#1「え?俺、育休1年とるわ。」——専業主婦の私が、固まった日。
「え?今なんて言った?」
それは、なんでもない静かな夜のこと。
第二子の妊娠が発覚して3ヶ月が過ぎた頃でした。
子どもがやっと寝て、夫と2人でテレビを見ながらアイスを食べていました。
仕事で毎日帰りが遅く、育児にはほとんど関わってこなかった夫。
そんな彼の口から、突然こんな言葉が飛び出したのです。
「俺、育休1年とるわ」
これは、一家の大黒柱である夫が、育休を取った365日の記録です。
そして、理屈っぽくてすぐ論破してくる夫と、感情派の私が、
何度もぶつかって、疲れて、やっと分かり合えた1年の記録でもあります。
今後パパが育休を取ることが増える世の中の一つの参考になれば幸いです。
夫が育休を取ると初めて聞いたあの日。
たぶん、一生忘れません。
「俺、育休1年とるわ」
夫がそう口にした瞬間、
私はスプーンを口元に運んだまま固まりました。
「え?今なんて言った?」としか言えなかった。
共働きのご家庭ならそこまで驚かなかったかもしれません。
しかし、我が家は専業主婦家庭で夫の収入1本でやりくりしている家庭なのです。
うちの夫は、いわゆる大企業の理系職。
開発の仕事で残業は多く、第一子が生まれたときの育休はわずか1週間。
その後も、子どもが寝たあとに帰ってくる日々。
たまの休みには、友人とゴルフや野球。
私はいつも「ワンオペ」のど真ん中にいました。
お風呂もご飯も毎日一人で全部やってきました。
もちろん、私に不満がなかったわけじゃない。
でも夫は家族を支える大黒柱だし、
育児は私の仕事だって、なんとなく割り切ってきた。
ただ——
実は、第一子には障害があります。
そのため私はフルタイムで働くことができません。
普通の子育てより、やっぱり何倍も体力も気力もいる。
病院通い、書類、発達の悩み、言葉にならない心配……。
そんな中で、第二子の妊娠がわかったときは嬉しかったけれど、
正直、心の奥では震えていました。
「私、これから2人をひとりで育てられるのかな……」
弱音を吐いたところで状況は変わらない。
死ぬ気でやるしかない、母は強くなるしかない。
そう腹をくくった、まさにそのタイミングでの——
「俺、育休1年とるわ」発言でした。
なんで?ほんとに?今さら?
いろんな感情が一瞬で押し寄せて、うまく言葉にならなかった。
もちろん心のどこかで、「助けてほしい」と思っていた。
でも、現実的な問題も頭をよぎる。
一家の大黒柱が仕事を1年休む?収入どうなる?生活できるの?
会社の人に迷惑かからないの?出世とか大丈夫?
不安、不信、困惑、そしてちょっぴり期待。
私たち家族の“再構築”の1年が、
この夜から始まったのです。
