【極私的名盤をご紹介⑪】〜TheWho「Quadrophenia(四重人格)」〜モッズに捧ぐ青春讃歌!“英国的屈折”が世界へ紹介された記念碑だ!

はい!TheWho「Quadrophenia(四重人格)」(1973年)です!
あの超名作「Who'sNext」(1971年)の次の2枚組作品となります。
ひょっとすると多くの人にとって、もう古いジョークでしかないようなことかもしれませんが、その昔「ロックオペラ」と称するコンセプトアルバムのテーマがありました。始まりはこのザ・フーというバンドの4作目の2枚組アルバム「Tommy」(1969年)です。「Tommy」は「Sgt.Pepper's〜」の2年後になるのですが、アルバム1枚を通して物語を紡いでいくという作品です。

ザ・ビートルズの「Sgt.Pepper's〜」が1967年で、ガッツリ影響を受けたザ・フーは、この作品を作るわけです。多くの評論家や音楽誌などでかなり高評価で、ツアーも大成功だったようです。その「Tommy」には、ザ・フーの代表曲のひとつとしてその後もLIVEでお馴染みとなるシングルカット曲「Pinball Wizard」「I'm Free」とか「See Me,Feel Me」(この曲はラストの「We're Not Gonna Take It」の後半部分の曲です...って変ですよね、当時から私も含めてちゃんと独立した曲として区別せぇよとみんな言ってました)などの名曲が収録されていて、曲と曲の間は、1分くらいの短い曲が繋いでました。やたら、評論家の評価は高いんですが、ちゃんとした作品にする気のない1分くらいの曲を散りばめられても...消化不良起こしちゃうんですよね〜。時間が経ってから聞き直すとほんと余計なものが間に挟まっている感じですね〜…食事のたびにやたらと食物が歯間に挟まって気持ち悪いことこの上ない、そんな感じですね…汗。1分弱の短い尺の曲がいっぱい入っているのも、20世紀を代表する3大ロックバンド=ザ・フーとしてはどうなの・・・?ザ・レジデンツじゃないんだから...みたいな笑
今となっては、と言うより、すでに当時から、結局のところ、コンセプトアルバムであろうとなかろうと、普通のアルバムと同じようにどれだけ良い曲が収録されているかがアルバムの長期的・普遍的な人気を決める要素なんですよね。正直「Tommy」は、今聴くと主要曲だけをサクッとまとめたコンパクトなアルバムに再構成した方が良いと思います...コンセプトアルバムからコンパクトアルバムへ…ハハハ(別に言わなくてもいいか)汗
この「四重人格」全19曲中の中には珠玉の名曲がいっぱい入ってます。
「TheRealMe」「ThePunkAndTheGodfather」「TheDirtyJobs」「IsItInMyHair?」「5:15」「SeaAndSand」「BellBoy」「DoctorJimmy」「Love,ReignO'erMe」・・・繋ぎっぽい短尺の曲もないし、うん、やっぱしメチャクチャ良い曲ばかりですね!あらためて名盤ですね!
前作「Who'sNext」は収録9曲すべてが名曲という、奇跡みたいなアルバムでしたが、このバンドの不動の主たるソングライターであるPeteTownshendの才能ピークの時期ですね。

もうひとつ、このアルバム「四重人格」に関連して、記憶に濃いのがアルバムのストーリーを基にして作られた映画です。
タイトルは「さらば青春の光」(1979年公開)。青春映画としては決定版と言っても良いと思います!

ThePoliceでデビューしたばかりの若きスティングがモッズのグループを率いる“エース”という役でかっこよくキメてます!特にSting演じる“エース”が仲間たちに混じってフロアでカクカクと踊るシーンなんかもう福山雅治さんとかよりも絶対にカッコいいので!この映画の大きな見どころの一つと思ってください。そのカッコよさをしっかり表現するコトバはどうしても見当たらないので、しょうがなく繰り返すことにします...「スティングかっこ良すぎ」!!!!!
主役のジミー役にはPeteはジョン・ライドンをブッキングしたかったそうですが、実現していたらどんなになったんだろう?きっともっと濃い記憶になったんだろうと思います。ちなみに、クリムゾンのフリップ先生の奥さま(当時...多分、今も...汗)もモッズの一員として出演してます。上掲のポスターの向かって左から二人目です...そう、知ってる人は知っているポストパンクのソロシンガーのトーヤです...笑
当時の私は、トーヤにもびっくりしました。まさに、これぞ青春映画ですね〜
TheWhoというバンドは、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズと並んで英国の誇る3大ロックバンドと括られていることが多いのですが、一般的には日本では特に評価が低い、というかほとんど無視されてるバンドですよね。TheWhoよりデビューが早いこちらも英国を代表するROCKバンドのひとつ、TheKinksと共に。プロモーションなんですかね。どちらも相当凄い名曲をいっぱい作っているのに...涙
TheWhoのアルバムはあと3枚、まだウチにあります。
ついでに紹介しておきますね。

LIVEですが、珍しく超名盤です!(笑)というより、TheWhoはこのLIVE盤こそ真骨頂かもしれません。いや、きっとそうです!TheWho=LIVE !
とにかく、演奏がすごくて・・・!?エディ・コクランのSummerTime Bluceなんて、このLIVE盤の名演が原曲バージョンをぶっ飛ばして曲の代表イメージになってるくらいの感です。B面の代表曲、MyGenerationなんて、MCとかスタンダードフレーズのメドレー演奏とか、アバンギャルドな展開で圧倒されますよ!

「Quadrophenia」の次に出たこのアルバムもかなり良いです!その後のLIVEの定番となる曲としてはA面3曲目の「SqueezeBox」くらいですが、B-2.TheyAreAllInLinesとかB-4.HowManyFriendsとかかなり出来のいいバラードも入っていて、ひょっとしたらTheWhoのアルバムの中で、個人的にはかけている頻度が最も高いアルバムかもしれません。
A-4.DreamingFromTheWaistとか、ラストのInAHandOrAFaceとか、もうこれぞTheWho!という名演です。ちなみにジャケットのイラストはベースのジョンの作品です。前作が全曲キラキラしててあまりに名作なので地味な感じになりますが、ROCK好きなら欠かせない必聴盤の一つになると思います!

ドラマーのKeithMoonの遺作となったWho Are You(1978年)
アルバムに先行して発売されたシングルの表題曲「WhoAreYou」がいかにもTheWhoらしくてとてもキャッチーで「さすがザ・フーだね」と喜んでいましたが、アルバムが発売されてからすぐにキース・ムーンの悲報が届き、かなり大きなショックを受けましたね!
このアルバムも名盤ですよ!シングル曲「WhoAreYou」(アルバムではラスト曲です)をはじめ、「SisterDisco」「NewSong」「TrickOfTheLight」「LoveIsComingDown」など実にこのバンドらしい曲が並んでいます!ROCKが好きなら絶対に聞きましょう!
そもそもこのTheWhoというバンドは、
g.PeteTownshend
b.JohnEntwhistle
ds.KiethMoon
vo.RogerDaltrey
という最強の4人組で、メンバーの中で最も地味に感じるのがヴォーカリストのロジャーという稀有なバンドでした...笑
ピートはほとんどの曲のライターでもありますが、有名な風車カッティングや長身にツナギスタイルなどでLIVE終わりにギターを叩き壊すなどのパフォーマンスでも知られる、いわゆるロックギタリストのひとつのステレオタイプの原型となった最強のリーダーです。ジョンはデビュー曲の「MyGeneration」に早くも聞けるように、パッセージの早いベースソロで“バカテク・ベーシスト”として最初にメジャーになった人。ドラマーのキースは、曲のバックでずっとドラムソロを叩いているようなハードロックドラマーのイメージを作り上げた張本人で、壊れてしまって気がふれたようにビッシバシ叩きまくる人です。(有名な話ですが、LedZeppelinというバンドの名前はこのキースのアイデアだとのちにジミー・ペイジは語っています。真相はベースのジョンのアイデアをキースが俺のアイデアだとジミーに伝えたとのことらしいです。今となっては微笑ましい逸話の一つですね)要するに全員、とんでもないテクを持ったメンツが集まり、台風が通り過ぎるようなLIVEステージを繰り広げたメンツです。(もちろん、ウタのロジャーもハンドマイクの長いシールドを振り回すステージングが定番で、機材屋泣かせの筆頭バンドですね...笑)

メンバー4人の中で、最も奔放でそれこそ口に出すのも憚れるような逸話だらけのキースの死因は、大量飲酒後の抗酒薬の大量摂取だったようですが、デビュー以来、一貫してTheWhoのサウンド面の大きな「個性」であったキースのドラミングがこのアルバム「WhoAreYou」で聞き納めとなりました...泣
さらにこのTheWhoのもう一つの魅力はこれです!

そう、このモッズ・ムーブメントのマークでもともとは英国空軍のマークです。英国国旗の3色を使い、普遍の円、丸という形に矢印を組み合わせて、バンドのマークとしてプロモーションで多用したことですね。
さらにこの矢印付きマークとバンド名の綴りに同じ矢印をあしらい、ポスターや印刷物のアイコンとして使用しました。その例が下です。

このセンス!もう、脱帽ですね!

3色の丸に矢印、これだけでもう、TheWhoということがわかるし、ファッションとしてのモッズを取り込むことに繋げられるし、英国ぽさもぷ〜んとかおってきますよね!しかもシンプルなので、いろんなグッズが展開できますね〜実に秀逸なデザインとその活かし方の見本ですね...元来、文明と異なり、文化というものは“おカネを稼ぐことが苦手”と言われますが、これは「おカネを稼ぐことも苦手ではない文化の希少な例」そのものでしょう!
TheWhoというバンドは、そのデビューアルバムから早くもモッズの象徴バンドとしての地位を確立できたため、多くのフォロワーを産んでいます。
例えば、SmallFaces。TheWhoの少し後になりますが、やはりモッズとしてロンドンのイーストエンドで暮らしていたSteveMarriott、RonieLane、KennyJones(キース亡き後、TheWhoのドラマーに)のちびっこ3人組にのちにストーンズ等で活躍するオルガンのIanMclaganでバンドを作って、デビューアルバムから英国チャート3位、シングル「AllOrNothing」で全英No.1ヒットを出すなど活躍したとってもキャッチーなバンドです。90年代くらいのBritPOPが好きな人はぜひ聞いてみてください!このバンドやTheKinksなんかはきっと好きになりますよ!
さらにパンク期にデビューしたTheJam。こちらは別のメモにまとめているので、ご興味がある方は見てみてください。他には、SpencerDavisGroupとか・・・。いずれにしても、共通の志向はキャッチーなメロディを特徴とするPOPなヒット曲を目指しているし、ボロボロのダサい格好は「狙い」でない限りNGですし、R&Bやソウル、モダンジャズ、スカなどのダンサブルな音楽を下敷きにしたサウンドです。
ファッションとしてもとてもわかりやすく、モッズといえば、パーカですよね。パーカは細身のイタリアンスタイルのスーツにボタンダウンのシャツをビシッと着るモッズのスタイルにあって、スーツが汚れないように羽織るコートとしてアメリカ陸軍のトレードマークであったM-51というミリタリーパーカを好んで着ていた事が始まりです。そういえば、ずっと昔に私の知人が会社を始めたときに挨拶に来られて、「M-51Project」と名詞に社名があったので、私が「えっ、◯◯さんってモッズなんですか?」って尋ねると「いえ、妻の名前のイニシャルがMで私の名前がゴウイチなので、二人で始める会社の名前をこの社名にしました。でも、そのご指摘だとガムさんもモッズですね(ニヤリ)?」と返されたことを思い出しました...笑 私はただ、おカネがなかったのでバリエーションを揃える余裕もなく、冠婚葬祭にいつでも行けるように黒づくめで汚かっただけですが...笑
現代ではそれこそ「モッズパーカ」として確立されていますが、その由来が米国陸軍とか、品番がM-51とかの、見た目以外はどうでもいい人にとってはすっかり雑学レベルの知識になってると思いますが、当時はまぁ、そのくらい知ってる人はたくさんいましたね。あとベスパのスクータとか。松田優作さんの探偵物語でもリバイバル人気になりましたね〜ノスタルジーってなんか良い気分になりますね...笑 アタマが完全にボケる前に、一度、きっちりとモッズファッションをキメてみてみるのも良いかもしれないですね〜
モッズという、キザっぽくて、オシャレと異性への関心以外はアタマからっぽで、ベスパのスクータとかパーカとかボタンダウンとか、屈折した嗜好に偏執狂的にこだわる、世界的に初めて名前を持った“オタク文化”…どこをどう切り取っても若い時だけの瞬間沸騰のようなライフスタイル。英国と言えば…の紛れもない象徴の一つではないでしょうか。
TheWhoが、ザ・ビートルズやストーンズと同じくらい日本でも普通に知られている大きな存在になればいいなぁと心から思いますし、特にその楽曲に関しては極めて高いクオリティを解散までずっと維持していたことについては凄いというひと言なんですが、このバンドとその楽曲はやはりジコチューでボンクラでピュアな「青春の記憶」を象徴するROCKバンドとして、これからも輝き続けていくと思います。
私の予感では、私自身がボケてしまったとき、いちばんヘビロテでかけるのはこのバンドではないかと.....楽しみですね、そのときが...笑
