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『チェンソーマン』好きには絶対刺さる!次に来る漫画『ケントゥリア』が面白い

僕がこの漫画を知ったのはつい最近だったのですが、この漫画は次に来る!と確信しました。

調べてみると、「次にくるマンガ大賞」のWebマンガ部門で2024年に7位、2025年には2位に入ってたようです。1位は僕も大好きな『サンキューピッチ』だったので2位は仕方ないかもしれません。

作者の暗森透先生は、『チェンソーマン』や『ダンダダン』でアシスタントをして影響を受けたと語っておられていて、絵や作風も似ているので、この2つの作品が好きな人にはきっと刺さる漫画だと思います。個人的には『鋼の錬金術師』感も感じています。

この漫画は純粋に物語として面白いのですが、その背景には対比構造があり、深く作りこまれていると思います。今日はケントゥリアがどんな漫画かを紹介したうえで、この作品の魅力を語ってみたいと思います。

※この記事は、未読の方でも楽しめると思いますが、序盤の奴隷船の展開と、予言をめぐる中盤の構図に触れます。連載中の作品なので、書いているのは100話時点までの範囲です。ネタバレにご注意ください。


『ケントゥリア』とはどんな漫画か

タイトルの「ケントゥリア」は、古代ローマの軍隊にあった百人隊のことです。英語のセンチュリーと縁のある、100を表す言葉ですね。

主人公は、ユリアンという元奴隷です。物語は、彼が奴隷100人を積んだ奴隷船に101人目の奴隷として潜り込むところから始まります。

潜り込んだユリアンを助けようとしたのが、その船に乗っていた妊婦のミラでした。ミラがユリアンを助けようとするのを見て、ほかの奴隷たちも彼を助けようとする。そうやって、奴隷の間に絆が生まれていきます。

ユリアンは、母親に売られた子どもです。母親からの愛情を知らずに育ってきました。その彼がこの船の上で学ぶのは、母親だから愛するのではなく、つながりがあるから人は愛情を感じるのだ、ということでした。そして、二人は目的地に着いたら一緒に暮らそうと話していました。

しかし船長は保険金欲しさに奴隷を全員殺そうとします。そのとき、奴隷たちは少年であるユリアンと妊婦であるミラの二人だけは守ろうとするんですね。奴隷たちも血のつながりがない二人を命がけで守ろうとしたのです。

残ったのはユリアンとミラの二人だけ。そこに現れるのが、海の神です。海の神は、船の上で死んだ99人を生贄として受け取っていました。その海の神が二人に持ちかけたのは、どちらか一方が犠牲になればもう一方は助かる、という条件でした。

ユリアンは、自分が犠牲になってミラを助けようとします。それを止めたのがミラです。ミラには、かつて自分の子を守れなかった過去があります。もう二度と同じことを繰り返したくない。しかし今お腹にいる子は、生まれてくるのをずっと楽しみにしてきた子です。だからミラは、自分の腹を裂いて赤ん坊を取り出して帝王切開で出産し、その子(ディアナ)をユリアンに預けて、自分が生贄になります。

海の神は、ユリアンにどんな力を望むかと尋ねます。ユリアンが願ったのは、ミラや、ほかの奴隷たちの死が無駄ではなかったと証明することでした。それで得たのが「百人力」です。瞬発力やパワーといった身体の力も、回復力も、すべてが100人分になる。そして、命までもが100人分になるという力です。

ユリアンは百人力の異能を使って船長らを倒し、ディアナと一緒に大陸にたどり着きました。そして、大陸で出会う人達と新しい繋がりを作ったり、他の異能と対峙しながら生き延びていく、というのがこの『ケントゥリア』という物語になっています。

百人力は地味だけどめちゃくちゃ強い

ユリアンの百人力のように、この世界の特別な力は「異能」と呼ばれます。異能を持つ人はほかにもいて、その中身が本当に面白い。あらゆる攻撃を防ぐ絶対防御の盾。顔を10秒見た人が死ぬ力。王家に代々伝わる、水を操る力。派手で、癖の強い力がたくさん出てきます。

その中で、ユリアンの百人力はどうか。特殊能力ではなく、ただの身体強化です。並べてみると地味に見えます。ところが、これがめちゃくちゃ強い。

例えば、『呪術廻戦』ではフィジカルギフテッドの伏黒甚爾と禪院真希、『NARUTO』では八門遁甲を解放したガイがめちゃくちゃ強いキャラとして描かれています。『HUNTER×HUNTER』も強化系は攻めも守りもバランスがよくて、接近戦では一番強い、と言われていましたよね。漫画において極端な身体強化は最強なんです。

ただ、この作品では百人力の強さに理由がありそうなのが好きなポイントです。

百人力のユリアンの強さは、船の上の100人から来ています。100人の死を無駄にしたくないと願った主人公に、100人分の力だけでなく、100人分の生を全うするという命の重さを背負わされたわけです。この力は百人の死を便利な「残機」に変えたものではありません。失われる一命ごとに、ユリアンを守った誰かの生が消費される。強さと、それを使うことへの責任が一つの能力に組み込まれている点に、百人力の面白さと強さがあります。だから、ユリアンは強い。これはジャンプだからこその王道少年漫画でもあるわけです。

行動と言葉の対比構造

ミラとユリアンのつながりは、ミラがユリアンを守ろうとしたことで生まれたものでした。そのつながりは奴隷船で死んだ99人が結束して二人を守ろうとしたように、一人の行動が別の人を動かし、つながりが生まれていきました。この漫画には、そのような「行動」が人を繋ぎ動かすストーリーがたくさんあります。ユリアンは、船の上で受け取ったこの連鎖を、今度は自分の側から続けていきます。

例えば、船から逃れて最初にたどり着いた村です。ユリアンは、村の人たちに認めてもらうために、百人力の異能を使わず、自分の身体だけで村の大きな試練を乗り越えます。それを見た村の人たちが、彼を村に迎え入れる。「101人目」になったのと同じく、行動でつながりを作り、人を動かしているのです。

敵として現れた人物が味方になる展開もあります。ここでも順番は同じで、まずユリアンたちの側が、敵の命を取らずに助ける。その行動が相手を動かして、味方になっていきます。

この漫画では、人と人とのつながりが、台詞というよりも、行動として現れてきます。村でも、敵との間でも、ユリアンは船の上で起きたことと同じ順番を、自分の行動で繰り返していきます。

一方で、この漫画で主人公のユリアンらと敵対する王側には、行動とは別のものが人を動かす形で描かれます。それは予言という「言葉」です。

ユリアンたちの前に立ちはだかる王の国には、予言の異能を持つ予言者エルストリがいます。エルストリは、生まれたばかりのディアナがいつか自分たちの国の王を殺す、という予言を見てしまいます。その予言を変えるために、王も予言者も、ディアナを殺そうとします。つまり、言葉が人を動かしているのです。

ここに、「行動」と「言葉」という対比構造があります。

想いと血の対比構造

そして実は対比軸はこの2つだけではありません。

主人公であるユリアンの側は行動から生まれた、人と人との「想い」のつながりがあります。愛の形と言ってもいいかもしれません。100人力の異能も、奴隷たちとの愛情・友情や親しみの繋がりをユリアンの身体ひとつにまとめたというようなものです。

これに対して、異能は血で受け継がれるため、王側は「」によって繋がれています。彼らは彼らで、家族から愛情を感じられずにいたり、権力のせいで家族がうまくいっていなかったりしていて、「想い」のつながりが不足していると対比されています。

ユリアンも、母親からの愛情を知らずに育ちました。王の側も、愛情を感じられずにいる。僕には、両方の出発点が同じに見えます。違うのは、そこから何でつながるかです。ユリアンは、船の上で「母親だから愛するのではなく、つながりがあるから人は愛情を感じる」ということを学び、血のつながりのない人たちと行動でつながっていきました。王の側は、予言をもとに血で繋がれたコミュニティを守ろうとします。

行動によって想いで繋がり動いていく主人公側の軸と、予言によって血で繋がれた人が動かされていく王側の軸の二つが対比されながら一つの物語を作っているのです。

その二つの軸がディアナという点で対立しつつ交わりあっていく構図になっているのですが、このような対比構造が背景にあるからこの漫画は人間関係が面白いんですよね。

100話の時点で、この二つの軸はまだ決着していません。この先物語がどうなっていくのか楽しみです。

総評

『ケントゥリア』の評価は以下のとおり。

★★★★☆ 4つ星!高評価です!

物語の展開の面白さに作者の天性の才能を感じます。そして100話の時点でも、これからもっと面白くなっていくポテンシャルをとても感じています。いつか5つ星になるかもしれません。これから来る作品です。ぜひ読んでください。

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