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愛しています、先生。の話。

大学2年生の頃、僕は学ぶ意欲を全く持っていなく、ギリギリ学籍を置いているだけのどうしようもない学生だった。必修科目も落とし、再履修が必要になるくらいだったので当然卒業のための単位も不足していた。

そんな折、3週間の中国語学研修旅行のお知らせがあった。
なんとこれに参加するだけで2単位もらえるのだ。海外旅行するだけで卒業に近づけるとあっては参加しない理由がない。
お金をなんとか工面し、僕はこの研修に参加することにした。

滞在先は中国の天津市にある大学の寮だった。冬の時期でとても寒い地域であったが、海外で3週間と言う長期滞在に気持ちは浮かれていた。

この研修期間、朝は太極拳から始まり、昼まで語学の勉強。そして午後は様々な施設などに行って中国の文化を学ぶ日もあれば、自由時間になる日もあった。僕は午前の語学の授業をとても楽しみにしていた。
滞在中の出来事は色々あったが、また別の機会にはなそうと思う。

僕らの語学の時間を担当してくれた李先生(仮名)は20代後半の女性で、中国人らしいキリッとした顔立ちがとても美しい女性だった。声も可愛らしく、授業もとても優しくわかりやすかった。僕は語学の時間が、と言うか李先生のことが大好きになった。高校でも大学でも授業の大半を眠ることに費やしていた僕が、李先生の授業だけは本当に真面目に取り組んでいたことを見ても、いかに先生が好きだったかがわかるだろう。

しかし時と言うのは残酷なもので、あっという間に最後の授業が終わってしまった。その夜、先生たちはささやかな送別会を開いてくれた。美味しい中華料理に中国と日本の歌が入り乱れるカラオケ大会を楽しんでいたが、僕は李先生と写真を撮るタイミングだけをただ伺っていた。

そして、タイミングを見計らい、日本から引率で来ていた中国人の劉教授(仮名)にお願いをした。
「李先生に一緒に写真を撮ってくださいってお願いしてくれませんか?」
そうすると劉教授はニヤっと笑い、OKと言って李先生に中国語で話しかけた。

すると、李先生は驚いたような顔をしたあと、顔を赤らめて爆笑。僕は訳が分からずキョトンとしていると、劉教授はこう言った。
「あなたが彼女のことを愛している、と伝えておきましたよ!」
と。まだギリギリピュアだった20歳の僕はひどく狼狽していただろうが、李先生は立ち上がると写真を撮ろうと言うポーズをして、腕を組んでくれた。僕の右腕には李先生の胸が当たっていた。この感触は決して忘れないでおこう、と思った。

先日、久しぶりにその時撮った写真を見た。改めて見ても李先生はとっても可愛かった。今はもう50歳を超える頃だろう。それでも、可愛いままでいてくれたら良いな、と心の中の20歳の僕が呟いていた。

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