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ケトジェニックダイエットは筋トレに効果的? 最新研究が出した答え


「筋トレで筋肉を増やしたい。でも糖質を制限しても大丈夫なの?」

 筋トレに励む人なら、一度はそんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。最近は糖質を極端に減らし、脂質をメインのエネルギー源とする「ケトジェニックダイエット」が話題を集めています。体脂肪を効率よく落とせる方法として注目される一方で、「筋肉まで落ちるのでは」「力が出なくなるのでは」と不安を感じる声も少なくありません。

 そこで今回は、ケトジェニックダイエットと筋トレの関係について調べた3つのメタアナリシスを紹介します。いずれも複数の研究を統合した信頼性の高い分析であり、「筋肥大」「筋力」「体組成」という3つの側面から、私たちが気になる答えを示しています。






◆ ケトジェニックダイエットとは?


 ケトジェニックダイエットは、糖質を大幅に制限し、その代わりに脂質を主なエネルギー源とする食事法です。具体的には、糖質を1日50g未満、または総摂取カロリーの10%未満に抑え、エネルギーの大部分を脂質からとるのが特徴です。

 糖質が不足すると体は「ケトン体」という物質を肝臓で作り出し、これをエネルギー源として利用します。これがいわゆる「ケトーシス」と呼ばれる状態です。

 ダイエット効果が注目される一方で、「筋トレに取り入れた場合、筋肉や力にどう影響するのか?」という点が気になるところです。ここからは最新の研究をもとに、その答えを探っていきましょう。



◆ 筋肥大への影響:糖質を削っても筋肉は育つのか?


 まず注目したいのは「筋肉が大きくなるのか?」という点です。

 この検証を行った2022年のマラガ大学のメタアナリシスでは、筋肉量を示す除脂肪体重において、一般的な食事をした人との間に有意な差は見られませんでした。

 つまり、糖質を大きく制限したとしても「筋肉がつかない」というわけではありませんが、逆に「筋肉が特別に増える」という効果も確認されなかったのです。

 従来「糖質を削れば筋肉は成長しない」と考えられていたことを踏まえると、この結果は「必ずしも筋肉を失うわけではない」と安心できる部分もあります。

 ただし注意が必要なのは、ケトジェニックダイエットは満腹感が強く、長期的に続けると筋肥大に必要なエネルギーの余剰を確保しにくくなる可能性があることです。エネルギー不足が積み重なれば、筋肉を増やすという点では不利に働く恐れがあります。



◆ 筋力への影響:糖質なしで力は出せる?


 次に気になるのが「糖質を制限すると力が出なくなるのでは?」という疑問です。

 これについては2024年にスクワットとベンチプレスの最大挙上重量(1RM)について検証したマラガ大学のメタアナリシスが報告されています。

 結果として、ケトジェニックダイエットを行った人と通常の食事をした人とでは、筋力の変化に大きな差は確認されませんでした。むしろ一部のデータでは、ケトジェニックダイエットをしていた人の方がわずかに良い数値を示す傾向さえありました。

 糖質はこれまで「瞬発的なパワーを出すのに不可欠」と考えられてきましたが、少なくとも短期間においては糖質を制限しても最大筋力は維持できることがわかります。

 ただし、ここで測定されているのは一瞬の最大筋力であり、筋肥大を狙うような高回数・高ボリュームのトレーニングでのパフォーマンスを直接反映しているわけではありません。この点を混同しないようにすることが重要です。



◆ 体組成の変化 ― 脂肪と筋肉の両立はできるのか?


 そして最も関心が高いのが「体脂肪と筋肉のバランス」です。

 ケトジェニックダイエットと筋トレを組み合わせた2022年の鄭州大学のメタアナリシスでは、体脂肪が有意に減少することが確認されています。これは「脂肪を落とす」という目的においては明確なメリットといえます。

 しかし一方で、この研究では除脂肪体重(筋肉量)が有意に減少するという結果も示されました。つまり、「脂肪を落としながら筋肉を保てる」というより、「脂肪も落ちるが筋肉もやや減ってしまう可能性がある」と解釈するのが正確です。

 この点は非常に重要です。筋肉を減らさずに脂肪だけを落としたいトレーニーにとっては、ケトジェニックダイエットが必ずしも理想的な方法とは限りません。特に長期的に続けた場合や、筋肥大を狙う増量期には、糖質を適度に摂取してエネルギーを十分に確保する食事戦略の方が有利といえるでしょう。



◆ 3つのエビデンスが教えてくれる共通点


 これらのメタアナリシスを総合すると、ケトジェニックダイエットには次のような特徴があります。

  • 筋肥大に関しては、通常の食事と比べて優位性は確認されていない。

  • 筋力は短期的に維持され、低下の心配は少ない。

  • 体脂肪は有意に減少するが、除脂肪体重も減る傾向があるため、筋肉を守りたい場合には注意が必要。

 つまり、ケトジェニックダイエットは「筋肉を増やす食事」ではなく、「体脂肪を効率的に落とす食事」としての特徴が強いといえます。



◆ 結論:減量か増量か?目的別の正しい選び方


 結論として、ケトジェニックダイエットを筋トレと組み合わせる際には「目的の違い」を明確にすることが大切です。

  • 減量期:脂肪を落としたい人にとっては有効。ただし筋肉も減る可能性があることを理解して取り組む。

  • 増量期:筋肉を増やしたい人にとっては不利。糖質を適度に摂取してエネルギーとタンパク質を十分に確保する方が有利。

 最新のメタアナリシスは、「糖質を制限しても筋肉が必ず落ちるわけではない」という安心材料を与えてくれる一方で、「筋肉を完全に守り切れるわけではない」という現実も示しています。だからこそ、自分の目的をしっかり定め、食事法を使い分けることが重要です。

 ケトジェニックダイエットは「脂肪を削りたい人」には有効な戦略。ただし「筋肉を増やしたい人」にとっては必ずしも最適解ではない。これが現時点での科学的な答えになるでしょう。



◆ 参考文献


Vargas-Molina S, et al. Effects of the Ketogenic Diet on Muscle Hypertrophy in Resistance-Trained Men and Women: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2022 Oct 3;19(19):12629.

Vargas-Molina S, et al. Effects of the Ketogenic Diet on Strength Performance in Trained Men and Women: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2024 Jul 10;16(14):2200.

Ashtary-Larky D, et al. Effects of resistance training combined with a ketogenic diet on body composition: a systematic review and meta-analysis. Crit Rev Food Sci Nutr. 2022;62(21):5717-5732.



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