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余白ノート│PAUSE AND LISTEN、初日の朝│まだ木の匂いがする店で

2026年8月16日、日曜日。

清澄白河に新しく生まれた店、

PAUSE AND LISTEN

のプレオープン初日に、さっそく行ってきた。

少し前に、僕のレコード熱が再燃するきっかけになった店「チルアウト」のマスターが、新しい店を始めるという話を書いた。

その記事を書いておきながら、
「新店舗にも行ってみようと思う」
などとのんびり書いていたのだけれど。

結局、初日の朝に来てしまった(笑)。

PAUSE AND LISTEN

PAUSE AND LISTEN

場所は江東区清澄。
大通りから少し入ったところにある。
外観はとても静かだ。

大きく店名を主張する看板があるわけでもない。

ガラス張りの入口の脇に、

PAUSE
AND
LISTEN

と書かれた白いボード。

PAUSE AND LISTENの白い看板

この控えめさが、むしろ店名に似合っている。

通りかかった人が、
「ここは何だろう」と少し足を止める。

PAUSE

そして中から聞こえてくる音楽に耳を傾ける。

LISTEN

なるほど。

店の名前そのものが、この場所への入り口になっている。

扉を開けると、レコード

接客中のチルアウトマスター


店へ入ると、まず目に飛び込んでくるのが大きな木の棚だ。
そこにはレコードがびっしりと並んでいる。
そしてターンテーブル。
長い木のカウンター。
丸いペンダントライト。
珈琲豆の入った瓶。

奥には珈琲を淹れるための道具が並んでいる。

レコード屋でもない。
喫茶店だけでもない。
バーだけでもない。

音楽のある時間を過ごすための場所。

そんな印象を受ける。

まだ、初日の木の匂い

そして店に入って、もうひとつ印象に残ったものがあった。

匂いだった。

まだ、新しい木の匂いがする。
カウンターも棚も、まだ真新しい。
この店の時間を、ほとんど吸い込んでいない木だ。
でも、この匂いはずっと続くわけではないのだろう。

これから毎日、珈琲が淹れられる。

カップが置かれる。
人が話す。
レコードが回る。

やがて夜の営業が始まれば、お酒のグラスも並ぶようになるだろう。

そうやって少しずつ、
珈琲の香りが木に染みていく。

人の時間が染みていく。
音楽が染みていく。

何年か経ったあとにこの店を訪れる人にとっては、それが最初から「PAUSE AND LISTENの匂い」なのだと思う。

でも僕は今日、
その前の匂いを知った。

まだ、初日の木の匂い

これは初日に来た人だけが持ち帰れる、小さな記憶なのかもしれない。

新しい店長、モトキさん

新店 店長 モトキさん

新しい店を預かるのは、店長のモトキさん。

エスプレッソマシンの前で、いい笑顔を見せてくれた。

店そのものがまだ新しいように、ここからモトキさんとPAUSE AND LISTENの時間も始まっていく。

店は建物だけではできあがらない。

そこに立つ人がいて、
珈琲を淹れる人がいて、
音楽を選ぶ人がいて、

客がやってくる。
そうして少しずつ、「店」になっていくのだと思う。

今日は、その最初の日だ。

チルアウトから続いているもの

そもそも僕がこの店の開店を楽しみにしていたのには理由がある。

チルアウトは、僕が再びレコードを面白いと思うようになった場所のひとつだからだ。

通い始めた頃には、ジャズフリークの友人と二人で行くこともあった。

おじさん二人でジャズの話をする(笑)。

ボサノバも聴いた。

マスターには、そんな僕らの音楽話にもずいぶん付き合ってもらった。

あの時間があったから、僕の中で再びレコードが動き始めた部分もある。

そのチルアウトから、新しい音楽の場所が生まれた。だから僕にとって、この新店は単なる「新しいカフェ」ではない。

僕のレコードの物語の先にある場所でもある。

そして、レコードを2枚

レコード棚 ちょっと配置を変えて撮影してます

当然ながら、店内にレコードがあれば見てしまう。

ジュリー・ロンドン。
チェット・ベイカー。
マイケル・ジャクソン。
高中正義。

なんだか最近、僕の記事の中を歩いていた人たちが、そのまま棚に並んでいる(笑)。

ジュリー・ロンドンは持っている。

お財布の中身と相談。
そして、2枚連れて帰ることにした。

Chet Baker『It Could Happen to You』

そして、
Michael Jackson『Got to Be There』

ジャズと少年マイケル。

ずいぶん違う2枚だ。

しかし、それもレコード棚の面白さだろう。

今日は開店祝いに何かを買おうと思って来たわけではない。

ただ棚を見ていたら、気になるレコードがあった。

そして買った。

考えてみれば、
それこそこの店が大切にしようとしている、
「偶然の出会い」なのかもしれない。

PAUSE。
AND LISTEN。

足を止めたら、レコードが2枚増えた(笑)。

店を出たら、今度は神輿

深川のお祭り

そして店を出る。
ここでも今日という日が面白かった。
清澄白河の街は、お祭りの真っ最中だった。
神輿がやってくる。その後ろから、また神輿。
さらに向こうにも人の列。
延々と続いている。

御神輿の列
次々登場する御神輿

静かな住宅街に掛け声が響き、人が道を埋めていく。

さっきまで僕は、真新しい木の棚に囲まれてレコードを見ていた。

店の中では、音楽。

外へ出れば、祭りの音。

その落差が面白い。

PAUSE AND LISTENが生まれた最初の日を、街のほうまで祝っているようにも見えてくる。

もちろん、祭りはこの店のためにやっているわけではない(笑)。

でも記憶というものは、こういう偶然を勝手に結びつけてしまう。

だから僕はこれから、
「PAUSE AND LISTENの開店初日」と聞けば、
真新しい木の匂いと、
モトキさんの笑顔と、
チェット・ベイカーとマイケルのレコード、
そして、
延々と続いていた神輿の列
を思い出すのだろう。

最初の日を知っている店

これから棚には、もっとレコードが増えるだろう。
カウンターにはもっとたくさんの人が座るだろう。
珈琲の香りも木に染みていく。

常連客もできる。

「あの席が好き」という人も現れるかもしれない。

音楽の思い出も、少しずつ積み重なっていく。

その頃、今日の真新しさはもうない。

でも、それでいい。

店というものは、使われて完成していくものなのだから。

僕は今日、その一番最初を見た。

PAUSE AND LISTEN、初日の朝。

まだ、木の匂いがする。

レコードが回り始めたばかりの店で、
僕もまた2枚のレコードと出会った。

外では神輿が通り過ぎていく。

新しい店の最初の日としては、
なかなか賑やかな幕開けだった。


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