見出し画像

夜店から【シロクマ文芸部】


夜店から聞き覚えのある声がきこえた
人混みの中、知っている大きな

あれ?
声が重なる

外はまだ明るく、湿気を帯びたまま
風が吹くのも許されない蒸し暑さの中

かき氷の看板

夜店にいるのはクラスメイトの男の子
私は女友達3人とで
地元の商店街の一足早い夏祭り
暑くて浴衣は諦めた

頭頭頭の景色
さらに蒸し暑くなる

もう、1学期が終わるというのに彼とは挨拶以外はあまり話したことはない
いつも教室で男の子と騒いでいる

Tシャツに短パン
学校での服装と違うだけで
私はなぜか彼を見るのが恥ずかしくなる
半袖をまくる腕が
思っていたよりも筋肉質で、汗の粒がみえて
すぐに、目線をかき氷のメニューに逸らす
一緒にいる女友達は、私の中学校時代の友達だから彼のことは知らない

かき氷食べよー

私は友達に提案して
かき氷を注文する
3つ
イチゴ
レモン
ミゾレ 渋い

彼はブルーハワイのような笑顔で答える

ありがとうございますーハキハキした声
おまけて、大盛り!
私たちにウインクする

なに、それーありがとうー

友達みんなでキャーキャー笑う
彼は親戚の手伝いにきていると言う
それにしても

こんなにカッコよかったっけ…
キャーキャー言う友達になぜか少しイラッとする

私はイチゴ

受け取る

彼はもう一回

ありがとう

次は小さな声で、私に言う

私はだまったまま受け取る
手に氷が少し落ちる


バイバーイと友達がはしゃいで手を振る
また3人で暑い商店街を歩き出す
人とぶつかる
はずみで振り返る

かき氷

私は、すぐにおかわりをしたくなった

蒸し暑さのなか
私の喉元
かき氷が冷たく通る

だけど、なんだかさっきより余計に熱くなってきたようで

そんな私を隠してくれる、そんな空に変わってきた

一足早い夏祭り
浴衣着ればよかったな

夜店から
彼の声がまた聞こえた気がした






こちらに参加しました
よろしくお願いします



#シロクマ文芸部
#夜店から

いいなと思ったら応援しよう!