろうPAエンジニアの音作りも素晴らしく、あの致死量のリバーブと音量・音圧に衝撃を受けたオーディエンスも多かったのではないだろうか。
今回、初めてVOLAのライヴを観て感じたのは、メカニカルな印象になりがちな楽曲において、フィジカルな躍動感を与えているのは間違いなくAdam Janzi のドラムだということだ。ここ数年、フェイバリット・ドラマーの一人だったAdamのプレイは、音源で聴くよりも遥かに雄弁だった。ドラマーの視点から感じたことをいくつか挙げてみたい。

1. 個性的なセッティング
Adamといえば、フロントにタムをセットせず、フロアタムを左右に配置するという超個性的なセッティングがトレードマークだ。それに加え、様々な組み合わせを試したであろうスタック(2枚以上のシンバルを重ねることで、サステインの少ない短い音を出す手法)を複数使い分けることで、パーカッシブな効果を生み出していた。極端に左右へ振り分けた配置も、ステレオ感を増す狙いがあるように思う。
ライヴで使用していたPearlのドラムキットは日本でレンタルしたものだったようだが、特殊な組み合わせを多用するMeinlのシンバル類は自身で持ち込んでいたのではないだろうか。

2. 変幻自在のリニアパターン
そんな個性的なセッティングから生み出されるのが、Adamの代名詞ともいえる「リニアパターン(手足を同時に鳴らさずに演奏する技法。MR. BIGの "Take Cover" などが有名)」だ。
VOLAだけでなく、LeprousやSleep Tokenなど近年のプログメタルでは積極的に採用される傾向にあり、楽曲との相性も非常に良い。しかし、ともすれば複雑になりすぎて演奏の難易度が高まっていくものだが、ライヴでのAdamのプレイは優雅さすら感じるほどナチュラルで、時折アドリブも交えながらプレイする姿には驚きを禁じ得なかった。
なかでも代表曲 "24 Light-Years" でのリニアパターンは圧巻で、電子音楽のシーケンスのようにメカニカルな響きを持ちながら、そこに人間ならではの「揺らぎ」が加わることで、まるで異次元を漂っているかのような浮遊感を生み出していた。
(↓)"24 Light-Years" のリニアパターンの詳細は、AdamのYouTubeチャンネルで見ることができる。
(↓)"24 Light-Years" のプレイスルーはこちら。
VOLAの音楽において、Adamは単なるドラマーではなく、楽曲の空間そのものをデザインしている稀有な存在であることを強く感じたライヴだった。
早い時期の再来日を願わずにはいられない(願わくばもっと大きな会場で)。
Photographer Perspective Review & Photo Gallery
― フォトグラファー視点レビュー&写真集(Izumi)
今回、Prog Project として初めてフォトピットからの撮影を行った。当日のVOLAのステージが放っていた光と空気感を、写真から感じ取ってもらえたら幸いだ。
VOLAのステージ後方には10本ほどの細長いLEDライトとスポットライトが設置されており、これらのバックライトがVOLAのステージを幻想的に演出。近年、細長い縦型のLEDライトが流行しているが、彼らもその流行を取り入れているようだ。
ライトの光彩の中からシルエットとなって浮かび上がるメンバーの立ち姿がとても格好良く、美しいメロディと激しいサウンドを持つ彼らの音楽に見事にハマっていた。





CyclamenのHayato Imanishiがゲスト・ヴォーカルとして登場


Photo Credits
All photos © Izumi / Prog Project
Unauthorized reproduction is prohibited.
Live Footage from the Show
― 当日の様子を記録したライヴ動画(Tate)
最後に、「百聞は一見に如かず」ということで、Prog Project のTateが最前列からiPhoneで撮影した当日のライヴ動画を掲載する。(テロップ等を入れて繋いだのみで、音・映像ともに未加工の「撮って出し」である。)
Izumiも触れていたライティングについては、特に楽曲のリズムと連動する色彩の変化や、繊細な揺らぎを伴う動きが強く印象に残った。
終演後、会場後方の卓で機材を片付けていた女性スタッフに話を伺ったところ、彼女こそがライティング・デザイナーであった。
彼女は楽曲を完全に頭の中に入れたうえで、その場でライティングを手動操作しており、自動的に同期しているわけではないという。
帰宅後に調べたところ、VOLAは2021年のライヴ映像作品『Live From The Pool』以降、デンマークのオーディオビジュアル・アーティスト集団 Vertigo と継続的にコラボレーションしていることがわかった。今回使用されていたLEDライトも、Vertigo社による設計・製作とのことだ。
(↓)のライヴ動画をご覧いただく際は、ぜひライティングにも注目してほしい。ニケ氏が指摘した「音のスケール感」、内田氏が述べた「ドラムの音圧」などと合わせて観ることで、本公演の立体的な魅力がより伝わるはずだ。
English Summary
According to guitarist Nikke, VOLA’s performance demonstrated a rare balance between heaviness and melodic sophistication. Rather than relying on technical excess, the guitar work supported the overall architecture of the songs, creating depth through tonal weight and harmonic clarity.
Drummer Shingo Uchida highlighted Adam Janzi’s ability to combine mechanical precision with organic movement. His distinctive linear patterns and spatial awareness transformed complex rhythmic structures into something fluid and expressive, giving physical momentum to music that can otherwise feel highly structured.
From a photographer’s perspective, Izumi from Prog Project focused on the visual duality of the show. The vertical LED lighting and dramatic backlit silhouettes reinforced the band’s contrast between atmospheric beauty and modern heaviness, amplifying the immersive impact of the performance.
To experience the scale of the sound and energy described above, you can watch the live footage captured by Tate from Prog Project on the night of the show, where the manually operated lighting design developed with Danish audiovisual collective Vertigo adds to the immersive atmosphere.
Upcoming Shows
今回、レビューを執筆いただいた、お二人の直近のライヴ予定は下記の通りです。ぜひ足を運んでみてください!
ニケ Next Live:
Dream Theater カバー・ワンマンVol.2
2026年3月22日(日) 吉祥寺シルバーエレファント
OPEN:17:30 / START:18:00
チケット予約はコチラから

内田 伸吾 Next Live:
六合 Presents 「此岸夜奏 -SHIGAN YASO- Vol.2」
2026年2月28日(土) 新宿 WildSideTokyo
OPEN:17:00 / START:17:30
配信チケットはコチラから(前売券はソールドアウト!)

「Pagan Metal Horde vol.7」
2026年3月19日(木) Akabane ReNY alpha
OPEN:17:00 / START:17:30
チケット予約はコチラから

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