同じ場所#19「あまり行かない喫茶店で/never young beach」
この物語は、タイトルの曲を聴いた時に完成します。
物語の世界と曲を一緒に楽しんでください。
「晴れてるね」
「そうね。眩しい。眠いーー」
「早くシャワー浴びてきてよ。今日はデートだよ」
「うーーん。もうちょっとしたらねーー」
「もーー。置いていくからね」
「いやだーー。頑張るからぁ」
雄也は私の肩に頭をつけてぐずってる。
彼は極端に朝が弱い。
貧血で起き上がれないらしい。
厳しくしないと、映画に間に合わないので彼の頭を無理矢理起こした。
「早くしなよ!シャワー浴びれば目覚めるんでしょ!」
「はーーーい」
彼は立ち上がり浴室へ向かった。
トボトボと今にも倒れそうな猫背である。
私はリビングでメイクを再開する。
シャワーの音がしばらく続き、止んだ。
次は髭剃りの音が鳴る。
止んだ。
10分もしないうちに、完璧にヘアセットされた雄也が歯を磨きながらリビングに戻ってきた。
「映画何時だっけ」
「11時だよー。相変わらず準備早いね。目覚めた?」
「え、男なんてこんなもんだろ。早く行こ」
「もーー。自分が準備できたからって急かさないでよー。そんな一瞬で目覚めるならさっさとシャワー浴びればいいのに」
「それまでが大変なのよ。さっきまで死にそうだったんだから」
「意味わかんない。もうちょっとだからちょっと待ってて」
「はいよーー」
口を濯ぎに洗面所へ戻る。
「今日はbarbour?」
「そうだね。そんな寒くないしちょうどいいでしょ」
「おっけい」
彼と私は、ブランドだけのお揃いをよくする。
全く一緒だと、ちょっとイタいけど、二人で歩いててお洒落に見えるくらいのお揃いが心地よい。
彼はLevi'sのデニムに黒いCT70を履き、ショート丈のbarbourを着る。
デニムはリジットデニムで、去年から履き続け、少し色が抜けてきた。
私は、ショートパンツにロングブーツを履き、少しオーバーサイズのbarbourを羽織る。
彼の腕を掴み、地下鉄に向かう。
「今日は何見るんだっけ?」
「坂本裕二の新作だよ」
「そうだそうだ。楽しみだなぁ。ほんと大好き坂本裕二」
「今年2本目じゃない?坂本裕二の映画」
「多いね。ドラマもやって欲しいけどね」
「うんうん。私はドラマの方が長く楽しめるから好きなんだよなぁ」
「俺はドラマ見逃しちゃうから、映画がいいなぁ」
「確かにね。この間も見逃してたもんねーー」
「仕事あると、むずいのよほんとに」
「私だって仕事してるけど、ドラマ見れてるじゃん」
「そうなんだけどさ。瑞希がマメすぎるんだよ。大抵の大人は毎週ドラマ追えないって」
「うわーずるい。自分の方を大多数に持っていかないでよ」
「はいすみませーん」
すすきの駅に着いた。
映画を見終わった。
「ご飯食べにいこっか」
「そだね。雄也はなにがいい?」
「昼メシはパスタでしょ」
「好きだねぇ。いいけど。この前のカフェいこーよ」
「いいね」
カフェまで映画の感想を言いながら歩いた。
パスタを食べ終え、家に帰る。
川沿いを歩いて帰った。
帰り道の公園の木は黄色く染まっていた。
「秋だねぇ」
「一瞬で雪降っちゃうよ」
「そーだね。今度月見バーガー食べなきゃね」
「一瞬でなくなっちゃうもんね」
「そうそう。瑞希といると時が経つのが早いなぁ」
「幸せすぎて?」
「うん。幸せで満たされすぎて」
彼の腕をギュッと抱きしめる。
外の風は冷たかったが、二人でいれば大丈夫。
この物語の曲:
「あまり行かない喫茶店で/never young beach」
読み終わった後に聞いてみると、物語がさらに立体的になります。
ぜひ、曲とともに、物語の余韻を味わってください。
