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日の当たらないメタルディスク探訪:第56回 A.C.T - Imaginary Friends (2001)

ヘイ、ヘヴィサウンドのハンターたち。第56回は、2001年、スウェーデン・マルメの音楽学校の教室から飛び出した5人組が、Queenとディズニーとプログレメタルを一つの鍋にぶち込んでグツグツ煮込んだ一枚だ。通称「ディズニープログレメタル」、A.C.T(アクト)の2ndアルバム『Imaginary Friends』。

重いギターリフの直後にヴァイオリンが鳴り、Dream Theater顔負けの変拍子の直後にポップなコーラスが待ち構えてる。ある海外レビューは「彼らはプログレッシブメタルだけど、そうじゃない。AORだけど、そうじゃない。クラシックなプログレロックだけど、そうじゃない」と匙を投げた。ジャンル分けを拒否する陽気な怪物。それがA.C.Tだ。

バンドの裏話:マルメの音楽学校生が育てた、名前を変えた妖精

1994年、マルメの音楽学校に通う学生たちが、友人同士の何気ないセッションからバンドを立ち上げた。Ola Andersson(ギター)、Jerry Sahlin(キーボード)、Tomas Erlandsson(ドラム)、Jens Appelgren(ボーカル)。バンド名は「Fairyland(妖精の国)」。1995年、この名前は「A.C.T」に改められた。

1996年、スウェーデンの音楽コンテストの決勝まで勝ち上がるも優勝は逃す。それでもこの経験がバンドに勢いをもたらした。1997年に新しいデモを制作し、国内をツアーで回りながらYngwie Malmsteenのサポートも務めた。1999年、デビューアルバム『Today's Report』をリリースし、プログレバンドSagaとスカンジナビアツアーへ。

この頃、Herman Saming(ボーカル)とPeter Asp(ベース)が加入し、Jens AppelgrenとSimon Nicklassonから交代。2001年、Thomas Lejonがドラムに加わり、ラインナップが固まる。この5人体制で叩き出されたのが2ndアルバム『Imaginary Friends』だ。

2001年3月、MTM Musicからリリースされたこのアルバムを引っ提げて、元Marillionのボーカリスト、Fishのヨーロッパツアーに帯同する栄誉を掴んだ。批評家からの評価も上々で、「A.C.Tはこの10年で登場したプログレッシブ・フィールドで最も興味深いバンドの一つ」「4枚のアルバムの中で、これが断トツで最高傑作」とまで言わしめた。

その後、2003年に3rdアルバム『Last Epic』をリリース。多くのファンから「集大成」と評され、元Genesisのボーカリスト、Ray Wilsonとのツアーも実現。

2006年にはInsideOut Musicと契約し、4thアルバム『Silence』を発表。この契約を機に、InsideOutは初期3作をボーナストラックと「Imaginary Friendsのメイキング映像」付きで再発した。音楽学校のセッションから始まったバンドが、10年かけて業界のお墨付きを得るまでになった。

地域の雰囲気:マルメ、スウェーデン・プログレの静かな拠点

マルメはスウェーデン第三の都市。ストックホルムから南に600km、コペンハーゲンとは海峡一つ隔てただけの街だ。国境を跨げばもうデンマークという立地のせいか、この街のロックシーンは昔からどこか大陸的、というか島国根性とは無縁の雑食性を持ってた。A.C.Tには、隣国のポップセンスと、英国的な劇場趣味の両方が流れ込んでる。

A.C.Tが体現するのは、70年代英国プログレッシブロック(Yes、Genesis、ELO)と、Queenのようなシアトリカルなロック、そしてSagaやStyxに代表される北米型プログレポップの融合だ。Discogsの紹介文は「A.C.Tはシンフォニックプログレを、Queen、Kayak、Saga、City Boy、初期Split Enzに連なる強力なポップ・ソングライティングと組み合わせて演奏する」と評してる。ヴァイオリンやチェロを多用したストリングス、キャバレー的とすら評される緻密なアレンジ。北欧のバンドと聞いて身構えるようなブラストビートも咆哮も、ここには一切ない。

メタルシーンからは「軽すぎる」、プログレシーンからは「ポップすぎる」と、どこからも本籍地扱いされないA.C.T。でも、そのどっちつかずの居場所のなさこそが、コアなファンを釘付けにしてきた理由だ。あるレビュアーは「少なくとも俺は、彼らのようなサウンドのバンドを他に知らない」と言い切ってる。

アルバム批評:陽気な劇場、61分間のジェットコースター

全13曲、約61分。5人それぞれの演奏技術の高さが際立つプロダクション。でもこのアルバムの真骨頂は、技術の誇示じゃなく、物語性のあるアレンジそのものだ。

冒頭「Take It Easy」から、A.C.T印の陽気さが全開になる。ポップなメロディの奥でJerry Sahlinのキーボードが忙しなく動き回り、変拍子とキャッチーなコーラスが同居する。聴きやすいのに一筋縄ではいかない。この感覚がアルバム全体を貫く。

ヴァイオリンとヘヴィリフの同居、その真骨頂

イタリアの音楽サイトtruemetal.itのレビューは、重厚なギターリフとヴァイオリンが同居する楽曲を評して「ヘヴィなリフとヴァイオリンが同時に聴ける」と驚きを込めて紹介した。Jerry Sahlinの緻密な仕事とオーケストラの弦楽器がHerman Samingの歌声を支え、特に楽曲後半でその声に強い説得力を与えてる。

タイトルトラック「Imaginary Friends」は、批評家から「ニュー・プログ・ロックの完成形に迫る」と評され、「A.C.Tにしか出せない稀有な味わいだからこそ、いっそ"プログA.C.T"と呼びたくなる」とまで言わしめた。「She-Male」では上質なコーラスワークが際立ち、「Svetlana」ではリズムセクションの巨大な仕事ぶりが炸裂する。そして「Second Thought」ではDream Theaterも顔負けのめまぐるしいテンポチェンジが展開される。

これほど多彩な要素を詰め込みながら、退屈さとは無縁なのがA.C.Tの凄みだ。あるレビュアーは「退屈という言葉ほど、A.C.Tから遠い言葉はない」と評した。ポップなメロディ、突然のヘヴィリフ、ヴァイオリンの調べ、変拍子のブレイク。全部が目まぐるしく切り替わりながらも、破綻せずに一つの楽曲として成立してる。まるでミュージカルの舞台袖で、5人の役者が衣装を次々着替えながら台詞を回してるみたいな忙しなさだ。

FFO:Queen、Yes、ELO、Saga、Styx、Supertramp、Dream Theater(変拍子部分)、Kayak、初期Split Enz

最新ニュース:「もっと有名になるべきバンド」という評価

A.C.Tは2008年から2013年まで活動休止期間を挟みながらも、現在も活動を続けてる息の長いバンドだ。5枚のフルレングス、4枚のEP/ミニアルバム、そしてFairyland時代の音源の再発を含めると、そのカタログは充実したものになってる。

海外のプログレ専門メディアDPRPのレビュアーは、2025年の記事で「彼らはよく、実際よりもっとビッグな名前になるべきだったと言われる」と綴った。この連載で扱うのにこれほどふさわしい肩書きもない。同レビュアーは最も好きな作品として3rdアルバム『Last Epic』を挙げつつも、『Imaginary Friends』についても「プログ、ポップ、アートロック、そしてほんの少しのメタルという、彼らならではの独特なブレンドを完璧に体現している」と高く評価してる。

欠点:「メタルすぎない」ことへの戸惑い、そして掴みどころのなさ

『Imaginary Friends』最大の「欠点」は、皮肉なことに、その掴みどころのなさそのものだ。メタルリスナーとして聴くと「思ったよりずっとポップで軽い」と感じるかもしれない。プログレメタルを期待して聴くと肩透かしを食らうし、AORやポップスとして聴くには複雑すぎる。この中間地点の居心地の悪さが、A.C.Tが商業的に大ブレイクしなかった理由の一つだろう。

13曲61分という尺の長さも、次々と展開されるアイデアの豊富さは魅力である一方、一気に聴き通すには集中力を要する。ミュージカルを1本通しで観るくらいの覚悟はいる。

採点:89/100

Queen、Yes、Sagaへの敬意を独自に消化した唯一無二のサウンド、劇場的で陽気な世界観、そして5人の演奏技術の高さ。もう少し焦点を絞ったアレンジがあれば92超えも狙えた。でも、この詰め込みすぎな部分も含めて、A.C.Tというバンドの愛すべき個性だ。

マルメの妖精たちが紡いだ、陽気で掴みどころのない一枚

『Imaginary Friends』は、2001年のプログレッシブロック/メタルの隠れた金字塔。メタルシーンの喧騒からは少し離れた場所で、Queen、Yes、Sagaへの愛だけを燃料に走り続ける、劇場的で独特な一枚だ。マルメの音楽学校生たちが始めたFairylandという妖精の国から、A.C.Tという唯一無二のバンドへ。

BandcampやSpotifyで今でも聴けるから、深夜にヘッドホンで『Imaginary Friends』の陽気な世界観に浸ってみてくれ。君のヘヴィ棚に、たまには毛色の違う一枚を加えてみるのも悪くない。次回もマイナー盤を掘るから、オススメあったらコメントで教えてくれ

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