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僕の好きな両国|Re:VISITED|エピローグ|この川は、時間だった

隅田川テラスを歩き終えたあと、
少しだけ、立ち止まる。

振り返ると、
そこには同じ川が流れている。

何も変わっていないように見える。

けれど、
もう同じ場所ではない。


川は風景ではなかった

最初は、
ただの散歩だった。

川沿いを歩き、
浮世絵を眺める。

それだけのはずだった。

けれど歩くうちに、
気づいてしまう。

川は風景ではない。

時間だった。


見ていたのは、過去ではない

浮世絵は、
昔の絵だと思っていた。

江戸の記録。
遠い時代の風景。

でも違った。

そこに描かれていたのは、
いまも繰り返されている都市の姿だった。

橋を渡る人。
川を眺める人。
集まり、散っていく人。

変わっていない。

ただ、
名前や形が少しずつ変わっただけだ。


都市は重なっている

江戸と東京は、
別のものではなかった。

重なっている。

同じ場所に、
違う時間が積み重なっている。

隅田川テラスを歩くと、
その層がふと見える瞬間がある。

それは説明できないけれど、
確かに感じるものだ。


歩くことでしか見えないもの

地図ではわからない。
写真でも足りない。

歩くことでしか、
見えないものがある。

風の向き。
水の匂い。
足の感覚。

そして、
時間の流れ。

それらが重なったとき、
都市はただの場所ではなくなる。


この川は、これからも流れる

隅田川は、
これからも変わらず流れていく。

その流れの中で、
新しい時間が積み重なっていく。

今日歩いたことも、
いつかは都市の一部になる。

そう考えると、
少しだけ不思議な気持ちになる。


そして、また歩き出す

ここで終わりではない。

ただ、
一区切り。

川は続いているし、
街も続いている。

だからまた、
どこかで歩き出す。

それだけのことだ。


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