銀紙頭に巻くの夜その18byクソカワクズピコ
伴田が死亡したあと、ジョバンネルラは、伴田の住んでいた一軒家を見張っていた。
実はここは木野美紀が、伴田と半同棲をしていた棲家らしく、美紀の尻を執拗に追っているジョバンネルラが美紀の跡をつけてきたところ、伴田の自宅だった。
美紀はここを明け渡さなくてはならなかった。この家は、まもなく伴田の妻のものになるからだ。
伴田は高校教師定年後は反戦を掲げて左翼運動ブンドルの活動にいそしんだ。妻と息子とは疎遠だった。息子は結婚して、妻と別の都市で暮らしていた。
最も美紀も、夫とは疎遠になっていた。美紀は夫とは長年別居しており、二人の子供は自立し、長女は結婚し次男は夫と暮らしている。でも離婚はしていない。
美紀の居場所は家庭にはなかった。
街宣で知り合った伴田と付き合いを初めて2年後…こんなことになるなんて…
(結局私は居場所が欲しかったんだ)
美紀は荷物を片付けて伴田の家を後にした。
それをじっと見る中年の男ジョバンネルラ。
(俺も居場所が欲しい。)そう思って、美紀の跡をつけていく。
繁華街のカフェに入り、コーヒーとサンドイッチを注文し、席につく美紀に
「今だ」
と偶然を装い、店になだれ込むジョバンネルラ。
「あっ木野さんじゃないですか?」
美紀は驚いて
「ジョバンネルラさん?どうしてここへ?」
「向かいの席、いいですか?」
ジョバンネルラは自分のコーヒーの載ったトレイを白々しくテーブルにおいた。
「大荷物ですね?旅行?」
「…実は伴田の家を引き上げてきたところです。」
美紀はさらっと自分の身の上を明かした。
「私には居場所が無いの。いい年して情けないわね」
ジョバンネルラは美紀を見つめて言った。
「美紀さん正直に言います。あなたを応援したい!ブンドルやりましょう!あなたのダンス!あなたの演説!あなたの叫び!どれをとっても素敵だった。」本当は美紀の尻しか見ていなかったのだが。
「ジョバンネルラさん…私そんなんじゃないんですよ。ホントは私政治の事何一つ知らないの、言いたいことを言っているだけよ。」
「言いたいことを言うのいいじゃないですか!」
ジョバンネルラは大きな声を出したので周りの客がハッとしていた。
「言いたいこと言って、気持ちよくなるの、いいじゃないですか!もっとしましょう!もっとやりましょうよそして、世の中を変えましょうよ!」
ジョバンネルラは美紀の心になにかを注いだ。本心は美紀の中に自分の精力を注ぎたい、しかし気づかれてはまずい。
2人は意気投合してカフェを出た後、なんと美紀の賃貸アパート探しに付き合う頭にアルミホイルを巻いたジョバンネルラの姿があった。
美紀はこのアルミホイルのことを、何かの病気の治療かと思ってあえて聞かなかった。
次章に、つづく。
