第81回 僕の好きな両国|Re:VISITED|隅田川テラスギャラリーを歩く㉕|都市は移動の風景として意識される
隅田川テラスを歩いていると、
都市が静かに色づき始める瞬間に出会う。
それは季節の変化であり、
同時に都市の変化でもある。
三代歌川広重と歌川芳幾による
《隅田川花の賑わひ》。
この作品は、
都市が花によって一斉に開かれる瞬間を描いている。
花見という都市の起動装置
桜は自然のものだ。
しかし江戸においては、
完全に都市文化の一部だった。
人が集まり、
場が生まれ、
時間が共有される。
花見とは、
都市を起動させる装置である。
この絵は、
そのスイッチが入った瞬間を捉えている。
賑わいの設計
画面に広がるのは、
単なる混雑ではない。
舟。
土手。
人の流れ。
すべてが、
都市のリズムとして配置されている。
都市の賑わいは偶然ではない。
それは
人と場所と季節によって
設計されている。

都市は花によって記憶される
これまでの都市は、
構造や流れとして描かれてきた。
しかしここで、
都市は感情を持ち始める。
桜は、
都市を記憶に変える。
隅田川を歩くと、
その記憶の層が静かに立ち上がる。
そしてまた、
次の花へ。
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