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【創作大賞2026】悪魔な元カレ👿プロローグ:忘れた契約


星が散りばめられた夜。

黒い影が、低空飛行で街を横切る。

赤い目がキラリ。

ボソッと呟く。

「……どこだ?」

ネオンが眩しい繁華街。

雑多な音が混ざり合って渦になる夜。

「うー……飲みすぎた……」

頭を押さえ、フラフラ歩く女性。

夜風がウルフカットの首筋を撫でていく。

「……さむっ」

身震いひとつ。

ワイワイと酔っ払い達の笑い声が近づいてくる。

止まる足音。

「オネーサン、具合悪いの? 看病してあげよーかぁ〜?」

笑いがはじける。

顔をあげると、美形の女性がひとり。

潤んだ大きな瞳、長いまつ毛、ふっくらした唇。

目が合う。

(……かわいい)

酔っ払い達の正気が一瞬、戻る。

「さ、飲み直そ?」

手が伸びてくる。

「……いらない」
「遠慮しなくていいからさ」

 ……しつこい。
詰め寄られる。


再び上空。

ピン、と気配が走る。

「……あれ? 絡まれてる?」

ストンと降り立つ影。

「やめとけ。離れろ。痛い目見るぞ」

……この寒い中、コスプレ?

酔っ払い達はチラ見したものの、無視して女性に手を伸ばす。

触れようとした、その瞬間。

女性の姿がスッ……と消えた。

次の瞬間、酔っ払い達がドサッ、ドサッと崩れ落ちる。

ため息。

「……だから言ったのに」

額に手を当て、空を仰ぐ。

背後に気配。

振り向く。

「京香。僕だよ。小学校の時の遊魔。迎えに来た。契約、しただろ?」

京香と呼ばれた女性は、糸が切れたように倒れる。

「…………! ちょっ…………あ……ヨダレ……」

抱きとめ、照れる。

マントで優しく口元を拭う。

「──送るよ。家どこ?」

指さす京香。

赤い目が光りドアがゆっくり開く。

フワッと香りが広がる。

「⁉︎……くっさ!!」

ゴミの山。謎の異臭。

天使の寝顔。

床が見えない部屋。

「えっ……ここ……!?」

足元に、白い箱からはみ出ている布が見えた。

「……ピンクのエプロン……」

「新品みたいだな……」

エプロンを握り締めながら、

「〰️〰️〰️──っ!!」

肩を落とす。

……はぁ……やるしかないか……。

赤い目が再び光る。

物が宙に舞い
ホコリも舞う──

自らもエプロンをサッとつけ、渋々片付け開始。

時折、異臭に顔をしかめる。

床掃除をしながら、ひとりでブツブツ。

「ん……」

目をこする京香。

「ここどこ?」

……に、なるよな。

「──京香の部屋だよ」

「……誰?」

ガーン、と衝撃を受ける遊魔。

しかし、すぐに胸に手を当て得意げに立つ。

「小学校の時の同級生の遊魔だよ!契約しただろ? だから来た!」

「セールスお断り。帰って。
……ん? 部屋が綺麗?

……何かよくわからないけど、あなたがしてくれたの?

……掃除ありがとう」

ひらひら手を振り、奥の部屋に戻る京香。

「え、ちょ、京香⁉︎ 忘れたのか⁈」

慌てて京香の後を追いかけて部屋を覗くと、

そこにはちょうど服を着替えようとして、

ズボンを床まで下ろした姿の京香がいた。

「……あ、あ、あの……」

顔を真っ赤にする遊魔に、
京香はニヤッと笑う。

遊魔をヒョイッと担ぎ上げ、そのまま外へポイッと放り投げた。

バタン! と閉まるドア。

玄関の外で、体育座りする悪魔の遊魔。

「寒い……探したのに……やっと見つけたのに……。

寒いな……世の中冷たいよ……人間って何なんだろうね……」

窓の外から、遊魔の念仏のような呟きがノンストップで一時間。

「……あああっ💢もうっ!」

ガチャリとドアが開く。

「……入りなよ。話聞くよ」


(つづく)

🌙次回予告
第1話 
華麗に舞うゴミ袋の出し方
「京香。迎えに来た。契約しただろ?」
再会はロマンじゃなく、ゴミ袋の上から始まる。

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次回もゆるりと遊びに来てくださいね🌙
── 月灯りの綴り屋 ─

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