加齢で激減する筋肉ランキングと、意外と減らない筋肉の真実
前回の記事では、加齢に伴って筋肉が衰える「本当の原因」についてお話ししました。エネルギー工場であるミトコンドリアの故障、脳からの指令の不通、そして慢性的な炎症……。私たちの体内で起きている細胞レベルの「負の連鎖」が筋肉の衰えの犯人だったのです。
「原因はわかった。では、具体的に身体の『どこ』が衰えるのか?」
今回は、そんな疑問にお答えします。
実は、全身の筋肉が同じスピードで衰えていくわけではありません。ある筋肉は50年経ってもほとんど変わらないのに、ある筋肉は3分の1もなくなってしまうのです。
この「差」を知らずに、ただなんとなく全身運動をしていても、効率的な対策にはなりません。
今回は、2023年から2025年に報告された4つの最新研究をもとに、加齢によって「激減する筋肉」と「守られる筋肉」の正体を明らかにしていきましょう。
◆ なぜ「筋肉ごとの減り方」を知る必要があるのか?
これまで、筋肉の減少(サルコペニア)に関する研究の多くは、太ももの前側にある「大腿四頭筋」ばかりに注目してきました。
画像検査での測定がしやすく、筋肉の組織を採取するバイオプシーという検査も比較的安全に行えるからです 。
しかし、私たちの身体には大小さまざまな筋肉があり、それぞれ役割が違います。
2023年に報告されたボール州立大学のNaruseらのレビューでは、過去の47件の研究データを統合し、若年者(約25歳)と高齢者(約75歳)の筋肉の断面積を比較することで、50年間でどの筋肉がどれくらい減るのかを詳細に分析しました 。
さらに同年に報告されたマーストリヒト大学病院のFuchsらの研究では、MRI(磁気共鳴画像法)を使って「太もも」「骨盤」「ふくらはぎ」の筋肉量を立体的に測定し、どのエリアが一番ダメージを受けるのかを浮き彫りにしています。
その結果、筋肉の減り方には衝撃的な「格差」があることが明らかになったのです。
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