「薔薇の花・広田」02 (The Story of Hirota) 2003年 新世界物語
薔薇の花・広田 新世界物語より
主な登場人物
広田・・・五十歳。
岡島・・・六十歳。
森田・・・ヤクザ
茜みどり・・・新世界歌謡劇場を中心に唄っている歌手
ストーリー
「薔薇の花・広田」
釜が崎で暮らすようになって十年近くたった広田。妻子(さいし)に逃げられ寂しい日々を送っていたが、仲間を見つけ新世界の演歌歌手茜みどりを応援する。
(2)
7 山王町・広田の部屋、夜
部屋に額縁に入った大きな薔薇の版画(はんが)が飾ってある。
その横にはセピア色の家族、広田、妻、息子、娘の写真。
食事をしている広田。
部屋の隅に段ボール箱が積んである。
中には大学ノートに書かれた日記がぎっしりと詰まっている。
8 西成のドヤ街のアパート。
広田が作業着のまま寝ている。
9 玄関には汚れた地下足袋が脱ぎ捨ててある。
10-1 昼。大阪新世界。下から見上げた通天閣の全景、
10-2大衆演芸場。三百席ほどの劇場はほぼ満員。ほとんどが女性客。
舞台では歌謡ショーが繰り広げられている。飛び交うテープやおひねり。
11-1 新世界、夜。商店街を酔った画像の男が踊りながら歩いている。
11-2新世界、夜。商店街。角刈りの男と肩がぶつかり広田が倒れる。
森田「こら! どこ見てあるいとんじゃ!」
広田「ひたすら頭を下げて済みません。許してください」
森田「これからは気をつけさらせ!」
男は足早に去る。
広田は相手の顔を見ることもなく頭をさげたまま。
11-3 新世界、夜。商店街。倒れた男は立ち上がる。角刈りの男は消える。体の大きな男が立ち上がった男を支える。
11-4画像の肩を抱き合っている二人の男が居酒屋で酒を飲んでいる
11-5画像の二人が笑っている。背景構図は変わらず。
岡島「よかったな、しつこうからまれんで」
広田「ほんまや、生きた心地せへんかった」
岡島「げん直しに一杯飲もか?」
広田「そやな」
二人は近くの串カツ屋に。
岡島、広田にビールを注ぎながら
岡島「あんた芝居好きなんやな」
広田「ここへきて初めて芝居みたんや、岡島さんもちょいちょい行くんでしょ」
岡島「まあなそやけど本命は『歌謡劇場』や ……」
12-1 夜。釜ヶ崎の商店街。全てシャッターが降りている。店先にに何人ものホームレスが寝ている。画像の二人の男が、肩を組んで酔っぱらいながら歩いている。
13-1 夜。12-1の肩を組んでいる二人の男が、画像の宿屋の入り口に入っていく
14-1 広田の部屋。広田がじっと「薔薇の花」を見つめている。
14-2 広田、段ボール箱から日記を取り出し書き始める。
「マコト、アキちゃん……」
14-3 広田布団で寝ている。部屋の灯りは消えている。
