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Charlie Christian|ギターが伴奏席を立ち、前へ歩き出した

もしCharlie Christianが全キャリアの楽曲を携えて、現代の大型野外フェスに60分だけ出演するとしたら。


SETLIST

  1. Rose Room

  2. Flying Home

  3. Seven Come Eleven

  4. Soft Winds

  5. AC-DC Current

  6. Till Tom Special

  7. Gone With "What" Wind

  8. Six Appeal

  9. Waiting for Benny

  10. Wholly Cats

  11. A Smo-o-o-oth One

  12. Poor Butterfly

  13. Gone With What Draft

  14. Airmail Special

  15. Breakfast Feud

  16. Blues in B

  17. Gilly

  18. Solo Flight

LIVE REPORT

最初に驚くのは、音が小さいことではない。

普通なのである。

Charlie Christianがアンプにつないだギターを持ってステージに現れ、「Rose Room」のソロを弾き始める。太く丸い音。単音のフレーズが滑るようにつながる。

2020年代の耳には、それほど異様には聞こえない。

それこそが異様なのだ。

ギターがバンドの奥でコードを刻むだけではなく、管楽器のように前へ出て、一音ずつ旋律を組み立てる。その光景を私たちはあまりにも見慣れている。

その見慣れた風景のかなり深い場所に、Christianがいる。

「Flying Home」ではLionel HamptonのヴァイブとBenny Goodmanのクラリネットの間を縫う。Christianはギターをギターらしく弾こうとしていない。長い単音線を作り、フレーズを伸ばし、休み、また入る。

まるでサックス奏者である。

AllMusicがChristianについて、エレクトリック・ギターをサックスのような流動性と自信で演奏した最初の重要人物と評しているのは、この感覚を言葉にしたものだろう。

「Seven Come Eleven」。

ここから俄然面白くなる。

これはChristianとGoodmanの共作。ギターが曲の内部に後から乗るのではなく、ギターのフレーズそのものが音楽の骨格へ入り込んでいる。

続く「Soft Winds」「AC-DC Current」「Till Tom Special」。

一曲ごとに革命を説明してくれるわけではない。Christianはただスウィングしている。しかし短いソロの中に、後のジャズ・ギターで何度も聞くことになる語彙が次々と現れる。

それどころか、時折もっと先まで聞こえる。

ビバップである。

Christian自身はSwing Eraのミュージシャンだった。それでもフレーズのアクセント、コードをまたぐ動き、リズムの置き方には、数年後のCharlie ParkerやDizzy Gillespieたちが作る音楽と重なる部分がある。

その接点が最も露出するのが「Waiting for Benny」。

五分を超える。

三分前後のSP盤から少し自由になった途端、Christianのアイデアが止まらなくなる。短い決められたソロ枠ではなく、時間を与えればこの人はどこまで行ったのか。

想像が始まる。

Christianのキャリアはあまりに短かった。1939年にBenny Goodmanのグループへ加わり、1941年には病気で第一線を離れ、1942年に亡くなった。AllMusicが指摘するように、その表舞台での期間はほんの数年しかない。

それなのに、後半へ行くほど彼の影は大きくなる。

「Wholly Cats」「A Smo-o-o-oth One」「Breakfast Feud」。

ギターがリズム・セクションとフロントラインの境界を自由に行き来する。コードを刻んでいると思えば、次の瞬間には一本の旋律が飛び出す。

そして「Airmail Special」。

GoodmanのクラリネットとChristianのギターが会話する。

ギターはもう珍しい新兵器ではない。

一人の声である。

最後の「Solo Flight」で、その意味が決定的になる。

今度は小編成ではなくビッグバンド。

大編成のホーンの間から、Christianのギターが一人で前へ出てくる。

曲名通りの単独飛行だ。

Rock & Roll Hall of FameはChristianの功績を、エレクトリック・ギターをリズム・セクションからスポットライトの下へ持ち出したことだと端的に説明している。

まさにその光景がここにある。

音量を上げたことが革命だったのではない。

音量が上がったことで、ギタリストが「何を弾けるか」が変わった。

伴奏する。

リフを弾く。

ソロを取る。

バンドと会話する。

その後のT-Bone Walker、Les Paul、Wes Montgomery、B.B. King、Chuck Berry、そしてロック・ギタリストたちまで続く巨大な歴史の入口で、一人の若者がアンプの前に立っている。

最後のコードが鳴る。

派手なフィードバックはない。

ギターを破壊することもない。

それでも、ここからエレクトリック・ギターの時代が始まったのだと思わせる。

60分で残したもの

Charlie Christianの革命は「世界で初めて電気ギターを使った」ことではない。
増幅されたギターを、ジャズの即興を担う第一線のソロ楽器として定着させたことにある。
その音が現代の耳に自然であるほど、彼の仕事は成功したということになる。

REFERENCE|Charlie Christianとは何者か

Charlie Christianを「エレクトリック・ギターの発明者」と呼ぶのは正確ではない。

彼以前にも電気的に増幅されたギターは存在し、Eddie Durhamら先行する奏者もいた。

Christianの重要性は別のところにある。

エレクトリック・ギターを、ジャズの主役級のソロ楽器にしたことである。

1916年Texas州生まれ。Oklahoma Cityで育ち、若くしてギターを弾き始める。1930年代後半にはアンプを使用するようになり、1939年、プロデューサー兼スカウトのJohn Hammondに見出されてBenny Goodmanのもとへ送られた。

有名なのが最初のGoodmanとのセッションである。

当初GoodmanはChristianに好印象を持っていなかったとされるが、ステージ上で「Rose Room」を演奏すると状況が一変した。その後ChristianはBenny Goodman Sextetの重要メンバーとなる。AllMusicもこの「Rose Room」のジャムを、ChristianがGoodmanを納得させた転機として紹介している。

当時のギターは、ビッグバンドでは主にリズムを刻む楽器だった。

音量の問題があったからだ。

アンプによってその制約が取り払われると、Christianはギターで長い単音フレーズを弾き始める。管楽器奏者のようなラインを作り、コード進行の上を自由に動いた。

ここで重要なのは「電気化」より、その技術を何に使ったかである。

Christianは大音量でコードを鳴らしたのではない。

即興の言語を変えた。

さらに、彼はHarlemのMinton's Playhouseで行われた深夜のジャム・セッションにも参加していた。そこにはThelonious Monk、Kenny Clarke、Dizzy Gillespieら、後にbebopを形成する人物が集まっていた。私的に録音されたセッションの一部が残り、ChristianがSwing Eraとbebopの境目にいたことを現在も確認できる。

しかし時間はほとんど残されていなかった。

結核によって1941年には活動が難しくなり、1942年に死去。20代半ばという若さだった。

残された正式録音の中心はわずか数年間である。

それでも影響は巨大だった。

Rock & Roll Hall of Fameは1990年、ChristianをMusical Influenceとして殿堂入りさせている。そこからジャズ・ギターだけでなく、エレクトリック・ギターを前面に置く後世のポピュラー音楽全体へ道が伸びていく。

Christianを聴いて奇妙なのは、古びて聞こえないことだ。

むしろ普通に聞こえる。

その「普通」を作った人なのである。

KEY RECORDINGS

『The Genius of the Electric Guitar』

最初の一枚ならこれ。Benny Goodman Sextetとの代表録音から「Solo Flight」まで16曲をまとめて聴ける。Amazon Musicにも収録されている。

『With The Benny Goodman Sextet & Orchestra』

Amazon Music日本版で確認できる16曲・約50分の編集盤。「Seven Come Eleven」「AC-DC Current」「Airmail Special」「Solo Flight」など主要録音がまとまっている。

「Solo Flight」

ビッグバンドの中でギターが完全にソロ楽器として前へ出た象徴的録音。Christianの歴史的位置を一曲で理解しやすい。

選外主要曲

「Memories of You」
Christianの歌心を知るには重要だが、今回はよりリズミックな曲を優先した。

「Honeysuckle Rose」
ジャズ史上のスタンダードをChristianがどう料理したかが分かる録音。

「I Got Rhythm」
Minton's周辺の長尺録音へ進む入口として興味深い。

「Stardust」
Christianのリリカルな側面がよく出るが、フェスの流れから選外。

「Swing to Bop」
Christianの先進性を最も刺激的に感じられる長尺ジャムの一つ。ただしAmazon Musicでの音源特定が正式録音群より難しいため今回は外した。

次に聴くなら

Eddie Durham
Christian以前のアンプリファイド・ギター史を知るうえで重要。Christianが突然何もない場所から現れたわけではないことが分かる。

Django Reinhardt
同時代にギターを主役へ押し上げたもう一人の巨人。電気とアコースティックという違いも面白い。

T-Bone Walker
Christian以後、エレクトリック・ギターがブルースのフロント楽器へ進む大きな一歩。

Wes Montgomery
Christianが作ったジャズ・ギターの言語が、その後どれほど洗練されていったかを聴ける。

プレイリスト

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