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リカちゃんへのお詫びの件。

来年、2027年でリカちゃんは60周年をむかえるそうです。
思い出しました。
遠い昔、リカちゃんが私のところにやって来た時のこと。
サンタさんが、いえ、サンタ様、そう、当時の私とって、サンタ「様」であります。サンタ様が私の願いを検知し、わざわざ遠い道のりをトナカイのそりで贈り物を届けてくださったのです。
ちなみに、12月にサンタ様のそりを引いてくれるトナカイは、すべて雌だそうですね。あのゴージャスな形の角、生え替わりの時期から考察すると、12月にあの状態で登場できるのは雌のみ、とテレビで聞きました。おまけで別件ですが、みつばち一家の働きばちはすべて雌なんだよ、と養蜂家の方に聞きました。今さら知った小ネタですが、いくつになっても新しい学びがあって、妙に感心しています。

リカちゃんはそれはそれは美人で、栗色がかった素敵な髪色だったように思います。当時の私にとって、盆と正月がいっぺんに来たくらいの喜びの出来事。あ、この例え方で、世代と地方がにじみでているかもしれない(笑)。
うちのリカちゃんは衣装持ちではなかったので、髪を結んだり三つ編みしたりしておしゃれをしてあげましたが、だんだん変化が欲しくなってきました。
大きな瞳にきゅっとしたアゴ。観察するほどに、リカちゃんに似合うのはショートカットだ、という思いがムラムラと湧いてきました。このエレガントなロングの毛先カールヘアもすてきだけどちょっとブリっとしてる、クルクルっと可愛さを前面に押し出した髪型よりも、シュっとしてかっこいいショートカットが似合う!という思いはどんどん強くなりました。
うっすら予想される通り、ある日、とうとう私はリカちゃんをショートカットにしてあげました。すごく似合う、やっぱり! 工作バサミでカットしたとは思えない、大満足の仕上がりでした。
今の私であれば、折りたたみの鏡をパッと開いてリカちゃんの後ろ姿を鏡にうつして、「いかがですか?とてもお似合いですよ。」と売れっ子美容師さんさながらに伝えたことでしょう。まだ幼児の私の髪は母に切ってもらっていて、美容師さんのそういったかっこいい所作をまだ知らなかったので、ただ1人で喜んだだけですが、今だったらそう言ってあげたい。そのくらい上手にカットできたのです。確かに、本当に可愛く仕上がったのです。今さらですが、強めの主張(笑)。

しかし、そんな喜びも束の間、諸行無常とでも申しますか……情勢は不利になっていきます。ナイロンか何か製の髪はモサっと膨らんできました。翌日には、モサモサと後頭部の髪が更に盛り上がって刈り上げ風に変化。チコちゃんのようにきれいに青く刈り上がっていれば評判も上々だったことでしょうに……。
残念ながらリカちゃんは、玩具。うなじには、ナイロンか何か製の髪の毛を植えつけてある穴がずらりと丸出しに。今思い出しても、相当残念な後ろ姿です。悲し過ぎる…リカちゃんが玩具であることを強烈に見せつける結果に、幼い私はかなりのショックでゾッとしましたが、悲劇はそこで終わりません。

必然、愚かな幼児の荒業を母親が知ることとなります。
激怒する母。当然です。いつも恐かったけど、一層恐い。
「なんで切ったんね!!」
なんで切った?工作バサミだよ、が正解なの?
いや、そりゃショートカットが似合うと思ったからだよ〜、が正解か?
いや、正解であったとしても、そんな主張が通るはずもない。
「人形の髪は伸びん!!」
仰せの通りです。
「知らんのか!!」
うすうす知っていました。
すごく怒ってるじゃんかー。恐いじゃんかー。と私の心中の住人ララが恐怖におののいて、ぐるぐる走り回っていたでしょう。
しばらくは無視の刑だな……意気消沈の私。
私の大満足は大空の遥か彼方に消えていきました。そう、髪はもう伸びません。
まあ、もしも伸びたらそれはそれで違った恐怖を味わうこととなりますし。

サンタ様役の、サービス精神が異常に突出した気質の母は、裕福ではなかった経済状態の中、まあまあ、いえ、相当の無理をして、このゴージャスな玩具を買ってくれたわけで、激怒するのは当然です。申し訳ないことをしました。
姉の人形タミーちゃんは、このようなひどい目には遭っていません。
リカちゃんは、うなじに植え込み穴を丸出しにした哀愁漂う後ろ姿であることを知ってか知らずか、平然と美しく微笑んでいました。
私のせいですけど。

もう半世紀余り過ぎてしまったけど、
リカちゃん、あの時は本当にごめんなさい。

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