存在感だけのネコ
不眠が続くと人は容易く幻覚を見る。疲労した脳が情報を処理出来なくなり、結果ありもしない人影や変な妄想を見せるのだ。
かくいう私も前職でメンタルを病み不眠を発症した時は、視界の端に人影や気配を感じたりして不眠が見せる幻覚だと分かっていても少しギョッとすることがあった。
退職し実家に戻っても相変わらず不眠は続いていた。しかし脳のバグが見せる人影や気配はだんだんと別のものになっていった。実家で飼っているネコになったのだ。
ご存知のとおりネコは、カーテンの裏とか柱の影だとか家具の下だとか、人間の視界に入るか入らないか微妙なところに居がちである。実家のネコもそんな場所を好んでいた。それは人影や気配を感じてしまう場所とちょうど同じだ。
人影かと思ったらネコだった、そんなことを繰り返した結果、脳が物陰にいるナニカ=ネコと認識したらしく、脳のバグが見せる影や気配も全てネコとして感じるようになった。実家のネコがいるはずのない外出先でもネコを感じた。
ネコはネコだから怖がることなどない。お陰で不眠によるストレスが減っていた気がする。
不眠が解消してからはナニカを感じてしまう現象に見舞われていないが、実家のネコの他に架空のネコが物陰に隠れているのを感じていた生活は少し面白い思い出となっている。
この記事は雑談アドベントカレンダー2023参加作品です
