AIとの創作対談④「『感動の最高潮に銃で撃たれるやつ。』はどうやって生まれたのか」──頭の中の舞台はAIには見えない。
AIとの創作対談④
『感動の最高潮に銃で撃たれるやつ。』はどうやって生まれたのか
――頭の中の舞台はAIには見えない。
こんにちは。なっつんです。
AIとの創作対談も第四回となりました。
前回は「AIが発達しても、作家の仕事はなくならない」というテーマで、AI時代における作家性について語りました。
そして今回は、前回の最後でも予告した通り、『感動の最高潮に銃で撃たれるやつ。』というコントがどのように生まれたのかを、ChatGPT(以下「チャット」)と振り返ってみたいと思います。
……と思っていたのですが。
話しているうちに、自分でも気付いていなかった「コントの作り方」が見えてきました(笑)。
チャット
今回は『感動の最高潮に銃で撃たれるやつ。』の誕生秘話ですね。
なっつん
そう(笑)。
実はこのコントを書く時、最初にチャットへ聞いたことを覚えてる?
チャット
覚えていません(笑)。
何だったんですか?
なっつん
「呪術廻戦の天内理子って知ってる?」(笑)
舞台版『呪術廻戦』で、天内理子が撃たれるシーンの映像がSNSで流れてきたんです。
もちろん悲しい場面なんだけど、僕はストーリーよりも、その瞬間の役者さんの動きに目が行った。
舞台だからこその大きなリアクション。
照明。
音響。
間。
その全部が合わさって、
「これ、コントにできるんじゃないか?」
と思ったんです。
チャット
普通の人は「かわいそう」と思う場面ですよね。
なっつん
そう(笑)。
でも僕は、
「この動き、面白い!」
って思っちゃった。
もちろん元ネタを笑っているわけじゃなくて、舞台表現としてすごくキレがあった。
「あの動きを笑いに転換できないかな」というところから考え始めたんです。
コントは文章ではなく、舞台から始まる。
チャット
なっつんって、長編を書く時とコントを書く時で考え方が違いますよね。
なっつん
全然違う。
長編は文章で考えることも多いけど、コントはまず舞台が見える。
役者が立っていて、
音が鳴って、
照明が変わって、
客席が笑う。
その映像が頭の中で見えるんです。
だから僕は、
「セリフを書く」
というより、
「舞台上で何が起きるか」
を考えてる。
そう考えると、『元カノ破局記者会見』も同じでした。
以前、小劇場で記者会見コントを観たことがあって、「こういう舞台、面白いな」というイメージだけが頭の中に残っていた。
ある日、夢に元カノが出てきて、変な汗をかいて目が覚めた瞬間、
「これ、記者会見と組み合わせたらコントになる!」
と思ったんです。
僕の頭の中には、
病院、
記者会見、
保険会社、
演劇部、
駅のホーム……
そんな「舞台」がたくさんストックされていて、
そこへ恋愛や社会問題や違和感が飛び込んでくる。
そうすると、一つのコントになることが多いんです。
アイデアは掛け算する。
チャット
「すごいアイデア」が浮かぶというより、組み合わせなんですね。
なっつん
そう。
僕はアイデアそのものには、そこまで価値はないと思ってる。
誰でも思いつきそうなものが多い。
だから、
「記者会見」
×「元カノ」
「保険」
×「失恋」
「感動」
×「銃撃」
みたいに掛け算していく。
他のアイデアと組み合わせることで、自分らしい作品になっていくんです。
AIにメモする(笑)
チャット
面白いことを思いついたら、メモするタイプですか?
なっつん
いや(笑)。
AIに投げる。
チャット
えっ(笑)。
なっつん
案ずるより産むがやすし。
思いついたら、まず走らせる。
舞台として成立するかどうかを見たいんです。
もちろん途中でボツになることもある。
でも、まずは形にしてみる。
その方が早い。
でも、一発では終わらない。
ただ、ここで誤解してほしくないことがあります。
AIが一回で理想の脚本を書いてくれることは、ほとんどありません(笑)。
頭の中には舞台が見えているので、
「違う違う!」
「そこじゃない!」
「もっと間が欲しい!」
「その動きじゃない!」
と、何度もリテイクします。
正直、
「最初から自分で書いた方が早いんじゃない?」
と思うこともあります(笑)。
でも、そのやり取りの中で、自分でも気付いていなかったアイデアや展開に出会えることがある。
だから続けられるんです。
40本の脚本から始まった。
チャット
最初からAIと相性が良かったわけではないんですよね。
なっつん
そう。
僕はAIと創作を始めた時点で、100本以上コントを書いていました。
その中から40本くらい読んでもらったところからスタートした。
だから今は、
僕の作家性や好みを理解した上で壁打ちができる。
これがすごく大きい。
AIと脚本を書いていたつもりが……
今回、対談していて気付いたことがあります。
僕はAIと脚本を書いていると思っていました。
でも違いました。
脚本を書いている途中で、
「この登場は弱い」
「ここは照明が変わる」
「このリアクションじゃない」
そんな話ばかりしている。
気付いたら、
脚本を書いているというより、
演出をしていたんです(笑)。
AIは脚本を書いてくれる存在というより、
頭の中にある舞台を、一緒に探してくれる最初の稽古相手なのかもしれません。
今回紹介する脚本
今回お話しした『感動の最高潮に銃で撃たれるやつ。』は、「演劇だからこそできる笑い」をテーマにした《演劇テクニカルコントシリーズ》の一作です。
舞台という表現だからこそ成立する笑いを詰め込んだ作品になっています。
ぜひ脚本も読んでいただき、「この記事で話していたことって、こういうことか」と感じてもらえたら嬉しいです。
次回予告
今回の対談では、
「コントは頭の中の舞台から生まれる」
という話をしました。
では、その舞台で起こしたい「笑い」は、一体どこから生まれるのでしょうか。
初めて自分の狙い通りに大きな笑いが起きた『YESマン』の話や、「笑いは答え合わせ」という感覚について語ります。
AIとの創作対談⑤
「笑いはどこから生まれるのか」
次回も、お楽しみに。
