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わくわくする旅の出発に、読む本を間違えた話

旅の移動時間は、私にとって貴重な読書タイムだ。
普段はなかなかまとまった読書時間が取れないからこそ、長距離の移動が決ると少し心が躍る。

8月末、甥っ子と姪っ子に会うために飛行機へ乗り込んだ。
旅のお供にする本は、いつも本屋で「直感」で選ぶ。
内容はあえて事前に調べず、表紙のイラストや雰囲気が気に入ったら購入する。

今回選んだのは、町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」
他の仲間には聞き取れない高周波で鳴く、世界で一番孤独なクジラ。
その存在は以前から知っていて、なんとも寂しげなタイトルではあるが美しい表紙に惹かれて手に取った。

目的の空港までの約2時間はあっという間だった。
夢中でページをめくり、飛行機を降りる頃にはすっかり読み終えていたのだが、なんとも重たい内容だった。
それぞれが抱える深い傷や秘密、孤独、人間の弱さや暴力。
その中に確かに救いや希望、優しさがある素晴らしい物語なのだが、読み終えてすっかり切なくなってしまった。

これからわくわくする旅が始まるというのに、出発早々、読む本を間違えてしまったかもしれない。

ふと思い返せば、前回の旅もそうだった。
夏目漱石の「こころ」。
過去の過ちと後悔を抱えた「先生」と「私」の物語で、こちらもなかなかに重く、暗い。

どちらも何度も読み返すほど大好きな名作なのだが、どうやら「旅のテンション」には少し不向だったようだ。

旅に向いている本とは、どんな本なのだろう?
これまで考えたこともなかった私には、旅行ガイド本ぐらいしか思いつかない。

ネットで「旅先で読みたい本」と検索すると、特集がたくさん出てきた。
その土地の雰囲気に合った本や軽やかなエッセイなど、いろんな
選び方があるのかもしれない。

旅の目的地を選ぶのと同じように、これからは「旅に連れて行く本選び」も含めて、じっくり楽しんでみようと思う。

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