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【エッセイ】大ケガ

題:大ケガ

夏休みに自由工作をしていた。
牛乳パックでミニチュアのおうちを作っていた。
お母さんは仕事、お姉ちゃんもいない。
家にひとりだった。そこからもう寂しかった。
夏休み明けから、新しい学校。
まだ家の近くに知り合いがいなかった。

カッターナイフで牛乳パックの固いところを切っていた。左手でカッターナイフ、右手で支えていた。固いなぁ。どんどん力を込めていく。切れた!と同時に支えていた右手を深く切ってしまった。

どんどん血がでてくる。
手がぱっくりと割れて中がみえた。
絶対に怖かった。
絶対に絶対に怖かった。
泣いた。
でも誰もいない。
もっと大きい声で泣いた。
「おかあさーーーーん。」
「おねえちゃーーーーーーん。」
家から外を見た。
誰も歩いていない。
平和そうで何事もなさそうに日差しだけが明るかった。呑気そうに蝶々まで飛んでいた。
外をみてお母さんとお姉ちゃんを探した。
そんなところにいるはずがないのに。
私にはお母さんとお姉ちゃんしか頼る人がいなかった。

母さんの職場の電話番号、、分からない。
分かるのは友達の家、おばあちゃんの家、だけ。
電話したら、おばあちゃんとおじいちゃんがきてくれた。
お母さんにも連絡がついた。
「手を切った。血がいっぱい出ている」
と泣きながら電話した。
お母さんも仕事から帰ってきた。
傷をみて「あの泣きようならすごい切ったかと思った。」と言った。大したことないことは全然ないと思う!だってこんな怪我はじめてなのに一人だったんだよ?

外科にいって、11針くらい縫った。
転校してからもすこしその外科に通った。
傷口を診てもらうためだった。
傷口がすこし青くなっていた。
不安だった。
なのにお母さんが
「変になってるじゃん。治らんかもよ。」
といった。
私はもっと不安になって泣いた。

私にとって、たいしたことないことはなかった。たいしたことだった。
それに傷口は治ったけど不安になるようなことをいわないで欲しかった。
こっちは真剣だ。
あとおばあちゃんに電話したことも、仕方ないと思う。

手の痛みはもう忘れた。手も痛かった。けれども私がここまで覚えているのは、やはり感情が成仏してないからだろう。
私が欲しかったのは
「大けがだね。びっくりしたね。ひとりでよく頑張ったね。」という言葉だった。
今もその言葉が欲しい。
自分から自分にいってあげるしかない。



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