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アムラーに憧れていたわたしの眉と、息子の眉の話。|子育てエッセイ


毎朝メイクをしていると、安室奈美恵ちゃんに憧れていたあの頃を思い出す。

ワンレンロング、茶髪、ミニスカ、ヘソ出し、厚底ブーツ。

それらアムラー必須条件の中で、わたしが1番苦戦したのが「細眉」だった。くっきりと立派な太眉だったからとりわけ苦労した。

当時、「細眉の型」なるものがあって、わたしも意気揚々と購入した。
自分の眉にその型を当てた時、抜かなければならない場所が予想以上に広範囲にわたることに絶望したことをはっきりと覚えている。

それでも手鏡を覗き込み、痛みを我慢しながら一本ずつ抜いて、整えて、切りそろえて。
何時間かかったのか覚えていないけれど、ミニスカートから剥き出しになっていた膝にくっきりと畳の跡が残るくらいの時間をかけてアムラー眉を完成させた。


あの時のわたしに声をかけるのであれば、間違いなく「痛みに耐えてよく頑張った!」だろう(この言葉、わかる人いるのかしら)。




あれから20年。鏡を覗き込んでしみじみと思う。
「眉毛、生えてこないかな」と。

まばらな眉を丁寧に整える毎日。
長い時間をかけて育ててきたおかげで、不器用なわたしでもKATEのアイブロウひとつでなんとか修復できるようになってきた。

それでも「ナチュラル眉毛」とは程遠いし、ときおり出来上がる違和感しかない「濃い太眉」にはため息しか出ない。

若かりしアムラーの代償を、ここまで引きずっているレディーはわたしの他にいるのだろうか。いや、絶対にいるはずだ。



わたしは毎日メイクをリビングでする。

息子はわたしがスキンケアをしているときは、絶対に声をかけてこない。スキンケアの時間は「ママのお薬の時間」と教えているからだ。


スキンケアからメイクに変わると颯爽とやってきて、お決まりの上目遣いで「ねぇねぇ、遊ぼうよ〜」と軽いナンパをしてくる。クレヨンしんちゃんなんて、見せたことないはずなのだけれど。
そしてなぜスキンケアとメイクの境界線が4歳男子にわかるのかは、不明である。


「あともう少しで終わるから!」と息子をなだめて先を急ぐ。
これからムラにならないようファンデを塗り、そして大本命の眉に取り掛からねばならない。

まさに全集中の時間である。




つい先日、久しぶりに会心の出来の眉を作ることができた。これぞナチュラルな眉。大満足である。
気分が乗ったのでリップもつけてみた。春だし、たまにはいいよね。


その様子を見ていた息子が、トコトコとこちらへ寄ってきた。すぐそばにきて、ニコニコしている。
両手を口元にあて、顔をくねくね。これは少し恥ずかしがっている時の息子の仕草である。

「マーマ。」

「なぁに?」

するとまた、「マーマ。」と返ってくる。


なかなか先へ進まない会話が続く。どうしたんだろうこのモジモジくんは。

何度目かの「マーマ。」で、「なぁに?〇〇ちゃん」と返事をしてみた。


すると息子は顔を近づけて、「ママ、きょうはかわいいねぇ」とわたしの口をトントンしてくれたのだ。



そんなこと今までなかったからとても驚いた。
いつもと違う雰囲気がわかったのだろうか。よわい4歳にして、夫より優秀である。


思わずニヤけてしまう。すぐに抱っこしてお顔を撫でながら「ありがとう!」と伝えた。

「今日はねー、ママ、上手にお化粧ができたんだよねぇ」
とご機嫌に笑うと、息子も「そうなんだぁ、かわいいねぇ」とまた笑い返してくれた。


照れ隠しで両手で息子のほっぺをむぎゅっとする。
「タコのおくち〜」と言うと、息子はケタケタと声を立てて笑った。




ケタケタと笑う息子の顔には、わたしと同じ濃いめの眉毛がある。たいそう太眉になりそうな兆し。
4歳ながら、なかなか立派な眉だ。

その眉が目に入るたび、少し申し訳ない気持ちが顔を出す。


息子がこの眉を整える日が来るのだろうか。


その時には、細眉が流行っていないことを切に願うばかりである。



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