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七人のグッバイ (Night on 10 planets〜episode Mercury)最終話

著作 偽バッチリー中田


七人のグッバイ
(Night on 10 planets〜episode Mercury)


最終話 グッドバイブレーション


➖ BARイトオカシ、深夜二時五十三分 ➖

(櫻)
「先輩寝ちゃいましたね」

(伊藤)
「良く飲んでたしね、お疲れなんだよ」

(優香)
「ソフィまで運びましょうか」

(伊藤)
「そうだね」


➖ 約九百年後 ➖

約九百年前以降地球では世界が統一され、利権、紛争、貧困、犯罪、差別、環境汚染などが減少した

ほぼ全ての人が格差のない、安全で心身共に健康的な生活を提供される

一部の例外もあるが、地球上に存在する生物に有害な影響を与える悪が出現する可能性は、極めて低い世の中になった

人種や国家など人間同士の争いも殆ど無くなり、世界全体で物質資源や情報などが共有され生産し分配される

全ての情報が共有された事により、これまで多くの勢力が競争し、飽和状態に陥っていた様々な技術が飛躍的に進歩すると、殆どがオートマティック化され、地球資源も枯渇する事の無いシステムで管理されるようになった

その為人間の負担は最小限に抑えられ、労働をするという概念さえ今や失われつつある

好きな事を好きなだけ好きな時に、したい事をしたいだけしたい時にしてもしなくても良い環境

それは愛と秩序に支配され守られた世界

地球外知的生命体と各国の機密情報も共有し一部公開された事により、地球の生物が地球外で繁栄する礎となった

地球外知的生命体との交流が盛んになると、普通の人々や生き物が、他の惑星に移住できる様になる

そして人間は高度な宇宙力学を学び吸収し、人工で惑星を創るまでに成長した

地球人が宇宙空間に人工的な太陽系を生み出し、沢山の地球生物の移住が始まってから約210年経つ

その人工太陽系は10 planets(テンプラネッツ)と名付けられた


➖ 10 planets第一惑星Mercuryのある都市 ➖

グッドバイブレーションと呼ばれる、記憶ダウンロードシステムを使った体験型アミューズメントが、この都市では大流行していた

(店長)
「お客さん、お客さん」

(庵)
「ああ、、、、」
「もう、二時間経ったの?」

(店長)
「ええ、あっという間でしょ?」
「今回のグッドバイブレーションは如何でしたか?」

(庵)
「今までで一番楽しめたよ」
「続きが気になるな?」

(店長)
「こちらのデータは、現状この記憶だけしか残されていません、、、」

(庵)
「そうなんだ、凄く気になるんだけど、、、」

(店長)
「申し訳ございません」
「新たに前後の記憶が発見されるケースも稀にございますので、気長にお待ち頂けると」

(庵)
「もし見つかった時は教えてよね」

(店長)
「、、、発見された場合もですが」
「お客さん自身が体験されませんと同人物の記憶かどうか判断出来かねますので、、、」

(庵)
「そうか確かに、他人が体験しても同じ感覚とは言い切れないもんな、、、」

(店長)
「作用でございます」

(庵)
「あっそうだ、データにシリアルナンバー的なのは無いの?」

(店員)
「ナンバーの残っているデータもあれば、ずさんな管理状態で見つかるデータもありますから」
「こちらのデータは保存状態は良く、無修復ですがシリアルナンバーは残されていません」
「メーカーや機種も不明でして」

(庵)
「偶然を待つしか無いのか、、、」

(店長)
「今回体験された記憶のレビュー頂けましたら、我々の方で関連性が深いデータを検索にかけますが?」

(庵)
「是非お願いします」

(店長)
「それも偶然の発見の域は出ませんが、データが存在するなら可能性はありますよ」

(庵)
「あの人の記憶のデータが残ってたらか、、、」

(店長)
「良い記憶だったんですね?」

(庵)
「うん、いつの時代のどこの誰か知らないけど、実際にあそこの場所に行って生きてみたいよ」

(店長)
「そうですか、きっと記憶の持ち主も嬉しいんじゃないでしょうかね」

(庵)
「そうだ、もう一度同じ記憶を体験する事は出来るの?」

(店長)
「ええ、勿論ですよ」
「既にお客さんのデータベースに登録されていますから、何度でも体験出来ます」

(庵)
「そう、じゃまた来週お願いしようかな」

(店長)
「ええ是非」
「次回のご利用まで、五日間以上インターバル空けて頂ければ、法律上は問題ありませんので」

(庵)
「ありがとう、また宜しく」

(店長)
「はい、お待ちしております」

(庵)
ー 優香ちゃんに会ってみたいな ー

(店長)
「ああ、もうこんな時間ですか、、、」

店長が壁を見ると、時計の針が三時を指した

グッドバイブレーションは生前の人間の記憶をデータベース上で保存しており、それを別の人物が体験出来るシステムで、政府公認の大人気娯楽施設である

(店長)
「はぁーいみんな、そろそろ店閉めるよ!」
「お疲れ様でした」

(店員)
「店長、ちょっと良いですか?」

(店長)
「何?」

(店員)
「グッドバイブレーションのゴーグルの事で、お客さんから良く聞かれるんですけど」

(店長)
「あっ、FOGってロゴの事?」

(店員)
「えっ、何で分かったんですか?」

(店長)
「うちの店のゴーグルで良く聞かれる事って、それだけだもん」

(店員)
「FOGって聞いた事無いんですけど、何のロゴですか?」
「検索しても出てこなくて」

(店長)
「僕も詳しくは知らないんだけど」
「グッドバイブレーションの記憶ダウンロードシステムを開発した企業が元々眼鏡屋さんらしくて、そのブランド名だとか違うとか」

(店員)
「そうなんですか、、、FOG」
「何の略なんだろ?」

(店長)
「はいはい、今週の売上げ調子良いから」
「早く閉めてビリヤニ食べに行くよ!」

(店員)
「マジっすか!奢りっすか?」

(店長)
「今夜は僕の奢りだからね、来れる人達はラボラビに集合だよ!」


終わり


おまけ


➖ 現代の北海道 ➖

(吉田兼見・よしだかねみ)
「加藤さんて、清水区の連続殺傷事件の仕事って知ってますか?」

(加藤小夏・かとうここなつ)
「ああ、あれね」

(兼見)
「あの事件て、全部うちの仕業なんですよね?」

(加藤)
「そうだよ、僕もいたしね」

(兼見)
「世間では、未解決事件になってますよね」

(加藤)
「どうしたの?」
「急に古い事件持ち出して、コールドケースでも頼まれた?」

(兼見)
「鶴岡君(つるがおか)にしつこく、聞かれたんですわ」

(加藤)
「ああ、オカルト君ね」

(兼見)
「噂には聞いてたんですけど、僕も会社入る前の話ですしね」

(加藤)
「犯人なんていないし、警察の自作自演みたいなとこあるからさ」

(兼見)
「勢力争いからの膿み出しですか?」

(加藤)
「流石、兼見君察しが良いね」

(兼見)
「僕も芥川さんと一緒の時は、政府のけつ吹きみたいな仕事散々やってきましたから、、、」

(加藤)
「そっか暗部はその道のプロだもんな」
「そりゃ、ピンとくるか」

(兼見)
「ほんなら、被害者は全員?」

(加藤)
「そう、政治家さんや大企業の偉いさんとか、身内やら関係者だよ」

(兼見)
「そんなとこですよね」

(加藤)
「そう言えば、俺の先輩に目撃者で任意の取り調べ受けた人がいてね」

(兼見)
「素人さんですか?」

(加藤)
「うん、今はBARかなんかやってるのかな?」
「学生時代お世話になった人でね、相談されちゃってさ」

(兼見)
「それ面白いですね」
「張本人に相談て」

(加藤)
「俺も探偵みたいな事してるって言ってたから、先輩の方から連絡あったんだよ」
「まぁ直接だと色々上手くやり易いから」

(兼見)
「ちょっと、後ろめたいでしょ?」

(加藤)
「良い人だからな」
「でも、真実なんて知らない方が良いんだからさ」

(兼見)
「それで、有耶無耶にしたんですか?」

(加藤)
「警察も実際は捜査してないしね」
「でも、寸前バスまで調べててさ、北海道で俺もバス画像に映り込んじゃってたから、詰められたけどね」

(兼見)
「ほーそりゃ凄い」
「確かに、あのバス目立ちますもんね」

(加藤)
「このバスツアー終わったら、先輩の店行ってみようかな?」

(兼見)
「何てバーですか?」

(加藤)
「何だっけな、古典的な感じだったような?」

(兼見)
「古典的?」
「BARニューヨークとか?」

(加藤)
「もっと和風」

(兼見)
「王将とか?」
「将軍?」

(加藤)
「風情のある感じだよ」

(兼見)
「侘び寂び?」

(加藤)
「そのまま過ぎるから」

(兼見)
「最近クイズ多いな、、、」

(加藤)
「あっ、思い出したよ!」
「BARイトオカシだ」


おまけのおわり

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