6/3 路上の小さな海
フロントガラスには、大量の穴が開いていた。
それは何度、ワイパーで塞いでも、次の瞬間には元通りになる。
延々と追いかけっこを続けて、音に目を凝らす。
「パシャン」
その途端、乗用車は路上に海を創り出した。
乗用車が飛び散らせた扇車の滴の足跡には、満ち引きを行う小さな水溜りが残っている。
まだ車から出たばかりなのに、もう、ズボンが湿っている。
滴の模様が浮き出て、布の繊維に染み込んでいく。
ポタポタと一滴ずつ落ちる滴。
濡れてしまうから面倒臭いのに、その一滴が蛍光灯の光を受け取って、煌めく。
それが、途方もなく美しい。
空は全方向、雲に覆われていた。
でも、次の日には青い空が見えてくるという当たり前の事実。
その顛末を見てみたくなった。
