第67回 有馬記念の回顧
いや~、一気の外差し有利と化したトラックバイアスといい、不規則に吹き付ける強風といい、決してフェアなレース条件ではなかったと思いますが、 勝ったイクイノックスだけは別格の強さでしたね。
確かにレース条件が味方した部分もいくらかはありましたけど、その分をごっそり差し引いても、レース内容は掛け値なしの完勝と言っていいのではないでしょうか。
では、早速、レースを振り返っていくことにしましょう。
中山11R 有馬記念
今日は有馬記念の回顧に入る前に、この日の午後の中山で何が起こっていたのかを簡単に振り返っておくことにします。
お昼を過ぎた頃、中山競馬場では風向きが北寄りに変わり、その勢いを増していました。
つまり、正面スタンド前の直線が強烈な向かい風となるため、そこを2回走ることになるコースで風よけがない状態で先行する馬たちには、かなり厳しい状況になっていたと考えられます。
その影響を真っ先に受けたのは、午後一番に行われた7R1勝クラスダート1,800m戦。そう、3連単865万馬券となったあのレースですね。
もちろん、大荒れになった原因は強風だけではないのですが、少なくとも2,3着馬に関しては、風の恩恵を受けて好走できたことは明らかだったんじゃないか、と。
さらに言うと、9Rのグッドラックハンデキャップが大荒れの結果になったのも、似たような理由からでしょう。
こちらは加えて芝のレースでもありましたし、その点で外有利なトラックバイアスが差し・追い込み決着を助長した面もあったでしょうから、客観的に見ても、非常にわかりやすい荒れ方だったのではないでしょうか。
こうした流れを受けての有馬記念……でしたから、競馬をよく知っている人なら、レース前の段階で、先行馬が苦戦するであろうことを十分に予見できたということになります。
正直なところ、外枠から先行するであろうディープボンドを中心視すると前日に投稿していた私からすれば、「コレ、完全に詰んでるな……」とレース前に思ったくらいでしたから……。
さて、こうした事情を踏まえつつ、有馬記念のレースを振り返っていくことにしましょう。
全周ラップは、7.0 - 11.3 - 11.7 - 12.1 - 12.5 - 13.1 - 12.7 - 12.4 - 11.8 - 11.9 - 12.2 - 11.4 - 12.3。
タイトルホルダーが踏むラップとしては、一見すると弱気な構成のようにも見えますが、このラップでも、前々でレースをつくった馬たちには序盤から相当な負荷がかかっていたと想像されます。
実際、イクイノックスを別格扱いにするとしても、2~5着馬は全馬前に風よけになる馬を置いて脚を溜めていた馬ばかりですから、ガチンコ勝負ではさすがにキツイだろうと思われたイズジョーノキセキが、あわや3着かという惜しいレースを見せたところで、驚くことはありませんでしたね。
そんなこんながあった今年の有馬記念でしたが、勝ったイクイノックスは問答無用の強さだったと思います。
確かに前半は、前の馬たちを風よけに使えるという恩恵はありましたけど、3コーナーから外を回って自ら動いて行っているわけですし、それでいて最後の2ハロン目で11.4という強烈なラップを踏んでいるのですから、ちょっと次元の違う勝ちっぷりだったな、と。
この感じだと、風やトラックバイアスのアシストがなくても、おそらくこの馬が完勝していたでしょうから、今回のレースを経て、名実ともに日本のトップホースに躍り出たと評価してもいいのでしょう。
さてさて、来年はいったいどんなローテーションになるんでしょうかね。この馬のさらなる飛躍が、今から楽しみで仕方がありません。
2着のボルドグフーシュは、多分に強風とトラックバイアスに恵まれた面が大きかったと思いますが、それでも同じように条件に恵まれた3着以下の馬たちには決定的な差をつけていますので、菊花賞からさらに前進があったと前向きに評価すべきでしょう。
この馬が阪神の未勝利戦を勝ってから数戦、人気薄のこの馬を狙い続けた時期があった私からしても、当時、さすがにここまでの飛躍は想像もしていませんでしたから、菊花賞、そして今回と、低評価にとどめていたことを深く反省しつつ、この好走を素直に喜びたいですね。
3着ジェラルディーナは、出遅れたことがむしろ功を奏す結果になった印象もありました。この日の条件で、前走のように早めに外からマクる競馬を仕掛けていたら、おそらく最後はパッタリだったでしょうからね。
「人間万事塞翁が馬」とはまさにこのことですが、もちろんこれも競馬の一部ですから、「裏の裏が表」になって馬券が当たった方も、恥ずかしがらずに的中を素直に喜んでいいのだと思います。
4着イズジョーノキセキは、久しぶりに岩田康JらしいGⅠでのイン差しを見せてくれました。
レース条件といい、枠といい、ジョッキーのエスコートといい、何ひとつケチのつけようがないレースができましたから、さすがにこれ以上の結果は望めませんが、今回の走りには精一杯の拍手を贈りたいですね。
5着エフフォーリアは、「春よりは確実にいいが、昨年のいい頃までは戻り切っていない」。パドックではそんなデキに映りました。
ただ、やはりというか何と言うか、レースでは横山武Jがかなり強気に乗っていたところもありましたから、もしも割り切って弱者の競馬に徹していれば、楽に2着はあったんじゃないでしょうか。
昨年のこのレースだって、今回と同じような乗り方をしていたら、おそらく取りこぼしていた可能性が高いと思うのですよね、直感的には……。
この結果により、「エフフォーリアは終わった」説がいよいよ勢いを増してきそうですが、個人的に決してそうは思いません。確かにトップフォームを取り戻すところまで行けるかは微妙ですけど、まだまだGⅠ戦線で互角以上に戦える力は残っている。そう考えます。
6着ウインマイティーは、自分の競馬に徹すればこれくらいは走れる馬。馬体も絞れて体調面も良くなっていましたし、この6着という結果には胸を張っていいのではないでしょうか。
7着ジャスティンパレスは、インのポケット取り切る強気な競馬を仕掛けてきましたが、勝ちに行く競馬をした分、最後は甘くなった印象もありました。それでも、マーカンドJの胆力ある騎乗は見事だったと思いますし、この経験は必ず次につながるでしょうから、結果はともかく、この馬にとって非常に価値のあるレースになったのではないか、と。
8着ディープボンドは、この着順でも先行勢の中では最先着ですし、ブレークアップに番手の位置を奪われて3番手の外という苦しい位置取りになった割にはよく踏ん張っているほうだと思いますので、今回は運に見放された部分が大きい残念な敗戦となってしまった。そう総括せざるとえません。
ただ、この厳しい条件の中ではよく走ってくれたと思いますので、この馬を中心視したことに後悔は一切ありませんね。
9着タイトルホルダーは、トラックバイアスと強風に持ち味を完全に殺されてしまったことに加え、パドックでの馬の気配もひと息に映りましたから、今回は負けるべくして負けたという理解でいいように思います。
ただ、より厳しい競馬を強いられていたディープボンドに今年も3馬身先着を許したという事実は、この馬の中山適性に引き続きの疑問を投げかけるものではあったでしょう。
次走がどこになるかはまだわかりませんが、もしも今年と同様に日経賞を選択してきたら、「阪神と同じように走れるとは限りませんよ」という部分を、絶対に忘れてはならないのだろうと考えます。
10着ヴェラアズールは、レース序盤から折り合いを欠いてしまい、まったくレースになりませんでした。
この結果を突きつけられると、「やはり精神面でジャパンカップのダメージがあったんだな」ということになるわけですが、パドックでは落ち着いて歩けていましたし、レース前にこの結果を予測するのは非常に難しかったように思います。
競馬は、生身の動物が主役だからこそ難しくも面白い。今回のこの馬の走りは、期せずしてそのことを如実に表しているような気がしますね。
11着ボッケリーニは、やはり中山のほうが走りはスムーズでしたが、状態面に不安が残る中でこの強力メンバーを相手にするのは、さすがに厳しかったようです。
12着ポタジェは、今回のレース条件ではこの着順でもこの馬なりのよく走っていると言えるでしょう。
13着ラストドラフトは、まあこのあたりが妥当な着順かな、と。
14着アリストテレスは、ブリンカー着用もやはり何もできずに終わってしまったな、と。
15着アカイイトは、冬毛が目立って状態面がひと息に映りました。この相手にひと息のコンディションで立ち向かうのは、さすがに無謀でしたね。
16着ブレークアップは、結果的に最も厳しいレースを選択してしまいましたから、この惨敗は致し方のない結果だったと思います。
さて、今年も残すGⅠはホープフルSのみ。
この一年、GⅠレースの戦績は散々なものでしたけど、最後くらいはビシッと決められるといいな、と。
なんとか有終の美を飾ることができるよう、今から早速予習を始めることにします。それでも、日和ってバットに当てに行くようなショボいスイングだけは絶対にしませんけど……(笑)。
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