【カイタクル研究所 #001】980円は、なぜ安く感じる? 行動経済学で見る「価格の見せ方」7つ
1,000円と980円。
差は、たった20円。
でも、なんとなく980円の方が「安い」と感じませんか?
3,000円の商品を見たあとに2,000円の商品を見ると、急にお手頃に感じることもあります。
価格は、数字そのものだけで判断されているわけではありません。
実は、見せ方や並べ方によって、私たちの受け取り方はかなり変わります。
今回は、そんな「価格の感じ方」を、行動経済学の視点から7つ紹介します。
買い物をする人には、
「自分はこうやって価格を見ているのか」という発見を。
商売をしている人には、
「値下げせずに、わかりやすく価値を伝えるには?」
というヒントになれば幸いです。
気軽に見ていきましょう。
この記事で持ち帰ってほしいこと
今回お伝えするのは、次の7つです。
1. 価格の前に「何を得られるか」を伝える
2. 比較の基準を正しく見せる
3. 総額を分かりやすくする
4. 3段階の選択肢を役割で分ける
5. 比較表で「選ぶ面倒」を減らす
6. セットを「利用場面」で考える
7. 一度に全部変えず、小さく試す
そして最後に、「明日、自分の店なら何を変えるか」
まで決められるようにします。
価格は「数字」だけではない
私たちは買い物をするとき、金額だけを見ているわけではありません。
「何が含まれているんだろう」
「自分にはどれが合っているんだろう」
「こっちと何が違うんだろう」
「あとから追加料金がかからないかな」
こうした情報を合わせながら、「この金額を払う価値が自分にあるか」を判断しています。
行動経済学では、人の判断が周囲の情報や比較の仕方に影響されることが知られています。
代表的なものの一つが「アンカリング」です。
最初に触れた数字が、その後の判断の出発点になり得るというものです。
ただし、ここで勘違いしてはいけません。行動経済学は、お客さんを誘導するための「裏技集」ではありません。
実在しない通常価格を作ったり、わざと魅力のない商品を置いたりして、高い商品へ誘導する。カイタクル研究所では、そういう使い方はしません。
目指したいのは、お客さんが「安い・高い」だけではなく、「自分に合っているか」で選べる状態をつくること。これを今回の基本ルールにしたいと思います。
【無料部分】まず直したい3つの基本
技術1 価格の前に「何を得られるか」を伝える
たとえばメニューに、
ランチコース 2,400円
とだけ書かれていたとします。
初めて来た人には、判断材料がほとんどありません。
量は?
何品?
どんな料理?
誰に向いている?
2,400円が高いのか安いのかを考える前に、そもそも何に2,400円払うのかが分からないわけです。
そこで、価格の近くに「価値を判断する材料」を置きます。
使いやすい型は、
[誰が][どんな場面で][何を得られる商品か]です。
例えば、
【飲食】
地元食材を3品楽しめる、初めての方向けランチコース 2,400円
【小売】
忙しい朝でも選びやすい、深煎り3種の飲み比べセット 1,980円
【観光】
雨の日でも楽しめる、ガイド付き90分まち歩き 3,500円
【EC】
週末の作り置きに使いやすい、冷凍小分け惣菜6食セット 4,280円
こうすると、価格そのものは変わっていないのに、判断できる情報が増えます。「高品質」「こだわり」「お得」といった言葉だけで終わらせないのがポイントです。
量、時間、対象、使う場面。できるだけ具体的にします。
もし一文がどうしても書けないなら、それは広告コピーの問題ではなく、商品の価値そのものを整理するタイミングなのかもしれません。
技術2 比較の基準を、正しく見せる
価格は、一つだけ見せられても判断しにくいものです。
4,800円と言われて、
「高い」と思う人もいれば、
「その内容なら安い」と思う人もいます。
判断するためには、何らかの比較基準が必要です。そこで大事なのが、比較するなら、正当なものと比べることです。
例えば、
- 同じ店で実際に販売している単品の合計
- 内容や時間の異なる通常プラン
- 1名あたり、1回あたり、容量あたりの価格
- 料金に含まれる送迎、ガイド、保険など
こうしたものは、判断材料になります。
反対に、
特別価格4,800円
(通常価格8,000円)
と書いてあっても、8,000円で販売した実態がないのであれば問題です。
観光体験なら、
4,800円/人
ガイド90分・試食2品・レンタル用品込み・集合場所までの交通費は含みません
と書いた方が、お客さんは「4,800円で何を買うのか」を判断できます。
私はこういう価格表示の方が、長く商売をするうえでは強いと思っています。
技術3 最後に払う金額を分かりやすくする
ネットで3,600円の商品を見つけた。
「これなら買おう」と思ってカートに入れる。
最後まで進んだところで、
送料700円。手数料○○円。
「あれ、思っていたより高いな……」
そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。
基本料金と追加料金を分けて表示する「分割価格」については、消費者の判断への影響が研究されています。ただ、実務で私たちが大切にしたいのはもっとシンプルです。
お客さんが最終的に払う金額を、できるだけ早い段階で分かるようにすること。
例えば、
「商品価格3,600円(税込)+送料700円」
より、
「お届け総額4,300円(税込・送料込)」
と先に示した方が分かりやすい場面があります。
もちろん地域によって送料が違うなら、その条件も書きます。任意オプションなら「任意」と分かるようにします。
必ず必要な料金なら隠さない。シンプルですが、重要なポイントです。
ここまで読んだ方へ
ここまでの3つだけでも、今日、自分のメニューや商品ページを見直せます。でも、「考え方は分かった。じゃあ実際に、商品をどう並べればいいの?」というところからが本番です。
ここから先は、知識より実装を中心にします。
3段階の価格設計、比較表、セット商品の作り方、小さな検証方法。
さらに、飲食・小売・観光・ECそれぞれの「90分改善手順」と、そのまま自分の商売に使える「カイタクル実験シート」を用意しました。
読むだけではなく、ぜひ一つだけ実際に試してみてください。
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