日の当たらないメタルディスク探訪:第26回 - ECHOES「Nature|Existence」(2010)
もしDream Theaterが南米から来ていたら、きっとこんな音楽を作っていたに違いない
ヘイ、ヘヴィサウンドのハンターたち。26回目は、ベネズエラ・CaracasのECHOESが2010年にリリースした「Nature|Existence」だ。

もしDream Theaterが南米から来ていたら、きっとこんな音楽を作っていたに違いない。これが、「Nature|Existence」を一言で表す最高の表現だ。
バンドの裏話:Caracasの6人組が描く、自然と存在の物語

ECHOESは、ベネズエラ・Caracasで2004年後半に結成された。Caracasは、ベネズエラの首都で、人口約300万人の大都市だ。でも、プログメタルシーンは小さい。南米のメタルシーンは、ブラジルやアルゼンチンが中心で、ベネズエラは完全にアンダーグラウンドだ。
ECHOESの編成が面白い。3人のギタリスト(Javier Landaeta、Antonio Silva、Rafael Sequera)、ベーシスト(Jorge Rojas)、キーボーディスト(Alfredo Ovalles)、ドラマー(Miguel Ángel Moliné)の6人組。ギタリストが3人って、もうこれだけでヤバい。普通のバンドは2人で十分なのに、ECHOESは「もっとリフが必要だ!」って言って3人目を加えたんだろうな。
で、ここからがさらに面白い。ECHOESはインストゥルメンタルバンドとして活動し、各曲で異なるゲストボーカリストを起用するという、実験的なアプローチを取っている。Carl Webb(イギリス?)、Nick Storr(カナダのThe Third Ending)、Tobias Jansson(スウェーデン?)、Pedro Castillo(ベネズエラ?) - 世界中からボーカリストを集めて、「国際連合みたいなアルバム」を作った。
2010年2月9日、「Nature|Existence」をリリース。全12曲、約53分。伝統的なフォークミュージック、70年代と90年代のプログロック、Math Metalの影響を受けながら、独自のサウンドを作り上げた。
地域の雰囲気:Caracasの混沌と、北欧プロダクションの奇跡

Caracasは、ベネズエラの首都だが、政治的・経済的に不安定な街だ。2010年代のベネズエラは、ハイパーインフレーション、政治的混乱、治安の悪化に苦しんでいた。ECHOESは、この混沌の中で、音楽に没頭した。
でも、ECHOESは、ベネズエラだけで完結しなかった。ミックスはスウェーデンのOla Sonmark、マスタリングはスウェーデンのSvante Forsbäck。北欧の洗練されたプロダクションと南米の情熱が融合した。
これ、マジですごい。ベネズエラのバンドが、スウェーデンのエンジニアを起用って、どうやって繋がったんだ? たぶん、ECHOESは「Dream Theaterみたいなサウンドが欲しい!」って言って、北欧のエンジニアに頼んだんだろうな。で、結果的に、南米の情熱と北欧の洗練が融合した、最高のプロダクションが生まれた。
アルバム批評:12曲、53分間の壮大な旅
全12曲、約53分。インストゥルメンタルとボーカル曲が交互に配置され、自然と存在をテーマにした壮大な物語が展開される。
Epilogue (...is where we start) - 終わりから始まる、逆説の美学
アルバムの幕開けは、「エピローグ(...ここから始まる)」。普通、エピローグは終わりだが、ECHOESは**「終わりから始まる」というコンセプトを提示。これ、哲学的すぎる。「人生は終わりから始まる」**って、もう完全にプログメタルの世界観だ。Post-Rockの叙情性が漂う、静かなイントロ。
Rude Awakening (6:32) - Dream Theater直系の荒々しい目覚め
Carl Webbをゲストボーカルに迎えた、アルバム最初のボーカル曲。「荒々しい目覚め」というタイトル通り、Dream Theater直系のプログメタルが炸裂。複雑なリフ、変拍子、そしてWebbの力強いボーカル。最初からガツンとくる。
Leaf Motif (6:12) - 葉のモチーフが描く、自然の美しさ
Nick Storr(The Third Ending)をゲストボーカルに迎えた、アルバムのシングル曲。「葉のモチーフ」というタイトルが示す通り、自然をテーマにした叙情的な曲だ。メロディックなギターリフとStorrのクリーンボーカルが絶妙に絡み合う。YouTubeで公式ビデオが公開されているから、チェックしてみてくれ。

Unfair (6:15) - 不公平な世界への怒り
Tobias Janssonをゲストボーカルに迎えた、「不公平」。怒りと絶望をテーマにした、ヘヴィな曲だ。Janssonのアグレッシブなボーカルが、曲の緊張感を高める。ベネズエラの混沌を反映した、社会的なメッセージが込められている。
Despair (5:33) - サックスが奏でる、絶望の深さ
「絶望」。Dave Duffusのサックスが印象的な曲だ。ジャズの影響が感じられる実験的な曲で、Dream Theaterも「Another Day」(Images and Words)でサックスソロを使ったが、ECHOESはサックスとギターの対話を通じて、絶望の深さを表現している。
Farewell (3:32) - 弦楽四重奏が奏でる、壮大な別れ
「別れ」。アルバムの最終曲は、弦楽四重奏を迎えた壮大なインストゥルメンタル。Alfredo Ovallesが作曲し、Jorge Rojasがアレンジ。クラシカルな美しさとプログメタルの複雑さが融合した完璧なエンディングで、「Epilogue(エピローグ)」から始まって、「Farewell(別れ)」で終わるという円環構造を完成させている。
最新ニュース:ECHOESの現在、そして2枚目のアルバムへの期待
ECHOESは、「Nature|Existence」のリリース後、2枚目のアルバムを制作中だという情報がある。Bandcampのページには、「The last 25 copies of this album are available to purchase in order to help us finance the production of our new record」(このアルバムの最後の25枚は、新しいレコードの制作資金を調達するために購入可能)と記載されている。
2025年現在も、BandcampやSpotifyで「Nature|Existence」を聴くことができる。ベネズエラの混沌の中で、ECHOESは音楽を作り続けている。
欠点:ゲストボーカリストの多様性が、統一感を欠く
「Nature|Existence」の欠点は、ゲストボーカリストの多様性が、統一感を欠くことだ。各曲で異なるボーカリストを起用することで、実験的なアプローチを取っているが、アルバム全体の流れが途切れる瞬間がある。
Carl Webbの力強いボーカル、Nick Storrのクリーンボーカル、Tobias Janssonのアグレッシブなボーカル - これが全部、同じアルバムに詰め込まれている。これは、「国際連合みたいなアルバム」の宿命だ。でも、この多様性が、「Nature|Existence」の魅力でもあるんだよな。
FFO:Dream Theater (Images and Words期)、Symphony X (The Divine Wings of Tragedy期)、Fates Warning (Parallels期)、Opeth (Blackwater Park期)、Between the Buried and Me (Colors期)、Haken
Dream Theater直系のプログメタルが好きなら、「Nature|Existence」は必聴だ。ベネズエラの赤道直下から放たれた、隠れた名盤を逃すな。
採点:88/100
「Nature|Existence」は、Dream Theater直系の隠れた名盤だ。複雑なリフ、変拍子、叙情的なメロディ - これが全部、53分間に詰め込まれている。ゲストボーカリストの多様性が統一感を欠くが、この実験的なアプローチが、「Nature|Existence」の魅力だ。
Caracasの混沌から生まれた、プログメタルの傑作
「Nature|Existence」は、ベネズエラ・Caracasの混沌から生まれた、プログメタルの傑作だ。Dream Theater直系の複雑さ、Math Metalのテクニカルさ、Post-Rockの叙情性 - これが全部、南米の情熱と北欧の洗練で包まれている。
BandcampやSpotifyで今でも聴けるから、深夜にヘッドホンで「Nature|Existence」の壮大な旅に浸ってみてくれ。君のヘヴィ棚に、ベネズエラの隠れた名盤が加わるぜ。次回もマイナー盤を掘るから、オススメあったらコメントで教えてくれ!
